初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

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第1章

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ウィスタリアは、元婚約者によってすっかり変な方向に鍛えられたことに喜んでいいのかがわからなくなっていたら、もっと身近で厄介になってしまっている人間に声をかけられた。

大人しくしていてほしいが、そんな時に限ってそれができないところも、祖母に似ている。血のなせる技か。一緒にいすぎたせいなのかはわからないが、こんなことを言った。


「お可哀想なお姉様。将来を有望視されている方にあそこまで嫌われてしまっては、これから大変ね」
「……」


プリムローズに突然、そんなことを言われて、ウィスタリアは思わずきょとんとしてしまった。


(今、なんて言ったの? 将来を有望視されている?? 誰のことを言っているの?)


妹が言った内容に瞬きが多くなってしまった。

そんなことしても、目の前で意地悪げにして、あの人前でするなと言う顔をしている妹が消えてなくなるわけではないが、思わず試してみたくなった。

子供みたいなことだが、それだけウィスタリアは疲れているのだろう。瞬きする間に一瞬でもいいから、視界から消えてほしかったが、ずっと消えてくれることはない。目を閉じて見ないようにしていたかったが、それだと瞼の裏にあの顔が思い出されてしまうから、瞬きが一番よかった。かなり間抜けなことでも、それを見ているのは目の前の妹だけだ。

他所ではできないが、家族ならば問題ないはずだ。

むしろ、瞬きをいくらしても、嫌味というか。残念な顔をしている妹が、どこかにいなくなることはなかった。今の間に部屋に引っ込んでほしいとすら思ってしまったが、そんなこと察してくれる妹ではないようだ。そういうところも、祖父母のようだ。すっかり、それが普通のことになってしまって刷り込まれているようだ。

同じ姉妹なのに見た目も違う。何より好みも、まるで違っていた。妹は、すっかり派手なものを好むようになっていて、化粧も派手めで目立ってなんぼみたいなところしかない。そのため、似合っているかなんて二の次になったものを着ているようになった。私服は、趣味が悪いものしか持っていないようで、ウィスタリアは見かけるたび言葉を失った。

そんな妹が消えてなくなるなんてわけがない。派手すぎて、遠目でも目立ちまくるような出で立ちをしているのだ。今日は、どこかに出かけるわけでもないのに一段と派手な格好をしていて、それを見ることになったウィスタリアだけでなく、両親も家の中で何を目立つ必要があるんだという目を向けていた。

本人は自分にあった格好をしているとしか思っていないようで、ウィスタリアにしか見せないニヤニヤ顔をし続けていた。いい加減にやめてほしい。ウィスタリアですら、イラッとしてしまうほどなのは、疲れているだけなのか。疲れていなくとも、そうなるのかはわからない。

その顔が他人に見せられないような顔をしているのを見て、両親も流石に見ていられなくてやめさせようとしたが、プリムローズが素直にやめることはなかった。

その顔はともかく、それもこれも周りが酷い格好をしていると本当のことを面と向かって言う者がいないせいもあった。もっとも言う者がいなくとも、普通は気づくところだが、プリムローズは言われたことも都合よく歪めるところがある。言うだけ無駄だと思われているせいで、とんでもない格好ばかりしていることに拍車がかかってはいた。

まぁ、記憶に関しては、ウィスタリアも忘れている部分があるのだから、人のことは言えないが、それでも悲しみのあまり記憶を書き換えること、都合良く書き換えるのは別物だと思う。


(今日は一段と酷いわね。これは、気合いの現れってことなのかしら。問題は何に気合をいれているかよね)


そんなことを思いながら、用事を思い出したと逃げたくなってしまったが、そんな用事もないウィスタリアは何を言いたいのかを聞くしかないと諦めるしかなかった。


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