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第3章
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しおりを挟むフィオレンティーナは、オギュストが辛そうにしているのは板挟みになっているからだと思っていた。
確かに板挟みになってはいたが、フィオレンティーナが思っているようなことではなかったのだが、フィオレンティーナは……。
(やっぱり王弟としては、兄である国王を立ててほしいわよね。私みたいな小娘に好き勝手されて、面白いわけないもの。はぁ、花の守り手だからって、勘違いしちゃ駄目ってことよね。国王より上の立場なんて、ありえないわよね)
建前があるから、言葉通りに捉えたら駄目だと思っていた。フィオレンティーナは、それを考えるのに疲れていた。
リュシアンは、フィオレンティーナに時間を費やしていて、今はこちらの新学期が始まる前にやらねばならないことがたくさんあるようだが、それでもフィオレンティーナを気にかけてくれていた。それにも、申し訳なくなってしまっていた。
(あの、お二人も、見かけなくなったし)
キャトリンヌとジョスランだ。それこそ、フィオレンティーナが死にかけている時にリュシアンだけでなくて、二人は婚約を解消してでも、ジョスランをフィオレンティーナの婚約者にしようとしていたと聞いて、ぎょっとした。
それをしないでくれてよかったと思っているが、しなかったことで家族だけでなくて、周りからも色々と言われていたようだ。それが、申し訳なくてならなかった。
(ここの人たちの思考が、いまいちわからないわ。妖精の血って、とっても複雑みたいね)
ここでは、やることなすこと、花の守り手だからと止められるのだ。フィオレンティーナはこの世界の両親や妹に言われていた。貴族らしくしていろと言われていたのと同じように聞こえてならなかった。
それだけでも、疲れてしまっているのに。烙印持ちとなった妹をフィオレンティーナから離すために触れたことで、キャトリンヌが火傷したと聞いて泣きそうになった。
誰も、その話をしてくれなかったのだが、フィオレンティーナが目が覚めたと知って色んな人たちが出入りしたが、フィオレンティーナが直接会うことはなかった。
それはたまたま、廊下を歩く者の言葉を耳にして知ったことだった。
取り乱したフィオレンティーナにキャトリンヌたちは、駆けつけてくれてなんてことはないように話してくれた。
あの刺繍のハンカチに不思議な力があって治ったと聞いて、フィオレンティーナは驚いてしまった。
眠っている間に本当に色々あったようだが、フィオレンティーナは何かした感覚は全くない。全くないせいで、何もできていない感覚しかなかった。
そんなことを思って、ため息がよくこぼれた。フィオレンティーナは、花を構えていられるだけで幸せだった。人間関係がぎくしゃくしていることにげんなりしていた。
疲れているせいか。蔦も元気なさそうにしていた。
そして、この屋敷に入れる者が更に限られることになった。
オギュストたちがしたわけでなく、花の守り手の証の蔦がしたことだったが、フィオレンティーナはオギュストたちがして益々人を遠ざけたと思ってしまった。
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