姉妹揃って婚約破棄するきっかけは私が寝違えたことから始まったのは事実ですが、上手くいかない原因は私のせいではありません

珠宮さくら

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アリーチェが留学している間に新しい婚約者ができた頃、エルネストとロベルタの婚約は、いまいちなことになっていた。


「なんか、最近一緒にいないわね」
「ロベルタ様が、あちらによくいるからみたいよ」


あちらというのは、アリーチェの兄のところのことだった。

何かと相談に乗っていたせいか。ロベルタが、エルネストと婚約したというのにアリーチェの兄を頼りにしてばかりいるのが直らなかったのだ。

それをエルネストは、何とも言えない顔で見ていた。婚約した王女が、幼なじみという名の古くからの知り合いといる方が楽しそうにしているのだ。


「元々、仲良いったみたいだな」
「なら、自分が婚約すればよかったのにな」
「いつもの嫌がらせだろ」
「嫌がらせ?」
「昔は、何かあるとよく手を上げていたんだ」


嫌がらせの延長で、エルネストと婚約させたのだとまことしやかに噂されることになり、美男美女でお似合いだと思われていた2人を微笑ましそうに見る者は減っていった。

エルネストは、相手が隣国の王女というのもあり、婚約を破棄することもできずに不満ばかりが募ることになった。

だが、ロベルタはそんなつもりはなかった。アリーチェの兄の方は、妹がロベルタの兄の王太子に紹介しようとしていたのによりにもよって、エルネストの双子の弟のフィリベルトと婚約したと知ってイライラしていたこともあり、エルネストに仕返しするのも変だが、いつものように当たり散らすかのようにした。

それによって、エルネストとロベルタは結婚してから幸せではない生活が始まることになり、アリーチェの兄がロベルタの相談に彼が結婚してからも乗るようになって、2組の結婚が幸せではないものになっていくことになるとは思わなかった。

アリーチェの兄は、元王女となったロベルタと不倫していると妻に思われて、子供が生まれてから離婚することになり、ロベルタもエルネストに離婚してほしいと言われて驚愕することになったのだ。


「私、不倫なんてしていないわ!」
「でも、妻帯者のあいつと2人っきりでよく会っていただろ」
「それは、相談したいことがあって」


ロベルタは、いつもそればかりだった。彼女の両親は、娘が不倫なんてするわけがないと擁護していたのを一転させて、味方しなくなったのも証拠が多すぎたせいだった。


「婚約していた時から、怪しかったもんな」
「そうなるよな」


学生時代をよく知る者たちは、離婚することになってそんな話で同情も、ロベルタたちのしたことをあり得ないと思われることもなかった。

こうして、しっくりこない2人はアリーチェの兄夫妻と子供たちを巻き込んで離婚するしかなかった。

アリーチェの兄は、ロベルタの離婚の責任を取って再婚することになったが、どちらの両親からもあてにするなと言われて、ぎすぎすした関係となった。

それを見ていたアリーチェたちの母親は……。


「しっくりきていたのが、すっかり変わってしまったわ。こんなこともあるのね」


ぽつりも息子とその妻を見て呟いたが、聞いている者はいなかった。


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