44 / 92
43.聖女の不養生
しおりを挟む
剣術、魔術訓練の担当の先生は、スラン先生とカーラ先生だ。お二人とも剣術も魔術も凄腕で、まだ未熟な生徒たちに危険がないように、二人体制で授業をしてくれる。スラン先生もイケメンで人気だけれど、カーラ先生も女性ながら剣術も騎士団に入れるほどで、宝塚のように女生徒からの人気が高い。
贅沢な教師陣なのだ。
とはいえ、もちろん生徒全員が魔法剣士を目指す訳ではないので、授業では大まかなグループ分けがされている。
その1、ガッチリ魔法剣士を目指すグループ。
その2、護身術程度の剣術と、魔術を使いたいグループ。
その3、剣術はひとかじりして、魔術に力を入れたいグループ。
と、そんな感じ。
ローズと私は3つ目の魔術グループだけど、レイチェルとカリンは何と、2つ目のグループだ。二人いわく、魔力がそこそこなので、護身術程度に剣も使いたいと。カッコいい。
もちろん、ガッチリ魔法剣士のグループにも、女生徒がいる。カッコいい。
「魔法剣士も憧れるけど、私、運動神経からっきしなのよね……」
「エマ。地がでてるわよ」
「は、しまった」
ローズの言葉にハッと我に返る。
「こちらのグループも始まるわ。行きましょう」
「ええ」
今日は、防御魔法の練習です。どの属性でも、使い方によっては防御に使えるもんね。魔法壁を作ったりして。
「では、こちらのグループは、今日は予定通り防御魔法の訓練をします。まずは自分の周りに魔法壁を纏わせる練習をしましょう」
カーラ先生がよく通る声で話される。
「じゃあ、エマ。見本を見せてくれる?」
「はい」
光を纏うイメージで……自分の周りだけなので、軽く念じる。私の周りにキラキラした光が集まり、そしてその光の中に包まれるような形になる。
おお~、と、感嘆の声が上がる。こそばゆい。
「うん、さすがね。エマ、どんな風に念じてる?」
「自分が、魔力に包まれるように……ですかね」
「うん、そうね。慣れるまで調整が難しいと思うけど、しっかりやっていきましょう!」
先生の言葉に、皆で「はい!」と返事をして、それぞれ練習を始める。
その時だった。
「危ない!!」
スラン先生の声が響く。その声に振り返ると、ガッチリ魔法剣士のグループの生徒が、魔力を暴走させてしまっている。やっかいな事に、火魔法だ。まあ、どの魔法でも暴走したら大変だけど。とか言ってる場合じゃなくて。
どうやら、剣に魔法を纏わせる練習中だったようだ。強く念じ過ぎたのかな。見ると、本人はもう、大パニックだ。ああ、彼はリック=カートン伯爵令息だ。魔力量も結構あるせいか、自信過剰なところがある人だった。
「落ち着いて深呼吸だ!」
スラン先生は水魔法を使えるので、緩く水の鎖で抑えようとしている。万が一があると大変だし、直接生徒に大きな魔法をぶつける訳にもいかない。本人が落ち着ければいいけど、…って、ダメだ、余計に大大パニックだ!彼の周りに火柱が立ち、四方八方に炎の塊が飛び始めてしまった。
周りの生徒もパニックだ。
「エリアシールド!」
私はこの場にいる全員に光の防御壁をつける。光の結界が、全ての火を弾く。でも、それだけではダメだ。暴走している本人が力尽きて、最悪燃え尽きてしまう。
「ローズ、お願い、リック様を鎮めて!きっとできる!」
「はっ、分かったわ、やってみる!」
ローズが両手を広げる。その手から、美しいオーロラの夜のような魔力が出現し、暴走している彼を包み込んだ。
10秒くらいは経っただろうか。火柱は収まり、暴走させた本人が地面に倒れ込む。…のを、ローズの魔力がそっと包む。
「できた……!」
「さすがローズ!後は私が!」
すぐにリック様の元に行く。火傷が思ったより重度だ。これはかなりの魔力を使ってのヒールじゃないと!私は集中して彼の身体に手をかざす。治癒の光が彼を包み込む。少しすると爛れていた皮膚も元に戻り、呼吸も落ち着いて来た。
「良かった……」
彼を含めた全員が助かった安心感と共に、寝不足、朝食抜きの上に魔力を全開で使った私は、気力体力を使い切り、そのまま気を失ってしまった。
……やっぱり休養と食事は大切、だ。反、省、しない、と……
◇◇◇
ああ、温かい魔力が流れ込んでくる……
ここは……
「エマ!」
「ローズ……?あれ?私……」
「エマ!済まなかった…!大丈夫か?」
「?スラン先生……」
はっ、思い出した!学園だ!ここは保健室だ!
