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番外編
ソフィアとシャロンの日常2
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「ーーーと、いうことがあってね」
「う、わあ、そうだったんだ……」
病院から馬車で10分ほど走った所の、個室のあるレストランにて。
今更、誰かに聞かれても、そう不味い話でもないが、やはり多少は気になるので。少し足を延ばしたお店を選んだ。明日は休みだし。
美味しいお酒も沢山揃っている、いい店なのだ。
そんな洒落た素敵な店で、昔話に花が咲く。
今は、ちょうどあの四人がやらかした所まで話終えた。
「庶民には、そんな詳しい話は届かないから……この仕事に就いて、その、噂的な感じで、二人が婚約解消したって聞いて、不思議に思っていたの」
「不思議?」
「うん。だって二人共、すっっっごく魅力的じゃない?私が相手なら、すがるもの。もう、ズルズルと!……そんな、向こうがフラフラするとか、納得できん……」
何だかフォレの語尾が怪しくなってきているけど。
「ふふ、ありがとう、フォレ」
「ほんと、そう思うでしょ?!」
「もう、シャロンまで」
「だってさあ!うちなんか、完全に政略だよ?マーク家の唯一の弱点が薬だったから。向こうは最大手でうちは中堅だから、断れなかったし」
「うちもそうよ?アレンは幼馴染みで……辺境伯と騎士団の繋ぎよね」
お酒の力も相まって、二人の愚痴は止まらない。
「そもそも、あの胡散臭い可愛い子アピールが嫌だったのよね……。商会の、営業という意味ではすごいとも思っていたけれど。女の子に囲まれるのが好きで。多分、他の三人は被害者の側面もあると思うわ」
「そうなのね?そういえば、今まであまり二人で彼らの話をしたことは無かったわね」
「そういえば」
二人とも、自由に仕事に集中できるのが楽しくて、過去はスパンと忘れたというか、思い出すこともほぼなかった。毎日の充実感て、すごい。
「フォレ、ごめんなさいね。何だか愚痴になっちゃうわね」
「気にしないで!今更かもだけど、吐き出すのも大事よ」
「ありがとう。じゃあ、遠慮なく続けさせてもらうと……たぶん、あの四人の中できっと唯一、アレンはエマに本気だったと思うの」
ソフィアの言葉に、二人が一瞬固まる。
「やだ、二人とも心配しないで。違うの。いや、違くないかしら?本気と言っていいのか、って所もあるのだけれど…アレンって、惚れっぽくて。昔から」
苦笑しながら、ソフィアは続けて話す。
「あ、あ~、ソフィアにはちょっとあれだけど、何となく解るような……。アレン様って、真っ直ぐよね」
「良く言えばね?でも、いつまでもアレじゃあねぇ。もう、ずっと手のかかる弟にしか見えなくて」
「「うんうん」」
「お父様にも、無理ってお願いしたのだけれど。アレンとはお互い姉弟にしか思えないのは分かっていたし。うちは辺境伯爵家だけど、私は座学の方が好きだったし。でも、お陰様で魔力はそこそこあるし、運動神経もそこらの女性より……下手したら男性よりあるし。騎士団長様からどうしても、って」
実は、というか、当然と言うべきか、ソフィアは強い。いわゆる、肉体的にも。体術はなかなかだし、魔法も強力だ。でも、彼女は勉強がもっと好きだったのだ。
「辺境と騎士団の繋ぎ、兼、粗雑品も押し付けられたのね。あと、立派な騎士予定のお子様が生まれる期待もできるものね」
「シャ、シャロン、さすがに粗雑品は……」
さすがにフォレが窘めようとする。
「いいのよ、フォレ。実際その通りだわ」
ソフィアは笑って流す。実際、彼女からしてみれば、言葉の通じない、手のかかる弟もどきを押し付けられたようなものだ。
「本当に、エマには救われたわ。興味があったのに出来そうもなかった事を叶えてもらえて。『ルピナスシリーズ』を考えてもいたんでしょうけど、授業中のグループでの話などで気づいてくれたのでしょうね」
「うん、私もそう思う。そしてそのお陰で、こちらから解消を申し込めたしね。感謝だよ」
