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「婚約破棄されたんだって?」
「……」
「まぁ、お前みたいなのと婚約してたくはないよな」
「っ、」


スカーレットは、元々デリカシーの欠片もない幼なじみのセオドールの兄であるレオニード。そんな男からの心無い言葉は、いつものことで会うたびに何かしら言われるとわかっていても、ムカついて眉を顰めてしまうのは仕方がないと思う。


(いつも、いつも、会うたびに嫌味ばっかり。本当に嫌になるわ。それにしても、私の婚約が破棄って、何を言ってるのかしら?)


スカーレットは、そもそも婚約などしていない。だと言うのにレオニードは、スカーレットが何も言い返さないことをいいことに散々なことを言って置きながら、益々図に乗ってしまったようだ。


「まぁ、お前みたいなのが傷物になったところで、貰い手なんて見つかるはずもないしな。弟の幼なじみのよしみで、仕方がないから俺が婚約してやってもいいぜ?」
「……あなた、さっきから何言ってるの?」


(例え、破棄されることがあったとしても、絶対にこの人を選ぶ日なんて来ないわよ! 来るわけがないじゃない! というか、破棄されている前提で話を進めてるけど、誰かと間違えてるわよ!)


「何って、大事な話してるとこだろ」
「そうじゃなくて、破棄されたって、私じゃないわよ」
「あぁ、そういうことか。認めたくないんだな」
「……」


可哀想な顔をしているレオニードに益々腹が立って来たスカーレットは、まだ何か言っているのをほっといて、さっさと帰宅したのだった。

いつもなら、無視して放置しているのについつい言い返してしまったことをスカーレットは反省しつつ、今日のレオニードは本当にわけのわからないことを言っていたなと思いつつ、しっくりこなかった。


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