「目が覚めたかい?良かったよ。まさか聖女様にヒールを使う日が来るとは思ってなかったわ」
「うっ、サーラ先生……ありがとうございました」
サーラ先生は、長年学園にお勤めのいわゆる保健室の先生だ。平民出だけれど、とても優秀なお医者さまなのだ。光魔法も使える。厳しくも優しい方で、時々治療院で一緒にお手伝いもしたりする。
「で?」
「はい?」
「何があったんだい?確かに普通には難しい魔法だが、エマがあれだけで倒れるわけが無いだろう?」
「あ、ははははは……」
「ははは、じゃない。不養生したね」
「いやっ、そこまででは!」
じっ、と見つめられる。サーラ先生のこの目には弱いのだ。
「昨日……あまり眠れなくて…朝もその、食欲がなくてですね、朝食を抜きました……」
もごもごと言い訳をする。
はーっ、とため息を吐かれる。おば、お母さんに怒られている気持ちです。
「全く!そんなこったろうと思ったよ!そんなガス欠の状態であんな魔法を使えばぶっ倒れるさ!」
「すみません……」
「午前中はここで寝てな!何か食べられるかい?」
言葉は雑だけど、温かい。下町の懐かしさを感じる。
「まだ、食欲は……」
「じゃあ、まだ寝てるんだ」
サーラ先生にベッドに押し付けられる。
「サーラ先生……エマと少し話をしても?」
スラン先生が恐る恐るという感じで、サーラ先生にお伺いを立てる。
「スラン。少しならね!そうだね、エマも状況が気になるか」
「はい、それは」
「仕方ないね。少しだけだよ」
「ありがとうございます。……エマは、大丈夫か?」
「はい。ご心配をおかけしました」
「いや……今回のことは、全てこちらの責任だ。生徒も危険な目に遭わせ……申し開きもない」
スラン先生は今までに見たことの無いような、険しい顔をしていた。
贅沢な教師陣なのだ。
とはいえ、もちろん生徒全員が魔法剣士を目指す訳ではないので、授業では大まかなグループ分けがされている。
その1、ガッチリ魔法剣士を目指すグループ。
その2、護身術程度の剣術と、魔術を使いたいグループ。
その3、剣術はひとかじりして、魔術に力を入れたいグループ。
と、そんな感じ。
ローズと私は3つ目の魔術グループだけど、レイチェルとカリンは何と、2つ目のグループだ。二人いわく、魔力がそこそこなので、護身術程度に剣も使いたいと。カッコいい。
もちろん、ガッチリ魔法剣士のグループにも、女生徒がいる。カッコいい。
「魔法剣士も憧れるけど、私、運動神経からっきしなのよね……」
「エマ。地がでてるわよ」
「は、しまった」
ローズの言葉にハッと我に返る。
「こちらのグループも始まるわ。行きましょう」
「ええ」
今日は、防御魔法の練習です。どの属性でも、使い方によっては防御に使えるもんね。魔法壁を作ったりして。
「では、こちらのグループは、今日は予定通り防御魔法の訓練をします。まずは自分の周りに魔法壁を纏わせる練習をしましょう」
カーラ先生がよく通る声で話される。
「じゃあ、エマ。見本を見せてくれる?」
「はい」
光を纏うイメージで……自分の周りだけなので、軽く念じる。私の周りにキラキラした光が集まり、そしてその光の中に包まれるような形になる。
おお~、と、感嘆の声が上がる。こそばゆい。
「うん、さすがね。エマ、どんな風に念じてる?」
「自分が、魔力に包まれるように……ですかね」
「うん、そうね。慣れるまで調整が難しいと思うけど、しっかりやっていきましょう!」
先生の言葉に、皆で「はい!」と返事をして、それぞれ練習を始める。
その時だった。
「危ない!!」
スラン先生の声が響く。その声に振り返ると、ガッチリ魔法剣士のグループの生徒が、魔力を暴走させてしまっている。やっかいな事に、火魔法だ。まあ、どの魔法でも暴走したら大変だけど。とか言ってる場合じゃなくて。
