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ヴェロニカが不安を覚えながらも、国を出ようと歩いているところに通りかかったのが、隣国から来ていた王女の乗った馬車だったようだ。

その馬車はヴェロニカを通り越して行ったが、少し先のところで止まったのだ。


(?)


ヴェロニカは、不思議そうにしながらも、馬車からひょっこりと顔を出した女性に驚いてしまった。


「やっぱり、ヴェロニカじゃない。こんなところで、どうしたの?」
「殿下」
「もう、名前でいいって言ってるのに。まぁ、いいわ。こんな時間にどこに行くの? 良ければ送るわよ?」
「……」


王女のアンヌマリーは気さくな性格をしていて、ヴェロニカのことを何故だか知らないが気に入ったらしく、こうして気にかけてくれていた。

それこそ、他の人たちはみんなヴィクトリアの話ばかりを信じたが、アンヌマリーはヴェロニカの話もきっちりと聞いてから、ヴェロニカの方に味方してくれたのだ。そこから、何かと学園ではヴェロニカを気にかけてくれて、よく話しかけてくれていたのだ。

もっとも、アンヌマリーがヴェロニカにばかり話しかけて、ヴィクトリアのことをぞんざいに扱う姿は、ヴェロニカも滅多に見られない姿だったが、もしかすると今回のことには、それの腹いせも含まれていたのかも知れない。


(あの子なら、考えそうなことだわ)


ヴェロニカは、溜め込んでいた話をしたら、アンヌマリーは物凄く怒ってくれた。

そうして、行く宛がないなら、急遽、帰国することになったから一緒に行きましょうと誘ってくれて馬車に乗せてもらい、隣国へ行くことになった。


(良かった。徒歩だったら、どのくらいかかったことか。それこそ、今日から野宿しなきゃいけないかと思ったわ)


そんなヴェロニカの気持ちを思ってくれたのか。道中のアンヌマリーのおしゃべりは、ヴェロニカには楽しくて仕方がないものだった。

王女の護衛やメイドの人も、ヴェロニカのことをよく知っていてくれて気にかけてくれて、有り難いのと同時に申し訳ない気持ちもあった。


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