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一杯目 出会いのニンニク醤油ラーメン
第2話 冒険者、ラーメンでバフを得る
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◇カリン視点
「さて、お腹も膨れたしボス戦の対策を話し合いましょう」
「ここでいいんですの?」
「せっかくだから、店主にも相談乗ってもらいましょ」
私は器をテーブルに備え付け手られているゴミ袋に捨て、テーブルに座っている残りのメンバーに向けて相談開始を持ち掛ける。
ミアはこれから話す内容が内容だけに話すべきか、悩んでいるようだ。
けど、黒髪、黒目の店主なのだから、作戦を吹聴してもそこまで影響はないと私は踏んでいる。
「俺はしがないラーメン屋ですからね」
店主は水を入れた透明な器を人数分持ってきてテーブルに置いてくれた。
「あの鹿の魔獣は音に敏感なので、捉えられないっス 森の中にいるから空から姿の確認も難しいから困るっス」
水をゴクゴク飲んでから、ミアはハァとため息をつく。
その通り、ボスの魔獣で苦労しているのは姿が捉えられないことだった。
こちらが先に見つける前に敵の方から見つけられて攻撃を受けているので、被害が多い。
「大変ですねぇ……音に敏感な相手なら逆にでかい音を立てて耳を潰すってのはダメなんですかねぇ……昔やっていたゲームではそういう作戦とって狩りしてましたが……」
洗い物を再開した店主の言葉に全員がそちらに振り向いた。
「相手の長所を潰すことばかり考えていましたが、長所だから活用すべきという考えですのね」
店主の話を聞いたセシリアは真剣なまなざしでぶつぶつとつぶやきながら作戦を考えだす。
賢者である彼女がこうなったら、あとは安心だ。
「じゃあ、行きましょう」
「うん……今ならいける……気がする」
私たちは方向性が決まったので椅子から立ち上がる。
フェリシアがいうとおり、作戦もだが体中に力が満ちているので倒せる気がしている。
「店主、『らぁめん』ありがとう。美味しかったわ」
「あいよ、またのご来店お待ちしております」
私は店主に礼を述べると、屋台を後にした。
その足取りは軽く、お腹も気力も満ちている。
「今度こそ、倒すわよ」
「「ええ!」」
私と同じように気合いで満ちている声が返ってきた。
◇森の番人視点
”森の番人”ゴルドヒルシュと呼ばれている大鹿は自分のナワバリに侵入者が来たこと感じる。
(またか……次は撤退する暇さえ与えん!)
ヒルシュは6人の人影をとらえると、森の闇に潜んだ。
異常な音が聞こえれば移動を行い、不意を突いて体当たりをする。
いつも通りの行動をするだけだった。
この時もそれだけで済むと思っていたヒルシュの耳に酷い音が響く。
「クヒィィィィン!?」
潜んでいた体を悶えさせながら、ヒルシュは森の中から出てきた。
「作戦成功ね!」
「まだ……キンキンする……」
人間の剣士と猫獣人の斥候がヒルシュの前に出てきて、手に持った刃で足の腱を斬りつけてくる。
ふらついていたヒルシュはそれに対抗できるはずもなく、前足から地面に崩れ落ちた。
(ヒト風情が!)
ヒルシュは全身の魔力を角に集中させると、枝分かれしているそれぞれの角の先から魔力の矢を無数に飛ばす。
魔力の矢なので、誘導していき避けることのできない攻撃だ。
「セシリア!」
「わたくしの周りに集まって! 〈魔力障壁〉」
リーダーである人間の剣士の声に反応したエルフの魔法使いがドーム状の障壁を張って魔力の矢を防ぎきった。
(馬鹿な! 以前は貫通したはずだぞ!)
ヒルシュは目の前の後継に驚きを見せた。
先ほど戦った時はヒルシュの放つ魔力の矢はエルフの障壁など貫通して、中にいる者たちを屠っている。
「すごいですわ、魔力の強度が上がってますわ」
「らぁめんのおかげかしら……もしくはあの『ニンニクマシマシセアブラコイメ』という呪文が強化魔法かもしれないわ」
エルフの魔法使いも驚きの声を上げていることから、この少しの時間でヒト達は強化されたようだった。
ヒルシュと魔法使いが驚いている間にも、ハーフエルフの魔法剣士が炎をまとわせた剣でもってヒルシュに斬りかかってくる。
両前足の腱が斬られているヒルシュは回避することはできなかった。
だが、ヒルシュもタダでやられるわけにはいかない。
魔法で周囲の木々を操り、魔法剣士を縛り付けようと枝を伸ばした。
「体が軽い! このくらい全然問題ないわ!」
剣を軽々と振り、枝を斬り飛ばしながら魔法剣士が迫る。
斬られた枝は燃えていくため、再生すらできなかった。
(こんな、こんなあっさりと……『ニンニクマシマシセアブラコイメ』とは……なんなんだ!!)