「今となったら、婚姻をごり押しして、損しなくて良かったとか、勝手なことを言ってるわ。お父様も。辺境伯は重宝されるけど今は平時だし、何の産業もなかった領地が薬草ですっかり潤ったもの。領民の仕事も増えて」
ソフィアが呆れと嬉しさの混じったような顔で言う。
「そうよね。うちは領地はないけれど、商会の幅が広がったもの。聖女ブランドはありがたいわよ。うちの親も、あんな胡散臭い奴の嫁にならなくて良かったって」
シャロンも同じ様な表情だ。
ちなみに、アレンもビルも、双方の親に鍛え直されている。が、まだ父親の後継になれるかは確定してはいない。
「やっぱり、お貴族様って大変なのね……」
フォレがしみじみと言う。
「まあ、それなりにね。でもあれよ、そんなのばかりでもないわよ?我が国の王家は、代々一途じゃない?王太子殿下もローズ大好きだし、ハルト様も凄かったわよねぇ。下手なお芝居よりもドラマチック!」
「そうよね」
シャロンの言葉に、ソフィアが笑って答える。
「あっ、それは噂で聞いたわ!詳しく聞いてもいい?」
フォレがキラキラした瞳を向けて来る。やはりいつでも人様の恋話は楽しいものなんだな。
「もちろんよ!もう、見てるこちらが恥ずかしくなるくらいで…」
シャロンが主に話し出す。ソフィアは懐かしそうに相槌をうち、フォレは初めて聞く詳しい話に、ひたすら感動していた。
そのうち、フォレの聖エミ時代の話にも飛び火し、どこかの聖女様並に鈍感な彼女に二人が突っ込みを入れつつ、楽しい時間が過ぎて行った。
そして、店員がラストオーダーの確認に来た所で、店を後にすることにした。
「楽しい時間はあっという間ね」
フォレの言葉に二人が頷きながら、馬車止めまで歩く。
更に豊かになったこの国は、夜の街もかなり安全になった。馬車止めにルイーダ家の馬車が待っているので、そこまで歩く。
普段は三人とも、病院隣の寮で生活しているが、今日はここから馬車で15分の、シャロンの実家にお泊まりの予定だ。
今日は1日、楽しい女子会だ。
「ん?あれ?あそこの辻馬車待ちにいるのって、スラン先生じゃない?」
「えっ!!どこっ?!」
ソフィアの言葉に、シャロンが勢いよく反応する。
「……シャロン?あなた、もしかして……?」
「あ、あー、実は、そう。スラン先生、いいなあって」
シャロンが恥ずかしそうに認める。
「そうなのね?!早く言いなさいよ!」
「そう、なんだけど…見込みが……」
「……シャロン」
ソフィアが困ったような笑顔になる。
「ご、ごめんね、フォレ、急に」
慌ててシャロンが言う。
「私は構わないわ。…でも、あの、その先生って……」
「そう。エマのことを大好きな先生。……きっと今も。そしてきっとまだ、自覚はしていないと思う。あの結婚式の様子だと」
「「シャロン」」
「湿っぽくなっちゃうわね!何だかね、そんなアンバランスさが気になっちゃって。不毛なことに、エマを好きなことも引っ括めて、いいなと思うのよ」
あの一途さが。と、笑ってシャロンは話す。
「分からなくもないけれど」とソフィアは言いつつも、次の言葉を探せずにいた。
「……シャロン!昔からの状況を見ていない私が言うのもなんだけど、らしくないわ!!」
フォレが重い沈黙を破る。
「気楽に聞こえるかもしれないけれど、シャロンもあの先生も、独身!それに、実際の所、本当にエマ様が好きなの?聞いてないんでしょ?……まあ、もしそうだとしても、公爵ご夫妻は磐石に見えるし、ここはもう、押す所!傷心につけ込む様でもいいわよ!!シャロンが幸せにしてあげればいいんだから!!!」
いつもと違う彼女の剣幕に、さすがのシャロンもソフィアも驚いたが。
「……そうよね。うん、私もフォレに同感」
「……ソフィア」
「シャロンなら出来るわ!過去なんて忘れさせて、幸せにしてあげたらいいのよ!」
ソフィアも満面の笑顔で言う。
そう、そうよね。らしくないわ。私らしく伸び伸びと!って、自分の性格を思い出すシャロン。
「……ありがとう、二人とも。そうよね、幸せにしてやったらいいのよ、私らしく。……声を掛けてくる!!
あっ、今日のこの後の飲み会に誘ってもいい?」
「急に積極的(笑)!でも、私達は構わないわ!ね?」
「ええ、ソフィア」
「ありがとう!行ってくる!」
シャロンは小走りでスランの元に向かい、声を掛ける。
スランは驚きつつも、笑顔で対応している。昔に比べると、本当に表情豊かになったなと、ソフィアは思う。……まあ、エマのお陰なのは否めないけれど。
「頑張れ、シャロン」
思わず呟く。
「あー、大変だろうけど、好きな人がいるっていいよねぇ。私はどうもその辺が欠けているんだよな……」
フォレがしみじみと言う。
「……確かに。私も欠けているわ。いつか、分かるのかしらね?」
「ねー」
シャロンのナンパが成功するのを待ちつつ、二人はそんな会話をする。
ーーー頑張って研究所で出世して、聖エミ時代から想われていた同級生に熱烈に口説かれたり、尊敬している五歳歳上の研究所所長とゆったりとした恋が芽生える話は、まだ二人とも知らないーーー
「あっ、口説き落とせたみたいよ」
「さすがシャロン!」
こちらに向かって歩く二人を笑顔で待つ。
何でも上手く行く訳ではないけれど。私達はエマからチャレンジ精神を思い出させてもらったのよ。
諦めずに、一歩を踏み出しましょう。
ーーー長い人生、これからだ。
「う、わあ、そうだったんだ……」
病院から馬車で10分ほど走った所の、個室のあるレストランにて。
今更、誰かに聞かれても、そう不味い話でもないが、やはり多少は気になるので。少し足を延ばしたお店を選んだ。明日は休みだし。
美味しいお酒も沢山揃っている、いい店なのだ。
そんな洒落た素敵な店で、昔話に花が咲く。
今は、ちょうどあの四人がやらかした所まで話終えた。
「庶民には、そんな詳しい話は届かないから……この仕事に就いて、その、噂的な感じで、二人が婚約解消したって聞いて、不思議に思っていたの」
「不思議?」
「うん。だって二人共、すっっっごく魅力的じゃない?私が相手なら、すがるもの。もう、ズルズルと!……そんな、向こうがフラフラするとか、納得できん……」
何だかフォレの語尾が怪しくなってきているけど。
「ふふ、ありがとう、フォレ」
「ほんと、そう思うでしょ?!」
「もう、シャロンまで」
「だってさあ!うちなんか、完全に政略だよ?マーク家の唯一の弱点が薬だったから。向こうは最大手でうちは中堅だから、断れなかったし」
「うちもそうよ?アレンは幼馴染みで……辺境伯と騎士団の繋ぎよね」
お酒の力も相まって、二人の愚痴は止まらない。
「そもそも、あの胡散臭い可愛い子アピールが嫌だったのよね……。商会の、営業という意味ではすごいとも思っていたけれど。女の子に囲まれるのが好きで。多分、他の三人は被害者の側面もあると思うわ」
「そうなのね?そういえば、今まであまり二人で彼らの話をしたことは無かったわね」
「そういえば」
二人とも、自由に仕事に集中できるのが楽しくて、過去はスパンと忘れたというか、思い出すこともほぼなかった。毎日の充実感て、すごい。
「フォレ、ごめんなさいね。何だか愚痴になっちゃうわね」
「気にしないで!今更かもだけど、吐き出すのも大事よ」
「ありがとう。じゃあ、遠慮なく続けさせてもらうと……たぶん、あの四人の中できっと唯一、アレンはエマに本気だったと思うの」
ソフィアの言葉に、二人が一瞬固まる。
「やだ、二人とも心配しないで。違うの。いや、違くないかしら?本気と言っていいのか、って所もあるのだけれど…アレンって、惚れっぽくて。昔から」
苦笑しながら、ソフィアは続けて話す。
