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第1章
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しおりを挟む姉を殺したプリムローズは、自らの手でウィスタリアを殺したというのに大喜びした。
階段の下で、明らかに死んでいるのを見て喜べるのも人として、どうかと思う。周りに人がいたら、物申していただろうが、それを目撃する者はいなかった。
「やったわ! これで、あの人の婚約者に私はなれる。これで、お姉様に勝ったわ」
ソレムと婚約してもらえると喜ぶプリムローズは、姉を殺した罪悪感なんて欠片も持ってはいなかった。今まさに姉を手に掛けたという感覚もなかった。邪魔なのを生ゴミに出したようとでも言えばいいのか。
必要ないものを処分した感覚しかなかった。それこそ、自分の好みに合わない服を捨てるかのようにあとは、ゴミ箱というなの冷たい土の下に埋めるだけ。プリムローズの態度は、そんなようなものだった。
姉に小さい頃、どれだけ世話になってきたかなんてことは頭にはない。すっかり祖父母たちによって、記憶が歪められてしまっていて、逆にどれだけ邪魔されて来たかをプリムローズは忌々しそうにして残っていた。
そう、妹には姉なんて自分の邪魔をする存在でしかなくなっていた。何をしても怒るし、やめろと言う。良かれと思っているのに祖父母があれだけ褒めちぎることですら、邪魔をするのだ。
もっとも、家にいなかったはずで、両親がしていたことのはずなのにその記憶が、姉がしていたことだと思い込んでいたのだ。そう思わせたのは、祖父母だ。
そんな存在でしかなくなっていた。そして、ソレムと婚約していたことが羨ましくて仕方がなかった。
誰もが言っていた。
「ウィスタリア様が羨ましいわ。あんなに将来有望な人と婚約なさるんだもの」
「本当にそうよね。王太子殿下と婚約できなかったのを不思議がっていたけれど。将来性は、間違いないものね」
そんな風に言うのをプリムローズは覚えていた。それは、ジュニパーの取り巻きたちだった。
それだけではない。ソレムにも、他の人たちが褒めちぎっていたのも、ちゃんと聞いた。
「ソレム様みたいな将来有望な方と婚約できるなんて、ウィスタリア様が羨ましいわ」
「本当にそうね」
「ふん。そうだろう」
ソレムは、それに得意顔をしていたのも、プリムローズは見ていた。それも、ジュニパーに媚を売っていた連中と嫌味を彼に言いたかった連中がしたことだ。
ただ、そんなことを話していた令嬢たちが、得意顔をしているソレムに白けた顔やら、正気なのかと言う顔をしていたが、それはプリムローズはそれを見ていなかった。
誰も彼もが、姉を羨んでいた。ソレムのことで、羨んでいたのだ。そう見えたのだ。
ちゃんと聞いていたのだから間違いない。だから、そんな存在の婚約者だったのを亡くしたことで、嘆き悲しんでいれば、姉と違って器量のいい自分を可哀想に思って婚約者にしてくれるはずだと、プリムローズは思ったのだ。
なんというか。かなり強引な、強引すぎるシナリオだが、プリムローズはそれが上手くいかないはずがないと思っていた。
そのために破棄になって、気もそぞらな姉がうっかり躓いたかのようにしたのだ。
上手くいって、死んだことを喜んでしまったのは、仕方がないとプリムローズは思っていた。だって、嬉しいのだから。
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