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第3話 ROSSO
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ビルとビルに挟まれた狭い隙間に、そのドアはあった。一見すると隠れ家的な居酒屋への入り口っぽいが、看板も何も出ていない。怪しげな雰囲気が満載だ。
頼寿がドアを開けると、その先には地下へ続く狭い階段が伸びていた。暗い中にぽつぽつとピンクやブルーの電飾が光り、下からは何やら激しい音楽も聞こえてくる。
「な、何なんだよここ……?」
「足元気を付けろ。転ぶなよ」
階段を下り切るとまた重厚な黒いドアがあり、頼寿がそれを開いた瞬間に中から爆音のロックが溢れ出してきた。
「う、うわっ……!」
そうして耳を塞ぐよりも先に、目の前に広がった光景に息を飲むこととなる。
地下フロアは薄暗いラウンジのようになっていて、転々と配置されたソファに客らしき人達が座って談笑していた。それだけなら良い。それだけなら少しも驚かない。
「な、何なんだよマジで……」
フロア内の人達は皆、それぞれのパートナーらしき人と談笑しながら濃厚にキスをして、肌をさらし、触れ合っていた。ソファに身を倒して絡み合っている人達もいる。そんなことがあちこちのソファの上で行なわれていて、俺は思わず両手で目を覆い──指の隙間から彼らを覗き見た。
何だここ。エッチな店……にしても、こんなの聞いたこともない。
「わ、頼寿! 久し振り!」
突然、店員らしき男が俺達の元へ駆け寄ってきた。
「久し振りだな、赤瀬」
「もう、本名で呼ぶなってば。ロッソだよ」
真っ赤に染めたボサボサの髪にスレンダーな体型、ルーズなTシャツと細身のパンツ。暗がりでもはっきり分かるほど綺麗な顔立ちの彼は、頼寿の肩に腕を回し、長い指で頼寿のアゴの下をくすぐっている。
「で、どうしたの今日は。久し振りに楽しみに来た?」
「繁盛してんのか」
「まあまあって感じ。最近は客層のレベルが上がってきてるから、それなりに右肩上がりって感じだね」
「ふうん」
頼寿が俺の頭に手を置いて言った。
「こいつは俺の新しいビジネスパートナーだ。自己紹介しろ、玉雪」
「え、ええと……玉雪です。は、初めまして……」
頼寿と同じくらい背の高い彼を見上げ、しどろもどろになりながらも頭を下げる。
「わ、可愛い! ふわふわで小っこくてお人形さんみたい!」
「………」
「よろしくね、僕は赤瀬博也。このクラブの店長だよ、ロッソって呼んでね!」
「はあ……いたたっ、痛い痛い!」
テンションの高いロッソ君に強引に握手され、右手がバキバキと音を立てた。
「いったあぁ……」
頼寿がドアを開けると、その先には地下へ続く狭い階段が伸びていた。暗い中にぽつぽつとピンクやブルーの電飾が光り、下からは何やら激しい音楽も聞こえてくる。
「な、何なんだよここ……?」
「足元気を付けろ。転ぶなよ」
階段を下り切るとまた重厚な黒いドアがあり、頼寿がそれを開いた瞬間に中から爆音のロックが溢れ出してきた。
「う、うわっ……!」
そうして耳を塞ぐよりも先に、目の前に広がった光景に息を飲むこととなる。
地下フロアは薄暗いラウンジのようになっていて、転々と配置されたソファに客らしき人達が座って談笑していた。それだけなら良い。それだけなら少しも驚かない。
「な、何なんだよマジで……」
フロア内の人達は皆、それぞれのパートナーらしき人と談笑しながら濃厚にキスをして、肌をさらし、触れ合っていた。ソファに身を倒して絡み合っている人達もいる。そんなことがあちこちのソファの上で行なわれていて、俺は思わず両手で目を覆い──指の隙間から彼らを覗き見た。
何だここ。エッチな店……にしても、こんなの聞いたこともない。
「わ、頼寿! 久し振り!」
突然、店員らしき男が俺達の元へ駆け寄ってきた。
「久し振りだな、赤瀬」
「もう、本名で呼ぶなってば。ロッソだよ」
真っ赤に染めたボサボサの髪にスレンダーな体型、ルーズなTシャツと細身のパンツ。暗がりでもはっきり分かるほど綺麗な顔立ちの彼は、頼寿の肩に腕を回し、長い指で頼寿のアゴの下をくすぐっている。
「で、どうしたの今日は。久し振りに楽しみに来た?」
「繁盛してんのか」
「まあまあって感じ。最近は客層のレベルが上がってきてるから、それなりに右肩上がりって感じだね」
「ふうん」
頼寿が俺の頭に手を置いて言った。
「こいつは俺の新しいビジネスパートナーだ。自己紹介しろ、玉雪」
「え、ええと……玉雪です。は、初めまして……」
頼寿と同じくらい背の高い彼を見上げ、しどろもどろになりながらも頭を下げる。
「わ、可愛い! ふわふわで小っこくてお人形さんみたい!」
「………」
「よろしくね、僕は赤瀬博也。このクラブの店長だよ、ロッソって呼んでね!」
「はあ……いたたっ、痛い痛い!」
テンションの高いロッソ君に強引に握手され、右手がバキバキと音を立てた。
「いったあぁ……」
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