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23.お金
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マグノリアは花の時期を終え、強い日差しを濃緑の葉で浴びていた。
ソファに腰掛けた理事長の前には、縦縞のスーツの男と、フェルナンド教授、ノルマの3人が座っていた。
魔導細胞の治験は、関係の深い第一魔導病院の協力のもと、数名への臨床試験が開始されていた。
術後は良好で、順風満帆なはずだった。
ただ資金の問題を除けば…
臨床試験となり、協力患者への金銭補助や治験データ解析、関係技術料、人件費諸々でこれまで以上に多額の費用が必要になってきた。
魔導高校は全面的にバックアップしているが、それだけで賄えるほどの財力はない。
理事長は、企業や銀行が支援してくれる事をあてにしていたが、今のところ思ったほど協力会社からの資金提供が得られていないのだ。
スーツの男が口を開く。
「もう一度確認しましょう」
スーツの男、モルビデリ氏は第一魔導銀行の経理担当者だ。手元のレポートに視線を落としている。
理事長のアジウソンは、再度結論を言った。
「資金援助は9社、借り入れが4行で、総額約46億エネだ」
モルビデリ氏が眼鏡を直しながら少し間を空けると、フェルナンド教授とノルマが少し不安そうな顔をして男の顔を見た。
「まだ足りませんね…」
理事長のアジウソンは少し苛立っていた。
「分かっている。だから今、方方で交渉しているところだ。1~2週間以内には協賛者が出てくるし、来週には学会の発表もある」
「…理事長。お気持ちは分かりますが、我々病院といえどもビジネスです。臨床試験も今はまだフェーズ1で、フェーズ2、フェーズ3と進むにつれて、どんどんコストが増加していくんですよ」
モルビデリは、現実主義者だった。
『夢で飯は食えませんよ』と言うと、口をつぐんだ。一気に空気の密度が上昇するように感じて、息苦しくなる。
「あと、いくら必要なんだ」
「30~50億。まあ、多ければ多いほど良いですがね」
フェルナンド教授とノルマは、とんでもない額のお金の話になってきて鼻白む。
アジウソンは、少し苛つきながら言った。
「この技術が実用化した時には、天文学的な利益が生じるのは間違いないんだ。先行投資に多少かかったとしても、あっという間に回収が可能なんだ。投資家だって、それくらい分かるだろう」
モルビデリ氏は顔色も変えず、『今日はこれで帰ります』と言って席を立った。
言うべきことは言ったのだろう。
「とにかく、現在の資金では、フェーズ2で資金は尽きます。早く資金を調達してくださいね。よろしくお願いしますよ」
廊下のドアの前で振り向くと、そう言って出て行った。
やっと口がきけるようになったのか、ノルマが心配そうに理事長の顔を見る。
「私、何かお手伝いしましょうか」
「…いや、君達は何も心配いらん。それより試験に全力を向けてくれ」
アジウソンは胸のなかで呟く。
『まったく厄介なことばかり続くものだ。また金か…』
窓の外は、嫌になるほどよい天気だった。
ソファに腰掛けた理事長の前には、縦縞のスーツの男と、フェルナンド教授、ノルマの3人が座っていた。
魔導細胞の治験は、関係の深い第一魔導病院の協力のもと、数名への臨床試験が開始されていた。
術後は良好で、順風満帆なはずだった。
ただ資金の問題を除けば…
臨床試験となり、協力患者への金銭補助や治験データ解析、関係技術料、人件費諸々でこれまで以上に多額の費用が必要になってきた。
魔導高校は全面的にバックアップしているが、それだけで賄えるほどの財力はない。
理事長は、企業や銀行が支援してくれる事をあてにしていたが、今のところ思ったほど協力会社からの資金提供が得られていないのだ。
スーツの男が口を開く。
「もう一度確認しましょう」
スーツの男、モルビデリ氏は第一魔導銀行の経理担当者だ。手元のレポートに視線を落としている。
理事長のアジウソンは、再度結論を言った。
「資金援助は9社、借り入れが4行で、総額約46億エネだ」
モルビデリ氏が眼鏡を直しながら少し間を空けると、フェルナンド教授とノルマが少し不安そうな顔をして男の顔を見た。
「まだ足りませんね…」
理事長のアジウソンは少し苛立っていた。
「分かっている。だから今、方方で交渉しているところだ。1~2週間以内には協賛者が出てくるし、来週には学会の発表もある」
「…理事長。お気持ちは分かりますが、我々病院といえどもビジネスです。臨床試験も今はまだフェーズ1で、フェーズ2、フェーズ3と進むにつれて、どんどんコストが増加していくんですよ」
モルビデリは、現実主義者だった。
『夢で飯は食えませんよ』と言うと、口をつぐんだ。一気に空気の密度が上昇するように感じて、息苦しくなる。
「あと、いくら必要なんだ」
「30~50億。まあ、多ければ多いほど良いですがね」
フェルナンド教授とノルマは、とんでもない額のお金の話になってきて鼻白む。
アジウソンは、少し苛つきながら言った。
「この技術が実用化した時には、天文学的な利益が生じるのは間違いないんだ。先行投資に多少かかったとしても、あっという間に回収が可能なんだ。投資家だって、それくらい分かるだろう」
モルビデリ氏は顔色も変えず、『今日はこれで帰ります』と言って席を立った。
言うべきことは言ったのだろう。
「とにかく、現在の資金では、フェーズ2で資金は尽きます。早く資金を調達してくださいね。よろしくお願いしますよ」
廊下のドアの前で振り向くと、そう言って出て行った。
やっと口がきけるようになったのか、ノルマが心配そうに理事長の顔を見る。
「私、何かお手伝いしましょうか」
「…いや、君達は何も心配いらん。それより試験に全力を向けてくれ」
アジウソンは胸のなかで呟く。
『まったく厄介なことばかり続くものだ。また金か…』
窓の外は、嫌になるほどよい天気だった。
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