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しおりを挟むアデラインの復讐は、王太子とディアドラを別れさせないことだった。そのために証拠になるものを密かに集めていた。
そんなこと誰も気づいていないはずだ。アデラインは、前より学園の女性陣たちとも仲良くなれていた。顔が醜くなったから、婚約者を奪われることもないし、罰のような報いは受けたと思っているようだ。
そんな連中とも何でもないように仲良くするくらいアデラインは、どうということはなかった。
その頃には、ディアドラのできなさっぷりに王太子は頭を抱えていた。やはり顔に醜くなってもアデラインの方が王太子妃に向いていると思うようになったようだ。何かとアデラインに話しかけて来るようになったのは、王太子たちが婚約して1年が過ぎた頃だった。
ディアドラに期待せずに自分が頑張っていたらまだしも、彼が頑張ることにしたのは婚約者を変えることしか思いつかなかったようだ。全く変わっていない。彼は、都合のよい婚約者を得ることしか考えていないのだ。
「私が間違えていた」
「……」
「君こそ、私の運命の人だったのに」
王太子は、ディアドラとの婚約を破棄してアデラインと婚約したいとばかりに言い始めたのは、その頃からだった。
これに付き合うのが苦痛でならなかった。何を今更、やり直せると思っているのか。
醜くい顔となったアデラインの貰い手など見つかるはずがないと思っているからこそ、自分がもらってやるとばかりにしているのもわかって、再び腸が煮えくり返っていた。
「……残念ですが、私はあなたのことを運命の人だとは思っていません」
「顔のことなら、今のように隠していればいい。何か言って来る連中は、私が黙らせる」
それに限界を感じた。王太子は、さも顔のことを自分は言っていないかのようにしていた。それにアデラインは、笑いそうになった。
「なら、あなたが一番に黙るべきですね」
「は?」
王太子は、何を言われているのかわからない顔をしていた。
アデラインは、見舞いに来た日のことを彼に話した。すると王太子の顔から血の気が引いた。聞いていたとは思わなかったのだ。
「っ、いや、あれは……」
「それに国王陛下たちにも、お伝えしてあります。私の顔をこんな風にするほど、ディアドラと添い遂げたかったのだと」
それを聞いて王太子は、眉を顰めた。
「はぁ? 何を言うんだ。私は、事故のことに関与してないぞ」
「でも、あの子は、そのためにしたんです」
「まさか、ディアドラがやったのか?」
王太子は、それにぎょっとしていた。
アデラインは、国王や王妃にディアドラの酷さを報告で聞いたようで、アデラインに婚約者になってもらえないかとわざわざ呼びつけて言って来た。
元は想いあっていたのだから、やり直せるかのように言われて、ディアドラがしたこととそんなディアドラの方を気に入っていて、本命の方と婚約したいから、誰もが納得するようにアデラインの顔を醜くすることにしたと国王たちにアデラインは話した。
そこには、顔で選ぼうとしたが、やはりディアドラを選んで正解だったかのように王太子が言っていたのを証言した者も多くいたから、証拠になると話した。
「……なんてことだ」
「そのためにあなたに酷いことをしたなんて……」
「もう過ぎたことです。ですが、この2人は、本当に想いあっているんです。私のことを思ってくださるのなら、この2人を引き離さないでください」
「そうか。それが、そなたの望みなのだな?」
「はい」
「わかった」
国王は、何があっても別れさせはしないと言ってくれた。王妃も、息子が申し訳なかったと涙ながらに謝罪してくれて、アデラインの望みを叶えてくれることを約束してくれた。
王太子が、ディアドラと破棄や解消がしたいと言ってもさせはしないことを国王たちが誓ってくれているのだ。ディアドラがこのままなら、王太子妃になるのは無理になるだろう。
つまりは、王太子の座を彼が降りるしかないのだ。
そして、今更、自分は関わっていないと喚き散らしても、国王たちはアデラインの味方をしてくれたのは、想いあっているように見せかけて、アデラインの妹を選んだ理由に思うところがあったからだろう。
今の国王と王妃は、外見で人を見ることを何より嫌っている。だからこそ、そんな理由で顔を醜くさせて、添い遂げようとしたのが息子だと思いたくはなかったのだろうが、証拠を調べても違えていないことから、アデラインの言い分を信じてくれたのだ。
そう、ちょっとした行き違いがあれど、そこだけを切り取れば、そうしたようにしか思えなくなるから不思議だ。
アデラインは、王太子とディアドラにそんな風に復讐をした。
ディアドラの酷さから、王太子を弟に譲ることにして、ディアドラがあの家の跡継ぎとなり、元王太子が婿入りすることになった頃には、アデラインはとっくに顔のことを気にして修道院に入った後だった。
マルティネス公爵夫妻である両親には、頼りない跡継ぎとその人物とアデラインをどうにかして添い遂げたいと思った元王太子が家に婿入りするという復讐をして、跡継ぎを他所から養子にする話をなしにさせた。
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