どうやら、剣に魔法を纏わせる練習中だったようだ。強く念じ過ぎたのかな。見ると、本人はもう、大パニックだ。ああ、彼はリック=カートン伯爵令息だ。魔力量も結構あるせいか、自信過剰なところがある人だった。
「落ち着いて深呼吸だ!」
スラン先生は水魔法を使えるので、緩く水の鎖で抑えようとしている。万が一があると大変だし、直接生徒に大きな魔法をぶつける訳にもいかない。本人が落ち着ければいいけど、…って、ダメだ、余計に大大パニックだ!彼の周りに火柱が立ち、四方八方に炎の塊が飛び始めてしまった。
周りの生徒もパニックだ。
「エリアシールド!」
私はこの場にいる全員に光の防御壁をつける。光の結界が、全ての火を弾く。でも、それだけではダメだ。暴走している本人が力尽きて、最悪燃え尽きてしまう。
「ローズ、お願い、リック様を鎮めて!きっとできる!」
「はっ、分かったわ、やってみる!」
ローズが両手を広げる。その手から、美しいオーロラの夜のような魔力が出現し、暴走している彼を包み込んだ。
10秒くらいは経っただろうか。火柱は収まり、暴走させた本人が地面に倒れ込む。…のを、ローズの魔力がそっと包む。
「できた……!」
「さすがローズ!後は私が!」
すぐにリック様の元に行く。火傷が思ったより重度だ。これはかなりの魔力を使ってのヒールじゃないと!私は集中して彼の身体に手をかざす。治癒の光が彼を包み込む。少しすると爛れていた皮膚も元に戻り、呼吸も落ち着いて来た。
「良かった……」
彼を含めた全員が助かった安心感と共に、寝不足、朝食抜きの上に魔力を全開で使った私は、気力体力を使い切り、そのまま気を失ってしまった。
……やっぱり休養と食事は大切、だ。反、省、しない、と……
◇◇◇
ああ、温かい魔力が流れ込んでくる……
ここは……
「エマ!」
「ローズ……?あれ?私……」
「エマ!済まなかった…!大丈夫か?」
「?スラン先生……」
はっ、思い出した!学園だ!ここは保健室だ!
「目が覚めたかい?良かったよ。まさか聖女様にヒールを使う日が来るとは思ってなかったわ」
「うっ、サーラ先生……ありがとうございました」
サーラ先生は、長年学園にお勤めのいわゆる保健室の先生だ。平民出だけれど、とても優秀なお医者さまなのだ。光魔法も使える。厳しくも優しい方で、時々治療院で一緒にお手伝いもしたりする。
「で?」
「はい?」
「何があったんだい?確かに普通には難しい魔法だが、エマがあれだけで倒れるわけが無いだろう?」
「あ、ははははは……」
「ははは、じゃない。不養生したね」
「いやっ、そこまででは!」
じっ、と見つめられる。サーラ先生のこの目には弱いのだ。
「昨日……あまり眠れなくて…朝もその、食欲がなくてですね、朝食を抜きました……」
もごもごと言い訳をする。
はーっ、とため息を吐かれる。おば、お母さんに怒られている気持ちです。
「全く!そんなこったろうと思ったよ!そんなガス欠の状態であんな魔法を使えばぶっ倒れるさ!」
「すみません……」
「午前中はここで寝てな!何か食べられるかい?」
言葉は雑だけど、温かい。下町の懐かしさを感じる。
「まだ、食欲は……」
「じゃあ、まだ寝てるんだ」
サーラ先生にベッドに押し付けられる。
「サーラ先生……エマと少し話をしても?」
スラン先生が恐る恐るという感じで、サーラ先生にお伺いを立てる。
「スラン。少しならね!そうだね、エマも状況が気になるか」
「はい、それは」
「仕方ないね。少しだけだよ」
「ありがとうございます。……エマは、大丈夫か?」
「はい。ご心配をおかけしました」
「いや……今回のことは、全てこちらの責任だ。生徒も危険な目に遭わせ……申し開きもない」
スラン先生は今までに見たことの無いような、険しい顔をしていた。
0
あなたにおすすめの小説
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる