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第二章 夢と魔法の国
13.運命の?お茶会。当日。
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あっという間に1ヶ月が経ち。
またまた仲良し姉妹定番の、お揃いのドレスに身を包んだ私とお姉さまと、そして付き添いのお母様で、侯爵家の馬車に乗り込む。
相変わらず広い。この空間魔法系は、間違いなく前世より便利と思う。人数によって広げられるし、お給仕すらしてもらえる。
そして、「マリー!リリー!楽しくご友人だけを作ってくるのだよ~!!」と、叫びながら馬車を見送るお父様を尻目に、私たちは王宮へ向かった。
気持ちは分からないでもないけれど、ちょっとウザいわ、お父様。最近は本当に鬼の財務大臣の威厳が無さすぎですわ。
そう、今日はお父様はお留守番。
そもそも大臣たちや官僚たちの休日であるけれど、王宮でね、お茶会ありますし。付き添いのお母様とその侍女たちしか行けないのでございます。
ん?そう考えると、王家は皆の休日もある意味お仕事よね?わあ、お疲れ様ですぅ。結構ブラックだよね。あ、でも給料(?)はいいのか?厳密にはブラックではないのか?……いや、まあでも、ならずに済むならその方が良さそうだよね。やっぱり全力で回避だな。
「リリー?ずいぶん大人しいけれど。緊張しているの?」
しまった、思考の沼に入りかけてしまった。
「大丈夫ですわ、お母様。頭の中で少し作戦会議を」
「あら、ふふっ、それは頼もしいわね。マリーも大丈夫かしら?」
「ええ。まったく緊張していないと言ったら嘘になりますけれど、わたくしにはリリーがいてくれますから」
なんて言う、マリーアの笑顔ったら!ヤバい!お任せくださいませー!!必ずお守りいたしますよ!
「任せて!マリー姉さまは大船に乗ったつもりでいてね!」
「ありがとう、頼りにしているわ、リリー」
そんな姉妹の話を、微笑ましそうに見守ってくれているお母様。それぞれの侍女たちもにこやかだ。やっぱり平和っていいなー。
なんて、三人で楽しくお喋りをしていると、20分位で城に到着する。さすが高位貴族の我が家のタウンハウスだ、城も近い。
城の門前に着くと、馬車のまま通され、貴賓の為の出入り口まで案内された。そのまま王宮へと向かう。
王宮のエントランスでは、既に何組かの人たちが到着していた。私たちもそれに続いて馬車を降りる。そしてそのまま、王宮の庭園まで城の使用人に案内された。今日のお茶会はガーデンパーティーだ。
「わ、あっ……」
思わず声が出る。さすが王宮の庭園だ。うちの侯爵邸もかなり美しく自慢の庭だが、迫力と絢爛さが違う。様々な色の花たちがあるのにどれも喧嘩せず、落ち着きさえ感じるほどに整えられている。でも華やかだ。さすが、王宮の庭師。正直、お茶会めんどくさ、と思っていたけれど、このお庭を見れただけでも得した気分だ。
「すごい、素敵ね、リリー」
「本当です。来て良かったですね、お姉さま」
ほぅ……と、庭園に見惚れてうっとりとするマリーアに共感して応える。
「ふふっ、王宮の庭園は何度見ても見事だけれど、初めてだと感動するわよね」
私たちは深く頷き、お母様も楽しげに話す。
「では、わたくしはここまでね。決められた席は分かるわね?あちらが、保護者の待機場所ですから、何かあったら侍女に伝言を頼むのよ?よろしくね、アイリ、スザンヌ」
「「はい、お母様」」
「「畏まりました、奥様」」
お母様の声にビシッと緊張感が入った私たちは改めて姿勢を正し、侍女の二人は頭を下げる。お母様は優雅な足取りで自分の専属侍女と共に待機場所へと向かった。
そして私たちも自分の席へと向かう。今日のお茶会は予め席が指定されており、そのテーブル毎に順に殿下が回ってお話をしてくれる、らしい。揉め事も少ないかもしれないけれど、他のテーブルの子たちとの接点は作り辛そうだよね。
まあ、王太子殿下の初主宰のお茶会だもんね。極力揉め事は抑えて成功させたいよね。わかる。
物語のリリーは……うん、揉め事起こしたわよね、主に身内に……それでよくも殿下の婚約者になれたなあ。そうだ、殿下に一目惚れした私のために、お母様がお父様に脅すかのように頼んでだった気がする。マリーアに今以上に危害を加えられたくないお父様は、私の魔力の多さを武器に、その座を勝ち取ったんだ。物語の序盤では、マリーアの聖魔法も判明していなかったし(主に私のせいで)。何だか嫌なことを思い出したわ。
オーケイ、大丈夫よ、リリー。今回はそんな轍は踏まない。マリーアの聖魔法だって認知されているし。他のご令嬢も優秀って、お母様だって言っていた。
私は軽く深呼吸をして、あらためて自分の席へと向かう。
よし!
『君子危うきに近寄らず』大作戦、開始ですわよ!
今こそ、前世の日本人魂を発揮して、当たり障りなーく、上手くその場を乗り切るぞ!
