私は仕事がしたいのです!

渡 幸美

文字の大きさ
61 / 92
番外編

閑話 久しぶりの女子会

しおりを挟む
グリーク王国は今日も平和だ。

私、エマも二人目の子、長男アーサーの出産を無事に終えて、慌ただしくも穏やかな生活をしております。


「奥様、セレナ様からお手紙が届いております」

「ありがとう、リサ。少し久しぶりよね、セレナも元気かしら?」


封を開ける。久しぶりにお茶会をどうですか?のお誘いだ。わーい!


「他の皆様もご一緒ですか?」

「そうみたい!全員都合が合うかしら?合うといいわ、全員揃うなんて、私の結婚式以来だもの!」


そう、それぞれ忙しく、個別で会う機会は仕事上ではあるものの、お茶会などは久しく出来ていないのだ。


「楽しみよ!」



◇◇◇



開催場所は、エレクト家のタウンハウス。ご無沙汰です。


「セレナ!招待ありがとう!元気だった?皆も!」

「エマ、来てくれてありがとう。元気よ」


セレナが穏やかな笑顔で言う。もう皆も揃っていて、華やかだ。すでにきゃっきゃした雰囲気。


「さて、皆様揃ったところで、始めましょうか!改めまして、ようこそエレクト家へ。久しぶりに全員で集まれて嬉しいわ。忙しい中で招待を受けてくれて、ありがとう」


セレナの挨拶でお茶会スタートだ。


「こちらこそありがとうよ!久しぶりの外出、嬉しいわ」

とは、ローズ。王太子妃は大忙しだ。息抜きできる今日は、かなり嬉しいと思う。

「ふふ、王太子妃は大変そうね?」

「ええ。それなりにね。でもやり甲斐もあるから。……で?セレナ。今日は何の報告かしら?」


ローズがしれっと笑顔爆弾を落とす。


「……やっぱり気付いた?」

「ふふっ、王太子妃だもの。情報は、ね?……それに、私も幼馴染みよ?気にもなるわ」

「ローズ……ありがとう」


二人の会話に、私を含め、他の6人はきょとんとしている。


「……実は、今日は皆に報告があって集まってもらったの。えっと……私、と、トーマスとの結婚が決まったの」


少しの間の後、セレナが俯きがちに話す。


「「「「「「…………………………」」」」」」


トーマス?トーマスとは、あのトーマス?そういえば、あの時やり直し申請をしていたが。


「えーっ、えーっ!とうとう折れたの?セレナ!」

ソフィア。

「意外と忍耐力あったのね、トーマス様」

リーゼ。

「わあ、まだ頑張っていらしたのね!少し羨ましいですわ!」

シャロン。

「先日、仕事でトーマス様とお会いしたのだけれど。やけに浮かれていたのよね。そういうことだったのね~!」

レイチェル。

「確かに浮かれてたわね」

カリン。


一斉に騒ぎ出す。皆、それぞれにまあ、好意的だ。

あれから10年。確かに彼も頑張ったのだろう。何より、セレナが決めたことだ。……文句は、無い。うん、無い。


と、考えていると、ローズに頬をつんつんされる。


「ふふっ、エマは不満そうね?」

楽しそうに言われる。義姉は鋭い。けど、

「不満、なことは無いわ。……ただ、心配なだけ」

「うん」

よしよしされる。自分が母になっても、ローズのよしよしは最強。


「エマ、心配ありがとう」

セレナが言ってくれる。

「ううん、何かごめん。嬉しい気持ちももちろんあるの。セレナが決めたんだもの、トーマス様も努力されたとも思う……」


ああもう、これじゃ、セレナを困らせる!


「うん、大丈夫!もしも万が一、億が一、トーマス様がまた何かしらやらかしたら、私が天誅を下すわ!!」


これで手を打つ!!ちょっと違う気もするけど。


「ちょっと、シャレにならないわよ、聖女様」

カリンが笑いながら言う。

「大丈夫、その時は私も一緒だから」

いい笑顔のローズ。

「ちょっと、王太子妃まで何を言い出すの」

リーゼ。諌めつつ、楽しそうだ。

「これだけ強い味方がいたら、絶対に幸せになれるわ。おめでとう、セレナ」

しれっと纏めるレイチェル。

「ずるい!レイチェルいいとこ取り!」

ソフィア。

「ほんとよ~!でも、いつでも私達がついてるわ、セレナ!」

シャロン。

「「「「「シャロンもずるい~!」」」」」


皆で言って、笑う。そう、結局は。


「「「「「「「幸せにね、セレナ!!」」」」」」」


これだけなのだ。


「みんな……ありがとう、あり……」

涙でぐちゃぐちゃなセレナ。それでも可愛い。


恒例の全員ハグで可愛いセレナを堪能し、その後も楽しくお茶会は続いた。他の皆の近況は、また今度。




それから半年後。

セレナとトーマス様の結婚式が挙行された。

花嫁衣装のセレナを見つめるトーマス様の瞳は、もうデレッデレで(隠そうとはしていた)、決意も窺えた。


うん、ひとまず認める(何様だ)!!


……しでかしたらの天誅、脅しじゃないからね?頼んだよ!!


二人でお幸せに!!

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた

鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。 焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。 このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。 エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。 「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」 「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」 「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」 ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。 ※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。 ※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。

処理中です...