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しおりを挟む「え? 私が、生まれ変わり……?」
「そういう噂があるんだ。隣の国の魔法を使える者たちは、みんなが石化してしまったと報告も受けている」
「石化?!」
「何か、心当たりは?」
「あー、そう言えば、結界みたいなのを通り抜けた気が……。もしかして、私が国を出たからかも知れません」
ペネロペイアは、魔法を自慢したり、誇示するのを見るのが好きではなかった。かと言って怪我をしたと治療を頼み込む平民に金をいくらまで出せるかと聞いたりして、治療する人間も嫌いだった。
(魔法は、世界をよりよくするためにあるって、教えられているのに。あの人たちは知っているだけで、自分の都合にあわせてばかりだったのよね)
「ペネロペイア様! 子供が、木から落ちてしまって、骨を折っちまったみたいで、すぐ来てもらえませんか?!」
「わかったわ!」
「ペネロペイア」
「きっと、心から何が間違っていたかを反省すれば石化も解けますよ」
「君が、そういうなら、そうなのだろう」
あの結界の側で見つかった最強の魔法使いが、残した石にこう記してあった。
『魔法にも、白と黒がある。
黒の魔法については、教える気はない。
だが、教えずとも使えるようになるだろう。人間とは、そういうモノを内に誰しも持っているものだ。
私が、教えるのは、白の魔法だ。人々を豊かにし、手助けとなる魔法。
だが、これも、使いすぎれば、黒の魔法のように使う魔法使いの心と相手の心を黒く淀ませるモノとなりかねない。
全ては、バランスだ。
それを保つことこそ、もっとも大事なことだ。
私が生まれ変わって、それが歪んでいた時は、その罰を受けることを心せよ』
だが、罰を受けた者たちの石化が、すぐに解けることはなかった。
石化してもなお、ペネロペイアのことを悪く思っていて、恨みつらみばかりで、悪かったと思っていなかったのだ。
ペネロペイアはというと王子と結婚することになり、最後まで己のためでなく、人助けのためにのみ魔法を使い続け、自分の病気の治療には使うことはなかった。
そんな、ペネロペイアを癒やすのは彼女を溺愛してやまない王子と彼女に助けられた者たちだった。
こうして、ペネロペイアは幸せいっぱいで笑顔溢れる人生を送ることが出来たのだった。
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