聖女として生まれ変わることを望む私をあなたは、見つけてくれますか?

珠宮さくら

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ヴィルヘルミーネは、自分が聖女に選ばれたことを思い返していた。

それは、ランドルフたちを見送って、何日かすぎた頃のことだった。

その日も、ヴィルヘルミーネはランドルフたちを見送ってから、日が昇る前から神殿に赴いてはボランティアをしたり、祈りを時間が許す限り行っていた。それが、すっかりヴィルヘルミーネの日常の一部になっていた。

時には、以前にもまして熱心すぎるヴィルヘルミーネを心配した兄や母やローザリンデが神殿まで迎えに来たり、様子を見ながら一緒になってボランティアに参加したりしてくれていた。


「ちゃんと休まないと倒れるわよ」
「ありがとう。でも、大丈夫よ。三食は食べてるもの」
「きちんと食べてはないでしょ。ながらで食べないで、ちゃんと休憩して食べなさいな」
「慣れてるから平気よ」
「駄目よ。そんな食べ方してたら、消化に悪いわ。私に休憩を取らせたんだから、ここは今度は私に任せて休んで」
「でも……」


ローザリンデは、言葉巧みにそんなことを言ってくれていた。ヴィルヘルミーネを何かと気にかけていた友達は、彼女が一番だった。


「もっと言ってやってくれ。もう、私や両親の言葉では駄目なんだ」
「駄目って酷いわ。ちゃんと聞いているのに」
「聞いてるだけだろ。返事だけはいいんだよな」


ヴィルヘルミーネは、そんなことないはずだと言いたかったが、そんなことあったようだ。兄の言葉に神官たちやボランティアの仲間たちが、みんな大きく頷いていたのを見ることになったのだ。


(あれ……?)


「ほら、みんなだって心配してるのよ」
「ごめんなさい。気をつけます」
「……そう言いながら、動かない。休めって言ったでしょ!」


そんな風に強く言うのは、ローザリンデだけだった。そんなやり取りに周りは、みんな笑っていた。

ヴィルヘルミーネが、ようやく休むとなってホッとしている人たちは多くいた。


「本当に仲がよろしいですな」
「ごめんなさい。煩くしてしまって」
「いいんですよ。みんな、彼女が倒れるのではないかと思って心配してたんです。一番動いているのも、祈っているのも、常に彼女ですから」


それでも、誰もヴィルヘルミーネにそこまでするなとは言わなかった。いや、言えなかった。


「彼女が、倒れたとなったら、街の人たちがここに押しかけて大変なことになりそうですよね」
「確かに。ここが、人で溢れるのが目に浮かびます」


ヴィルヘルミーネは、友達と神官やボランティアが、そんな話をしているとは思いもしなかった。

ありがたいことにローザリンデの強引さがなければずっと神殿にいて、眠ることも、食事を取ることも、休むこともせずにヴィルヘルミーネは色んなことを疎かにしすぎて、とっくに倒れていただろう。

それでも、ヴィルヘルミーネは自分に何かできることがないかと常に自問自答していた。その答えにたどり着けずに祈りの合間に尋ねていた。


(私にできることは、何があるのでしょうか。私に成すべき事があるのなら、どうか役目をお与えください。この命尽きようとも、全身全霊で成し遂げてみせます)


ヴィルヘルミーネは、そんな風に祈るようになっていた。その時も、時間を見つけて祈っていたのだが、不意に光が差し込んで来たのを感じたが、目を開けることはなかった。


(変ね? ここにこんな風に差し込む光なんてないはずなのに)


そこに差し込むような強い光が入ることはないのだが、それが段々と強くなり、それに驚いて目を開けると神々しい何かが、ヴィルヘルミーネの前に現れたのはすぐのことだった。


「っ、」


それを見て、ヴィルヘルミーネは強い中に暖かいものを感じて、眩しいながらも、必死にその中にいらっしゃる何かを見ようとしていた。それが何かを言葉にしたのは、無意識だった。


「神様」


ヴィルヘルミーネが常日頃、祈りを捧げている人物が側にいることをひしひしと感じて、ヴィルヘルミーネは姿をその目に焼き付けるよりも、身体から喜びが溢れ出して涙がとめどなくこぼれ落ちた。


(こんなすぐ近くにご降臨されるのを目の辺りにできるなんて……。こんな幸せがあるのかしら。あぁ、どうしよう。聞きたいことはたくさんあるはずなのに)


ヴィルヘルミーネは、それでも必死になって言葉には出来なかったが、心の中で日頃の感謝を伝え、自分にできることは何があるのかと尋ねていた。


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