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3、新たな婚約と試練の行方
しおりを挟むロメリアと王子の婚約が成立して、10年近く。よくたえたものだ。喜怒哀楽を隠すのも、上手くなった。
『お互いに尊重しあい、助け合うことで和らぎ、絆が深まれば深まるほど、早く消える試練だ。一方的に消そうとすれば酷くなるから、そのつもりで。ただの呪いだと思って返し続けてはならぬ。良いな?』
そういう説明を精霊王に婚約したことを報告した時にされたのたが、バンダカは精霊の言葉をちゃんと勉強していなくて、わかったフリをして、頷いていただけだった。
あの時、ちゃんと言葉を理解して聞いていたら、それはそれで困ってしまった。ロメリアは王太子妃になりたいと思っていなかったのだ。
あの可愛いらしい呪いのような試練をそのままにして、10年もの間、たえていた。……そこまでして、この婚約が破棄になることを待ち望んでいた。
バンダカは妖精のことを軽んじるところがあった。王太子ともあろう人が、妖精王と話すのに必要な言葉をきちんと勉強せずに蔑ろにしてきたのも嫌だった。
更に極めつけは……。
「それは、君が何とかしてくれ」
「え……?」
「私は、王太子として色々やることがあるんだ。お祖母様の時も、母上の時も、すぐに消えたというから、君にも、すぐに消せるだろう」
「……」
バンダカは、妖精王と何の話をしたのかを全く気にもしなかった。
ただ、どうにかしろと命じるだけで、一切、本当に何もしなかった。
それだけでなく、会うたびにいつになったら、消せるのかと言われるくらいだった。それには、イラッとした。
そんな彼にロメリアは婚約者だけでなく王太子妃になってから支え続けなくてはならないのかと思ったら、げんなりしてしまった。本当に何の協力もしないバンダカに絆をどう感じろというのか。
「王太子も、きちんと勉強していたら、新しい婚約者にアドバイスも出来たのでしょうけど……。あ、でも、確か、リンベル様は、精霊が見えない方だと聞いたことがあったような……?」
つまり、きちんと勉強していても、見えない人と何を言われているか言葉のわからない人同士ということだ。
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