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しおりを挟む姉と美穂は3歳離れていたが、姉が小中学校の時も色々あった。父方の祖父母が、その色々の主だったが、彼らにその自覚はないと思う。あったら、あのままでいられないはずだ。
彼らにとっては通常運転でしかないのだろう。他にも、祖父母たちには息子や娘がいた。だが、美穂の父が一番のお気に入りだったようだ。
他の子供たちには、あの調子で息子たちが家庭を持ってからは縁を切られてしまったようだ。自分たちに似てないことで、色々と言っていたことと結婚相手にも色々と言っていたことで、我慢の限界を迎えてしまったようだ。
それこそ、生まれてきた子供にも、美穂たちのような応対をし続けることが目に見えていて、先に手を打ったようなものだと思う。
(すっごくよくわかる。父さんが、お気に入りとかじゃなければ、こんなことになってなかったのに。それか、姉さんが今のお気に入りとかじゃなければ、こんなことにもなってなかったのに)
美穂は、あからさまな孫差別をされながら、そんなことを思っていた。
美穂の母は、父がお気に入りだったこともあり、他の義理の兄や姉のように縁を切るのが難しかったようだが、応対は父に任せていてやり過ごしていたようだ。それが、先に亡くなったことで次のお気に入りとなっている由美が可愛がられているせいで、縁を切ることが完全にできずにいた。
美穂と母は、亡くなった美穂父であり、母からしたら義父母の家には極力近づかないことにして、意気揚々と遊びに行くのは由美のみとなるのも、割とすぐのことだった。
向こうも、その方がいいと気づいたようだ。美穂に来いと言うことはなかったし、母にも言ってくることはなかった。
「どう? これ、買ってもらったのよ」
「そうなんだ。良かったね」
あちらに会いに行くのも、祖父母が費用を受け持っているようだが、それについて母が何か言うことはなかった。その費用を母が出していたら、半年どころか。1年に一回くらいしか、姉は祖父母のところに行けてはいなかったはずだ。だが、祖父母が負担してくれていたことで、1か月に一回、由美が祖父母のところに遊びに行っていた。
あちらも、祖父母のところに孫が頻繁に遊びに来てくれていることを近所や知り合いに言いたかったようだ。そんな思惑がなければ、1か月に一回なんて呼んではいないはずだ。それなりに費用がかかっても、周りに自慢したかったようだ。
(自慢する内容が、由美はあんまりないものね。それなのに毎月よく貢げるわ。そんなことにお金かけるなら、別のことにお金使えばいいのに)
由美をどう自慢するかってなると成績の話題はできないから、祖父母想いのいい孫ってところを全面に出すしかなかったのかも知れない。あとは、顔はまぁまぁ可愛いから着飾ればよく見えると思ってのことかも知れない。
そんな風に1か月に一回、祖父母のところに行くので、その間、母と美穂が楽しく邪魔されずに過ごしていた。もっとも、何かを買ってもらうと由美が目ざとく気がつくため、出かけた先で美味しいものを食べることがもっぱらだった。
そう、姉がいない時の方が、美穂と母は平穏だった。でも、問題は姉が帰って来た後のことだった。
(帰って来たら、また煩くするんだろうな。今度は、何をしてもらったって言うのかな。もう、話に付き合うの嫌だな。一層のこと、あっちのおじいちゃんたちと暮らせばいいのに)
美穂は、そんなことを思うようになっていた。
何がうざいかというと戻って来るたび、物を買ってもらったとか。美味しいものを食べに行ったとか言う話を美穂は聞かされるのだ。1日で終わればいいが、それが数日続くのがパターンとなっていて、母と出かけるのは楽しいが、その後が憂鬱で仕方がなかった。
(姉さんが、あっちのおじいちゃんたちと一緒に暮らせば、ずっと母さんを独り占めできるのに)
この時の美穂は、友達と遊ぶよりも母と2人っきりで過ごす方が楽しかった。美穂としては無理しているつもりはなかったが、母が喜んでいるのを見るのが自分の喜びになっていた。
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