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19.トレードデビュー
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僕は12:10には、毎日魔導トレード科の教室に来るのが日課になった。
魔獣戦争が、12:30に始まる事を知ったからだ。
ニッキー先輩達の成績は、初日に大きく勝てたことが幸いしたのか、怖いくらい順調だ。
僕が勝手にニッキー計算書と呼んでいる壁のグラフは、あれから1週間しか経っていないのに、実績は計画を大幅に上回っていた。
計画では今日までの利益が14万6千だったが、実際には23万4千であり、9万エネほども上回っていることになる。
実に頼もしい先輩達だ。
4月18日金曜日。
僕専用のトレードスペースを作ってもらってから、3日後のことだ。
ついにその時は来た。
「アレイシ、今日からトレードやってみるか」
そういったニッキー先輩は、ただしと付け加える。
「いいか。『鉄の掟』を破ったら絶対許さんからな。パプル、よく見張ってろよ」
「了解」
「そうだな、しばらくは『蜜蜂獸甲』をメインにトレードするんだ」
「はい」
言われた通り、画面に『蜜蜂獣甲』のチャートを表示する。
月足、週足、日足と順番に見ていくと、どのチャートも右上に向かって力強く上昇しているのが分かった。
「この魔獣も相当強いね」
僕が呟くと、パプルもそうだねと同意した。
シモン教授の『魔導デイトレード戦記』を思い出す。最初に買ったり売ったりするところをエントリーポイントというのだが、これが一番大事だと教授は書いていた。
『鉄の掟』では、1日5回までしか売買はできないことになっているから、いよいよ慎重にエントリーポイントを決めなくてはいけない。
午前中の終わりの価格は2610だったので、僕はこの後に2610を上に超えていくならエントリーしようと考えていた。
順張り作戦だ。
「ロットは100 だけで行こう」
「うん」
12:30。
ものすごい量の『歩み値』が、一気に記録されていく。歩み値の窓が赤い数字で埋め尽くされたと思ったら、今度は反対に緑の数字が並び始める。
魔獣同士の強烈な戦いが行われているのだ。
1本目のローソクが上に細いヒゲをつけたあと、2本目、3本目へとバトンタッチしていく。短いローソクが続く。シモン教授のノートを頭のなかで広げる。
「下値切り上げだ」
ローソクの一番下のラインが、1本目より2本目、2本目より3本目と、徐々に上昇していく。
意識の集中が、没入感を加速していく。
「……なんだ、この魔獣…」
僕は、『蜜蜂獣甲』の姿を鮮明に見た。巨大で頑丈、しかも恐ろしい武装をしている。こんなの、負けるわけない…
相手の黒い霧の魔獣相手に、苦戦しているふりをしているのがバレバレじゃないか。
正面から受けた攻撃によろけた風の蜜蜂獣甲を見て、買いのエントリーをした。
その後の獣甲は圧倒的だった。相手の魔獣も頑張った方だが、とても敵ではなかった。
ローソク足はグングン上昇し、最終的に僕は4000エネほどの利益を取ることに成功したのだった。
こうして僕の初トレードは、成功したのだった。
あまりにもあっけなく。
魔獣戦争が、12:30に始まる事を知ったからだ。
ニッキー先輩達の成績は、初日に大きく勝てたことが幸いしたのか、怖いくらい順調だ。
僕が勝手にニッキー計算書と呼んでいる壁のグラフは、あれから1週間しか経っていないのに、実績は計画を大幅に上回っていた。
計画では今日までの利益が14万6千だったが、実際には23万4千であり、9万エネほども上回っていることになる。
実に頼もしい先輩達だ。
4月18日金曜日。
僕専用のトレードスペースを作ってもらってから、3日後のことだ。
ついにその時は来た。
「アレイシ、今日からトレードやってみるか」
そういったニッキー先輩は、ただしと付け加える。
「いいか。『鉄の掟』を破ったら絶対許さんからな。パプル、よく見張ってろよ」
「了解」
「そうだな、しばらくは『蜜蜂獸甲』をメインにトレードするんだ」
「はい」
言われた通り、画面に『蜜蜂獣甲』のチャートを表示する。
月足、週足、日足と順番に見ていくと、どのチャートも右上に向かって力強く上昇しているのが分かった。
「この魔獣も相当強いね」
僕が呟くと、パプルもそうだねと同意した。
シモン教授の『魔導デイトレード戦記』を思い出す。最初に買ったり売ったりするところをエントリーポイントというのだが、これが一番大事だと教授は書いていた。
『鉄の掟』では、1日5回までしか売買はできないことになっているから、いよいよ慎重にエントリーポイントを決めなくてはいけない。
午前中の終わりの価格は2610だったので、僕はこの後に2610を上に超えていくならエントリーしようと考えていた。
順張り作戦だ。
「ロットは100 だけで行こう」
「うん」
12:30。
ものすごい量の『歩み値』が、一気に記録されていく。歩み値の窓が赤い数字で埋め尽くされたと思ったら、今度は反対に緑の数字が並び始める。
魔獣同士の強烈な戦いが行われているのだ。
1本目のローソクが上に細いヒゲをつけたあと、2本目、3本目へとバトンタッチしていく。短いローソクが続く。シモン教授のノートを頭のなかで広げる。
「下値切り上げだ」
ローソクの一番下のラインが、1本目より2本目、2本目より3本目と、徐々に上昇していく。
意識の集中が、没入感を加速していく。
「……なんだ、この魔獣…」
僕は、『蜜蜂獣甲』の姿を鮮明に見た。巨大で頑丈、しかも恐ろしい武装をしている。こんなの、負けるわけない…
相手の黒い霧の魔獣相手に、苦戦しているふりをしているのがバレバレじゃないか。
正面から受けた攻撃によろけた風の蜜蜂獣甲を見て、買いのエントリーをした。
その後の獣甲は圧倒的だった。相手の魔獣も頑張った方だが、とても敵ではなかった。
ローソク足はグングン上昇し、最終的に僕は4000エネほどの利益を取ることに成功したのだった。
こうして僕の初トレードは、成功したのだった。
あまりにもあっけなく。
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