「あ、あ~、ソフィアにはちょっとあれだけど、何となく解るような……。アレン様って、真っ直ぐよね」
「良く言えばね?でも、いつまでもアレじゃあねぇ。もう、ずっと手のかかる弟にしか見えなくて」
「「うんうん」」
「お父様にも、無理ってお願いしたのだけれど。アレンとはお互い姉弟にしか思えないのは分かっていたし。うちは辺境伯爵家だけど、私は座学の方が好きだったし。でも、お陰様で魔力はそこそこあるし、運動神経もそこらの女性より……下手したら男性よりあるし。騎士団長様からどうしても、って」
実は、というか、当然と言うべきか、ソフィアは強い。いわゆる、肉体的にも。体術はなかなかだし、魔法も強力だ。でも、彼女は勉強がもっと好きだったのだ。
「辺境と騎士団の繋ぎ、兼、粗雑品も押し付けられたのね。あと、立派な騎士予定のお子様が生まれる期待もできるものね」
「シャ、シャロン、さすがに粗雑品は……」
さすがにフォレが窘めようとする。
「いいのよ、フォレ。実際その通りだわ」
ソフィアは笑って流す。実際、彼女からしてみれば、言葉の通じない、手のかかる弟もどきを押し付けられたようなものだ。
「本当に、エマには救われたわ。興味があったのに出来そうもなかった事を叶えてもらえて。『ルピナスシリーズ』を考えてもいたんでしょうけど、授業中のグループでの話などで気づいてくれたのでしょうね」
「うん、私もそう思う。そしてそのお陰で、こちらから解消を申し込めたしね。感謝だよ」
「今となったら、婚姻をごり押しして、損しなくて良かったとか、勝手なことを言ってるわ。お父様も。辺境伯は重宝されるけど今は平時だし、何の産業もなかった領地が薬草ですっかり潤ったもの。領民の仕事も増えて」
ソフィアが呆れと嬉しさの混じったような顔で言う。
「そうよね。うちは領地はないけれど、商会の幅が広がったもの。聖女ブランドはありがたいわよ。うちの親も、あんな胡散臭い奴の嫁にならなくて良かったって」
シャロンも同じ様な表情だ。
ちなみに、アレンもビルも、双方の親に鍛え直されている。が、まだ父親の後継になれるかは確定してはいない。
「やっぱり、お貴族様って大変なのね……」
フォレがしみじみと言う。
「まあ、それなりにね。でもあれよ、そんなのばかりでもないわよ?我が国の王家は、代々一途じゃない?王太子殿下もローズ大好きだし、ハルト様も凄かったわよねぇ。下手なお芝居よりもドラマチック!」
「そうよね」
シャロンの言葉に、ソフィアが笑って答える。
「あっ、それは噂で聞いたわ!詳しく聞いてもいい?」
フォレがキラキラした瞳を向けて来る。やはりいつでも人様の恋話は楽しいものなんだな。
「もちろんよ!もう、見てるこちらが恥ずかしくなるくらいで…」
シャロンが主に話し出す。ソフィアは懐かしそうに相槌をうち、フォレは初めて聞く詳しい話に、ひたすら感動していた。
そのうち、フォレの聖エミ時代の話にも飛び火し、どこかの聖女様並に鈍感な彼女に二人が突っ込みを入れつつ、楽しい時間が過ぎて行った。
そして、店員がラストオーダーの確認に来た所で、店を後にすることにした。
「楽しい時間はあっという間ね」
フォレの言葉に二人が頷きながら、馬車止めまで歩く。
更に豊かになったこの国は、夜の街もかなり安全になった。馬車止めにルイーダ家の馬車が待っているので、そこまで歩く。
普段は三人とも、病院隣の寮で生活しているが、今日はここから馬車で15分の、シャロンの実家にお泊まりの予定だ。
今日は1日、楽しい女子会だ。
