私は仕事がしたいのです!

渡 幸美

文字の大きさ
92 / 92
番外編

二人のご加護

しおりを挟む
コンテスト一次通過にはしゃぎすぎての番外編です(^^;

楽しんでいただけたら、嬉しいです。


他の作品も更新しています、よろしければ、是非!


─────────────────────────



僕はアーサー=シェール。聖女のママと、王弟でシェール公爵のパパの、長男です。8歳になりました!


今日は、ママとローズ伯母様、二人一緒での本気の加護式なんだ!

あ、いつも適当にしているんじゃないよ?ママもローズ伯母様も、普段だって聖女の祝福として、心を込めているよ!


けど、今回は特別。


よく遊んでくれたミルお姉ちゃんと、時々構ってくれたエトルおじちゃんが婚約をして、遠い遠い他の国へお仕事に行くので、そのために長い時間を保てる、強ーい加護を二人につけるらしい。

とっても大事なお仕事みたいで、女神様もお手伝いしてくれるみたいなんだ!すごいよね!


なので、今日はなかなか入っちゃいけない、神殿の「女神の間」というところでご加護を付けるみたい。僕も初めて入った。あといるのは、大神官さまになったルース様と、ご加護を受ける二人と、王様のジーク伯父様とママとローズ伯母様だけ。僕が入れて貰えたのは、僕が光魔法を使えるからなんだ!ママみたいに聖女とは違うみたいだけど、僕はたくさん魔力があるんだって!僕は大きくなったら神殿に入りたいから、嬉しいんだ。それと、僕を女神様に紹介?もしたいみたい。ごあいさつ頑張ります!緊張しちゃう。


あ、そろそろ加護式が始まるみたいだ。

女神像の前にミルお姉ちゃんとエトルおじちゃんが膝を付いて、頭を下げる。

ママとローズ伯母様が、お姉ちゃんとおじちゃんの、それぞれ斜め後ろに立って、いつもの祝福のように祈りを捧げた。

ママとローズ伯母様の祝福やご加護は、とてもきれいなんだ。虹みたいにいろいろな色がキラキラと輝いて、受けた人の中にそれが入って行くの。僕はこれを見るのが大好きなんだ!

いつものように、きれいだなあって見ていたら、女神像が不思議な光で輝き出して、とってもとってもきれいな女の人が出てきた。ママにも、ローズ伯母様にも似てる感じの人。

「エマ、ローズ、直接会うのは久しぶりね。いつもあなたたちの頑張りを見ているわ。ありがとう。ジークもね」
「「「女神様、ありがとうございます」」」

ママとローズ伯母様と、ジーク伯父様が答える。わ、本当に女神様なんだ!すごい!

僕が感動してじっと見ていると、女神様と目が合った。


「ああ、この子がアーサーね。ええ、しばらくは聖女は生まれないけれど、ルースと共にこの国を支える光魔法使いになるでしょう。二人に、私から祝福を」

女神様はそう言って、ルース様と僕に祝福をくれた。わあ、体と心がキラキラする感じ!

「あっ、女神様、ありがとうございます!ごあいさつが遅れました、アーサーです!アーサー=シェールです」
「改めまして、ルース=ハーベルト大神官です。祝福をいただき、恐悦至極に存じます。ますます励むことを誓います」

僕たちの言葉に、女神様は優しく微笑んで頷いてくれた。そして、お姉ちゃんたちの方を向く。

「では、本日はこちらが本番ね。ミル、エトル。困難も多いと思うわ。けれど、貴方たちにはそれを乗り越える力があると信じます。少しでも力になれるよう、私からも加護を贈ります」

「「ありがとう存じます、女神様」」

女神様と、二人の聖女による加護は、僕には言葉が難しいほどにきれいだった。虹と、星と、青空と静かな夜が、キラキラぐるぐると二人を囲って。

「何て、幻想的な……」

ジーク伯父様が、うっとりと言った。そうか、幻想的っていうのか。なるほど。

その幻想的な光は、少しの間二人の周りを回って、すーっと体に吸い込まれていく。

ママとローズ伯母様が閉じていた目を開き、女神様は僕たちを優しく見回して、去っていった。

「これからも、楽しみにしてるわね」

と、言葉を残して。



「ふわあ、きれいだったなあ……」


僕の一言に、皆が一斉に力が抜けたように笑った。


僕の大好きな皆の笑顔だ。


女神様のご加護がたくさんのこの国で。僕も皆の役に立てるように、いっぱい魔法の勉強をするね!

しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

杜野秋人
2022.05.05 杜野秋人

お話、最終話まで楽しく読ませてもらいました。“悪い人”がいないあたりが安心というかほんわかというか。乙女ゲーなのに乙女ゲーのストーリー無視なのも良かったと思います(笑)。






ところでですね、『ソフィアとシャロンの日常2』なんですが、「しょくば」とルビを打った部分がヤバい誤字になってます(コソリ)。いや確かにそこの職場で扱ってるモノですけれどね!( ̄∀ ̄;

2022.05.05 渡 幸美

ありがとうございます!少しでも、ほんわか時間を過ごして頂けたなら、とっても嬉しいです(*^^*)

はい、乙女ゲームは名前だけになってしまいました(^^;



誤字報告もありがとうございます(コソリ)。いやいや、コソリではなく、ありがとうございます(笑)!
確かにヤバめでした……!
今後もご縁がありましたら、またお願い致しますm(_ _)m

解除
シリカ
2022.05.04 シリカ

読んで、楽しかったです。色々な作品を読んでいて、こちらは性善説のような作品で何となくほっこりしました。でもキチンと波もあって(*^^*)
次の作品もしおり挟んでおります。これからも応援してます(o⚑'▽')o⚑*゚フレーフレー

2022.05.04 渡 幸美

う、嬉しいです!!m(;∇;)m嬉し泣き!

性善説と言って頂けるほど、私の力量では描けてはいないと思うのですが(汗)、こんな時代だからこそ、責めるばかりじゃなく行こうよ!的な気持ちは込めさせて頂きました(*^^*)

シリカ様に感じ取って頂けて、作家冥利に尽きます!!まだまだ初心者ですが、何だかクスッとしたわ、の作品を目指して頑張ります!

次作もお読み下さるとのこと、期待に添えますように……ドキドキ。

感想、ありがとうございました!

解除

あなたにおすすめの小説

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた

鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。 焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。 このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。 エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。 「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」 「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」 「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」 ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。 ※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。 ※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。