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16.ジョエル
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沢山のガラスのビーカーやフラスコが、シンクに洗って置かれている。
教室では白衣を揺らして、たくさんの生徒達が無言で働いている。
「おい、コンタミが発生しているぞ!誰だこの試料を作ったのは!」
その静寂を破ったのは、インキュベータの扉を開けて中の確認をしていたノルマだった。
「あ、それ…ぼくかもしれません」
「なんだ、またジョエルか」
がっかりしたようにノルマは、ぼくの顔を見る。
「これで何度目だ!慎重に素早く作業しろと言っているだろう?今すぐここの試料、すべて破棄してやり直しだ」
「す、すみません」
魔導細胞の最終試験において、あろうことか1つの実験でミスが見つかった。そのため、試験はパスせず、やり直しになってしまった。
ノルマ先輩は落ち込むどころか、いよいよ没頭し始め、彼女の周りはピリピリムードになっている。
ぼくは謝ると、慌てて試料を回収し始めた。ここのところ、ぼくは落ち込み気味だ。
ノルマから指示された作業は複雑で、ミスを連発しては怒られているからだ。
どうも、自分にはこの仕事は向いていないと感じている。
『アレイシはうまくやってんのかな?』
ふと友達のことを思う。
「手伝うよ」
声がして手伝い始めたのは、そばかすの女子生徒。同級生のサンドラだった。ぼくと同じく『魔導医療科』へ入った10人の内の1人だった。
「ありがとう」
「気にしなくていいよ」
短く言って、彼女はテキパキと正確な手さばきで作業を進めていく。ぼくは彼女の正確な動きを見て落ち込む。やっぱりぼくはだめだなと思った。
「余計なことかもしれないけど…あなた、アレイシの友達でしょ?」
「え?」
思いがけず友達の名前が出てきて驚くぼくに、サンドラは続けて言った。
「彼とは、あまり関わらないほうが良いと思うよ」
「ど…どうして、そんなこと言うの?」
「あなたはいい人そうだから、忠告するの」
「アレイシはいい奴だよ!とっても」
ぼくはサンドラが何か誤解しているんだと思った。
「それは違うと思う。魔導トレードなんかする人に、いい人なんてないから。ジョエル、あの人には気をつけた方がいいよ」
それだけを言うと、サンドラは再び視線を手元に落として作業に戻った。
ぼくは何か言いたかったけれど、言葉が出て来なかった。
何か訳ありな感じだけど…
ぼくも作業に戻った。
夕方のチャイムが、終業時間を知らせる。
ノルマは、今日も残って作業するようだった。
ぼくは帰る前に挨拶に行く。
「ノルマ先輩、今日はすみませんでした」
ぼくが謝ると、先輩は手を止めた。
「ジョエル、最初はみんなそんなものだ。私もさんざんミスをしたからな。気にすることはない」
先輩はメガネをかけ直しながら言った。
「大事なのは、ミスした後どうするかだ。隠したり誤魔化したりするのが、一番悪い。いっときは恥ずかしいが、ちゃんとミスを認めて相談できる奴は信頼できる。だろう?」
「はい」
その言葉にぼくは救われた気がして、明日は少し頑張れそうな気がした。それでも、明日が土曜日なのを思い出して、やっぱりホッとするのだった。
教室では白衣を揺らして、たくさんの生徒達が無言で働いている。
「おい、コンタミが発生しているぞ!誰だこの試料を作ったのは!」
その静寂を破ったのは、インキュベータの扉を開けて中の確認をしていたノルマだった。
「あ、それ…ぼくかもしれません」
「なんだ、またジョエルか」
がっかりしたようにノルマは、ぼくの顔を見る。
「これで何度目だ!慎重に素早く作業しろと言っているだろう?今すぐここの試料、すべて破棄してやり直しだ」
「す、すみません」
魔導細胞の最終試験において、あろうことか1つの実験でミスが見つかった。そのため、試験はパスせず、やり直しになってしまった。
ノルマ先輩は落ち込むどころか、いよいよ没頭し始め、彼女の周りはピリピリムードになっている。
ぼくは謝ると、慌てて試料を回収し始めた。ここのところ、ぼくは落ち込み気味だ。
ノルマから指示された作業は複雑で、ミスを連発しては怒られているからだ。
どうも、自分にはこの仕事は向いていないと感じている。
『アレイシはうまくやってんのかな?』
ふと友達のことを思う。
「手伝うよ」
声がして手伝い始めたのは、そばかすの女子生徒。同級生のサンドラだった。ぼくと同じく『魔導医療科』へ入った10人の内の1人だった。
「ありがとう」
「気にしなくていいよ」
短く言って、彼女はテキパキと正確な手さばきで作業を進めていく。ぼくは彼女の正確な動きを見て落ち込む。やっぱりぼくはだめだなと思った。
「余計なことかもしれないけど…あなた、アレイシの友達でしょ?」
「え?」
思いがけず友達の名前が出てきて驚くぼくに、サンドラは続けて言った。
「彼とは、あまり関わらないほうが良いと思うよ」
「ど…どうして、そんなこと言うの?」
「あなたはいい人そうだから、忠告するの」
「アレイシはいい奴だよ!とっても」
ぼくはサンドラが何か誤解しているんだと思った。
「それは違うと思う。魔導トレードなんかする人に、いい人なんてないから。ジョエル、あの人には気をつけた方がいいよ」
それだけを言うと、サンドラは再び視線を手元に落として作業に戻った。
ぼくは何か言いたかったけれど、言葉が出て来なかった。
何か訳ありな感じだけど…
ぼくも作業に戻った。
夕方のチャイムが、終業時間を知らせる。
ノルマは、今日も残って作業するようだった。
ぼくは帰る前に挨拶に行く。
「ノルマ先輩、今日はすみませんでした」
ぼくが謝ると、先輩は手を止めた。
「ジョエル、最初はみんなそんなものだ。私もさんざんミスをしたからな。気にすることはない」
先輩はメガネをかけ直しながら言った。
「大事なのは、ミスした後どうするかだ。隠したり誤魔化したりするのが、一番悪い。いっときは恥ずかしいが、ちゃんとミスを認めて相談できる奴は信頼できる。だろう?」
「はい」
その言葉にぼくは救われた気がして、明日は少し頑張れそうな気がした。それでも、明日が土曜日なのを思い出して、やっぱりホッとするのだった。
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