「ん?あれ?あそこの辻馬車待ちにいるのって、スラン先生じゃない?」
「えっ!!どこっ?!」
ソフィアの言葉に、シャロンが勢いよく反応する。
「……シャロン?あなた、もしかして……?」
「あ、あー、実は、そう。スラン先生、いいなあって」
シャロンが恥ずかしそうに認める。
「そうなのね?!早く言いなさいよ!」
「そう、なんだけど…見込みが……」
「……シャロン」
ソフィアが困ったような笑顔になる。
「ご、ごめんね、フォレ、急に」
慌ててシャロンが言う。
「私は構わないわ。…でも、あの、その先生って……」
「そう。エマのことを大好きな先生。……きっと今も。そしてきっとまだ、自覚はしていないと思う。あの結婚式の様子だと」
「「シャロン」」
「湿っぽくなっちゃうわね!何だかね、そんなアンバランスさが気になっちゃって。不毛なことに、エマを好きなことも引っ括めて、いいなと思うのよ」
あの一途さが。と、笑ってシャロンは話す。
「分からなくもないけれど」とソフィアは言いつつも、次の言葉を探せずにいた。
「……シャロン!昔からの状況を見ていない私が言うのもなんだけど、らしくないわ!!」
フォレが重い沈黙を破る。
「気楽に聞こえるかもしれないけれど、シャロンもあの先生も、独身!それに、実際の所、本当にエマ様が好きなの?聞いてないんでしょ?……まあ、もしそうだとしても、公爵ご夫妻は磐石に見えるし、ここはもう、押す所!傷心につけ込む様でもいいわよ!!シャロンが幸せにしてあげればいいんだから!!!」
いつもと違う彼女の剣幕に、さすがのシャロンもソフィアも驚いたが。
「……そうよね。うん、私もフォレに同感」
「……ソフィア」
「シャロンなら出来るわ!過去なんて忘れさせて、幸せにしてあげたらいいのよ!」
ソフィアも満面の笑顔で言う。
そう、そうよね。らしくないわ。私らしく伸び伸びと!って、自分の性格を思い出すシャロン。
「……ありがとう、二人とも。そうよね、幸せにしてやったらいいのよ、私らしく。……声を掛けてくる!!
あっ、今日のこの後の飲み会に誘ってもいい?」
「急に積極的(笑)!でも、私達は構わないわ!ね?」
「ええ、ソフィア」
「ありがとう!行ってくる!」
シャロンは小走りでスランの元に向かい、声を掛ける。
スランは驚きつつも、笑顔で対応している。昔に比べると、本当に表情豊かになったなと、ソフィアは思う。……まあ、エマのお陰なのは否めないけれど。
「頑張れ、シャロン」
思わず呟く。
「あー、大変だろうけど、好きな人がいるっていいよねぇ。私はどうもその辺が欠けているんだよな……」
フォレがしみじみと言う。
「……確かに。私も欠けているわ。いつか、分かるのかしらね?」
「ねー」
シャロンのナンパが成功するのを待ちつつ、二人はそんな会話をする。
ーーー頑張って研究所で出世して、聖エミ時代から想われていた同級生に熱烈に口説かれたり、尊敬している五歳歳上の研究所所長とゆったりとした恋が芽生える話は、まだ二人とも知らないーーー
「あっ、口説き落とせたみたいよ」
「さすがシャロン!」
こちらに向かって歩く二人を笑顔で待つ。
何でも上手く行く訳ではないけれど。私達はエマからチャレンジ精神を思い出させてもらったのよ。
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ーーー長い人生、これからだ。
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