……って、それ、前世の私は得意ではなかったけれど。
いや、頑張りますよ!
またまた仲良し姉妹定番の、お揃いのドレスに身を包んだ私とお姉さまと、そして付き添いのお母様で、侯爵家の馬車に乗り込む。
相変わらず広い。この空間魔法系は、間違いなく前世より便利と思う。人数によって広げられるし、お給仕すらしてもらえる。
そして、「マリー!リリー!楽しくご友人だけを作ってくるのだよ~!!」と、叫びながら馬車を見送るお父様を尻目に、私たちは王宮へ向かった。
気持ちは分からないでもないけれど、ちょっとウザいわ、お父様。最近は本当に鬼の財務大臣の威厳が無さすぎですわ。
そう、今日はお父様はお留守番。
そもそも大臣たちや官僚たちの休日であるけれど、王宮でね、お茶会ありますし。付き添いのお母様とその侍女たちしか行けないのでございます。
ん?そう考えると、王家は皆の休日もある意味お仕事よね?わあ、お疲れ様ですぅ。結構ブラックだよね。あ、でも給料(?)はいいのか?厳密にはブラックではないのか?……いや、まあでも、ならずに済むならその方が良さそうだよね。やっぱり全力で回避だな。
「リリー?ずいぶん大人しいけれど。緊張しているの?」
しまった、思考の沼に入りかけてしまった。
「大丈夫ですわ、お母様。頭の中で少し作戦会議を」
「あら、ふふっ、それは頼もしいわね。マリーも大丈夫かしら?」
「ええ。まったく緊張していないと言ったら嘘になりますけれど、わたくしにはリリーがいてくれますから」
なんて言う、マリーアの笑顔ったら!ヤバい!お任せくださいませー!!必ずお守りいたしますよ!
「任せて!マリー姉さまは大船に乗ったつもりでいてね!」
「ありがとう、頼りにしているわ、リリー」
そんな姉妹の話を、微笑ましそうに見守ってくれているお母様。それぞれの侍女たちもにこやかだ。やっぱり平和っていいなー。
なんて、三人で楽しくお喋りをしていると、20分位で城に到着する。さすが高位貴族の我が家のタウンハウスだ、城も近い。
城の門前に着くと、馬車のまま通され、貴賓の為の出入り口まで案内された。そのまま王宮へと向かう。
王宮のエントランスでは、既に何組かの人たちが到着していた。私たちもそれに続いて馬車を降りる。そしてそのまま、王宮の庭園まで城の使用人に案内された。今日のお茶会はガーデンパーティーだ。
「わ、あっ……」
思わず声が出る。さすが王宮の庭園だ。うちの侯爵邸もかなり美しく自慢の庭だが、迫力と絢爛さが違う。様々な色の花たちがあるのにどれも喧嘩せず、落ち着きさえ感じるほどに整えられている。でも華やかだ。さすが、王宮の庭師。正直、お茶会めんどくさ、と思っていたけれど、このお庭を見れただけでも得した気分だ。
「すごい、素敵ね、リリー」
「本当です。来て良かったですね、お姉さま」
ほぅ……と、庭園に見惚れてうっとりとするマリーアに共感して応える。
「ふふっ、王宮の庭園は何度見ても見事だけれど、初めてだと感動するわよね」
私たちは深く頷き、お母様も楽しげに話す。
「では、わたくしはここまでね。決められた席は分かるわね?あちらが、保護者の待機場所ですから、何かあったら侍女に伝言を頼むのよ?よろしくね、アイリ、スザンヌ」
「「はい、お母様」」
「「畏まりました、奥様」」
お母様の声にビシッと緊張感が入った私たちは改めて姿勢を正し、侍女の二人は頭を下げる。お母様は優雅な足取りで自分の専属侍女と共に待機場所へと向かった。
そして私たちも自分の席へと向かう。今日のお茶会は予め席が指定されており、そのテーブル毎に順に殿下が回ってお話をしてくれる、らしい。揉め事も少ないかもしれないけれど、他のテーブルの子たちとの接点は作り辛そうだよね。
まあ、王太子殿下の初主宰のお茶会だもんね。極力揉め事は抑えて成功させたいよね。わかる。
物語のリリーは……うん、揉め事起こしたわよね、主に身内に……それでよくも殿下の婚約者になれたなあ。そうだ、殿下に一目惚れした私のために、お母様がお父様に脅すかのように頼んでだった気がする。マリーアに今以上に危害を加えられたくないお父様は、私の魔力の多さを武器に、その座を勝ち取ったんだ。物語の序盤では、マリーアの聖魔法も判明していなかったし(主に私のせいで)。何だか嫌なことを思い出したわ。
オーケイ、大丈夫よ、リリー。今回はそんな轍は踏まない。マリーアの聖魔法だって認知されているし。他のご令嬢も優秀って、お母様だって言っていた。
私は軽く深呼吸をして、あらためて自分の席へと向かう。
よし!
『君子危うきに近寄らず』大作戦、開始ですわよ!
今こそ、前世の日本人魂を発揮して、当たり障りなーく、上手くその場を乗り切るぞ!
……って、それ、前世の私は得意ではなかったけれど。
いや、頑張りますよ!
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