迫りくる炎の剣を前に、ヒルシュは憎々し気に内心叫ぶ。
遠くで、剛士がくしゃみをした。
「さて、お腹も膨れたしボス戦の対策を話し合いましょう」
「ここでいいんですの?」
「せっかくだから、店主にも相談乗ってもらいましょ」
私は器をテーブルに備え付け手られているゴミ袋に捨て、テーブルに座っている残りのメンバーに向けて相談開始を持ち掛ける。
ミアはこれから話す内容が内容だけに話すべきか、悩んでいるようだ。
けど、黒髪、黒目の店主なのだから、作戦を吹聴してもそこまで影響はないと私は踏んでいる。
「俺はしがないラーメン屋ですからね」
店主は水を入れた透明な器を人数分持ってきてテーブルに置いてくれた。
「あの鹿の魔獣は音に敏感なので、捉えられないっス 森の中にいるから空から姿の確認も難しいから困るっス」
水をゴクゴク飲んでから、ミアはハァとため息をつく。
その通り、ボスの魔獣で苦労しているのは姿が捉えられないことだった。
こちらが先に見つける前に敵の方から見つけられて攻撃を受けているので、被害が多い。
「大変ですねぇ……音に敏感な相手なら逆にでかい音を立てて耳を潰すってのはダメなんですかねぇ……昔やっていたゲームではそういう作戦とって狩りしてましたが……」
洗い物を再開した店主の言葉に全員がそちらに振り向いた。
「相手の長所を潰すことばかり考えていましたが、長所だから活用すべきという考えですのね」
店主の話を聞いたセシリアは真剣なまなざしでぶつぶつとつぶやきながら作戦を考えだす。
賢者である彼女がこうなったら、あとは安心だ。
「じゃあ、行きましょう」
「うん……今ならいける……気がする」
私たちは方向性が決まったので椅子から立ち上がる。
フェリシアがいうとおり、作戦もだが体中に力が満ちているので倒せる気がしている。
「店主、『らぁめん』ありがとう。美味しかったわ」
「あいよ、またのご来店お待ちしております」
私は店主に礼を述べると、屋台を後にした。
その足取りは軽く、お腹も気力も満ちている。
「今度こそ、倒すわよ」
「「ええ!」」
私と同じように気合いで満ちている声が返ってきた。
◇森の番人視点
”森の番人”ゴルドヒルシュと呼ばれている大鹿は自分のナワバリに侵入者が来たこと感じる。
(またか……次は撤退する暇さえ与えん!)
ヒルシュは6人の人影をとらえると、森の闇に潜んだ。
異常な音が聞こえれば移動を行い、不意を突いて体当たりをする。
いつも通りの行動をするだけだった。
この時もそれだけで済むと思っていたヒルシュの耳に酷い音が響く。
「クヒィィィィン!?」
潜んでいた体を悶えさせながら、ヒルシュは森の中から出てきた。
「作戦成功ね!」
「まだ……キンキンする……」
人間の剣士と猫獣人の斥候がヒルシュの前に出てきて、手に持った刃で足の腱を斬りつけてくる。
ふらついていたヒルシュはそれに対抗できるはずもなく、前足から地面に崩れ落ちた。
(ヒト風情が!)
ヒルシュは全身の魔力を角に集中させると、枝分かれしているそれぞれの角の先から魔力の矢を無数に飛ばす。
魔力の矢なので、誘導していき避けることのできない攻撃だ。
「セシリア!」
「わたくしの周りに集まって! 〈魔力障壁〉」
リーダーである人間の剣士の声に反応したエルフの魔法使いがドーム状の障壁を張って魔力の矢を防ぎきった。
(馬鹿な! 以前は貫通したはずだぞ!)
ヒルシュは目の前の後継に驚きを見せた。
先ほど戦った時はヒルシュの放つ魔力の矢はエルフの障壁など貫通して、中にいる者たちを屠っている。
「すごいですわ、魔力の強度が上がってますわ」
「らぁめんのおかげかしら……もしくはあの『ニンニクマシマシセアブラコイメ』という呪文が強化魔法かもしれないわ」
エルフの魔法使いも驚きの声を上げていることから、この少しの時間でヒト達は強化されたようだった。
ヒルシュと魔法使いが驚いている間にも、ハーフエルフの魔法剣士が炎をまとわせた剣でもってヒルシュに斬りかかってくる。
両前足の腱が斬られているヒルシュは回避することはできなかった。
だが、ヒルシュもタダでやられるわけにはいかない。
魔法で周囲の木々を操り、魔法剣士を縛り付けようと枝を伸ばした。
「体が軽い! このくらい全然問題ないわ!」
剣を軽々と振り、枝を斬り飛ばしながら魔法剣士が迫る。
斬られた枝は燃えていくため、再生すらできなかった。
(こんな、こんなあっさりと……『ニンニクマシマシセアブラコイメ』とは……なんなんだ!!)
迫りくる炎の剣を前に、ヒルシュは憎々し気に内心叫ぶ。
遠くで、剛士がくしゃみをした。
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