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しおりを挟む半年しないで、婚約者のエルフルトとその母親が見るからに怪しい占い師にハマり、アストリットとこのまま結婚すると破滅すると言われたとかで突然、婚約破棄すると言われたのには驚いた。
(色々言いたいことがあるけど、今は黙っていなきゃ。何としても、破棄してもらわなくては、この人と結婚することにのることだけは、回避したい!)
母も、言われ放題なことに血管がブチ切れるのではなかろうかと思うほど、恐ろしい顔をしていた。手に持つ扇子を捻じりあげていたのを見なかったことにした。
それにより、あちらの都合で破棄されることになって、ホッとした。
だが、勝手にあれこれ決めていた夫人は、この騒動により夫に愛想を尽かされて離縁されることになった。ようやく決まった婚約を聞いたこともない占い師の言葉を鵜呑みにして決めたことで、周りからも色々と言われたようだ。当たり前の話だと思うが。
アストリットの父も、問題を起こしたら即離婚する書類にサインをしていたこともあり、母はなんの躊躇いもなく書類を提出した。
父は、それでも夫婦だから、まだ挽回の余地があると思っていたらしく、最後まで家から出るのを拒んで使用人に追い出されて見苦しい最後を見ることになった。
(本当に不思議だわ。どうして、母は父と結婚したのかしら?)
それに占い師だ。どこからわいて出たのかと思っていたが、すぐに仕掛けた人間はわかった。
「殿下たちだったんですね」
「ん? 何のことかな?」
釣書の中に入っていた中に王子の者が入っていて、物凄く驚いてしまった。どうやって断るかと考えていたのだが、王妃のお茶会に母娘で呼ばれたかと思えば、母は王妃とつもる話があると王子が庭を案内してくれることになった。
(母様までぐるみたいだし、王妃様とは学生の時からの仲らしいから、これを断るなんて無理そうよね)
あの、得体の知れない占い師を差し向けたのも王妃と王子だろうと思ったが、それ以上は追及しなかった。
こうして、父が勝手に決めた婚約が破棄されて、今度はいつの間にか逃げ場のない新しい婚約者である王子との婚約が決まったのは、母と王妃という強い味方を得た王子に軍配があがったようだ。
(まぁ、母様が決めたことなら、父様の決めた相手よりましだと思いたいけど……)
父と結婚した理由を知ったのは、王妃が教えてくれた。
父、ジュライの幼なじみが、学生時代の王妃と母に何かと意地悪をしていたそうだ。自分こそが、将来王妃になるに相応しいと思っていたらしく、貶めるようなことをしていたが、結局は婚約者にすらなれなかった。ジュライの婚約者になれると思ったら、母のところに婿入りするとなり、それなら婿入りしたあとで利用出来ると考えたようなのだ。
(それにまんまと利用され続けた父様も、どうかしているわ)
危うくアストリットまで、利用されるところだったのを阻止してくれたのは助かった。王子も勘違いだらけのエルフルトと違って、とてもいい人だとわかり安堵した。
こうして、王妃と母の思惑通りに自分たちの子供たちが結婚して学生時代からの夢が叶ったと喜ぶ2人にアストリットたちも嬉しそうに笑いあい、幸せな家庭を築くことが出来た。
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