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しおりを挟むただ、同じような顔で生まれただけなのに。それだけで、こんな目にあわされたアデラインは、怒り狂うのを止められなくなっていた。
これまで、アデラインはここまで怒ったことがなかった。ディアドラがすることなすこと、同じような顔なのに全く違う妹に関わると面倒くさいことになるだけだと思っていた。
でも、今回のことは、それだけでは許されない。
婚約するはずだった王太子の本音は酷いなんて言葉では済まされないものだった。
王太子は、顔で選ぶ人物だったのだ。一番顔には興味ないかのようにしていて、最終的に顔で選ぶような人だった。それこそ、中身を見ようともせずに見た目だけでいいかのようにするのは、こっちから願い下げだ。
アデラインは、学園で王太子とディアドラが笑っているのを見たことがあった。ディアドラが王太子の婚約者となったことで、取り巻きとなった令嬢たちも、同じように笑っていた。
「っ、」
笑いあっている姿にアデラインは、ぎりっと唇を噛んでしまっていた。
ディアドラと王太子がいないとその取り巻きたちは、2人を持ち上げてばかりいたのが嘘のようにボロクソに言っていたが、それを見聞きするよりめアデラインが堪えられないのは、ディアドラが笑いあって楽しそうにしているのを見た時だった。
その笑顔を見ているだけで、アデラインの復讐心を更に煮えたぎらせたのは言うまでもない。
ただ、笑いあっているだけでも許せないほどなのは、何だかんだ言っても王太子のことを好きだったようだ。今となっては認めたくないが、本当に男を見る目がなかった。
あんなことを言われても、腸が煮えくり返しそうになったが、泣くなんてしなかった。
笑顔を見た日にアデラインは、初めて泣いた。それでも、己の顔を見なかった。そこで、見ていたら、復讐相手は減ることになりそうだったが、そうはならなかった。
でも、そんな2人の笑顔は長く見ることはなかった。アデラインの妹を選んだ王太子も、婚約したディアドラの酷さを目の当たりにして、余裕がなくなり始めた。
元より勉強なんて美人には必要ないと思っているようなディアドラだ。王太子妃となるのに勉強しなければならないことを知らないかのように周りから、勉強をするように言われても、ディアドラは……。
「何で、こんなに美人なのに勉強なんてしなきゃいけないのよ。王太子の隣なんて、着飾っていればいいだけじゃない。私と王太子の時間を邪魔しようとしているのね」
そんな勘違いをしていた。
王太子の方は責任を取りたくなくて、アデラインに決めさせて失敗すればアデラインのせいにして、成功すれば自分の手柄にしていた。
今はディアドラのせいにするのも自分で選んでも、最悪なことになると何度か、同じやり取りをしてようやくわかった。それに何より勉強が進まなすぎて、ディアドラの代わりに怒られてもいた。
「ディアドラ。王太子妃の勉強が全然進んでいないそうだが、どうなっているんだ?」
ある日、あまりにもしつこく言われて、確認すべくディアドラに聞いた。すると……。
「そりゃ、やっていませんから」
「は?」
あっけらかんと答えたディアドラに王太子の方が間抜けな顔をした。
「なら、ちゃんとやれ。お前はただですら授業の成績も酷いんだ。ちゃんと勉強しないと婚約し続けるなんて無理があるぞ。わかっているんだろうな? 着飾っていて許されるのは、アデラインほどの美貌を持つ令嬢だけだ」
「は?」
そこに姉のことを言われて、相手が王太子なのを忘れてディアドラは睨んでいた。
「もっともアデラインは、多彩で立っているだけなんてことはなかったが。私と婚約したんだ。普段の成績もトップ10には入るまでにならないと私まで笑いものになるだろ。いい加減、手を抜いてないで、本気でやれ」
「なっ、別に私は……」
手なんて抜いていないとは、ディアドラは言えなかった。それを言ったら、物凄い馬鹿だと思われるだけだと気づいてしまっていた。
ディアドラは一応、王太子妃となる勉強もしようとした。でも、ディアドラは学園の授業もあまりよくわかっていなかった。
それほど酷い状態なのを王太子は、わざとだと思っていた。何をしてもアデラインには勝てはしないのだ。
そのため、やろうとすればできると思っていた。それを中々やろうとしないため、わざわざ口にした。
面倒くさいことをわざわざさせたと王太子は思っていたが、ディアドラの顔を見ていなかった。
何とも言えない顔をしていることに気づいてはいなかった。
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