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一杯目 出会いのニンニク醤油ラーメン
第4話 ラーメン屋、冒険者登録する
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■アルカディア王国・ヴァルディールメインストリート
俺はダンジョンから離れ、冒険者ギルドへ向かう道はいろんな人が歩いていた。
時計を持ってないので、詳しい時間はわからないが夜の新宿のような雰囲気を感じている。
ラーメン屋をやる前に新宿で働いていたことが懐かしく感じた。
「まさに外国って感じだなぁ」
髪の色も目立つ金髪や銀髪だけでなく、茶髪などの比較的落ち着いた色もいる。
老若男女、人種も様々で見ているだけで面白くもあった。
「タケシ……はぐれてる」
きょろきょろしていたら猫獣人のフェリシアが背後に立って、俺を背中から抱きしめる。
ふにょっとフェリシアの胸が背中に当たっていた。
すごく柔らかい、女性にここまで接近されたのは何年ぶりなのか、思い出そうとしても思い出せない。
「……確保完了。追いつく」
「はい?」
フェリシアはそういうとよいしょと俺を担ぎ上げて、米俵や土嚢のように俺を肩にかけた。
そのまま軽々とした足取りで人込みを掻き分けて進んでいくと、一際大きな建物が見える。
ここが冒険者ギルドらしい。
看板の文字は見慣れないものだが、なぜか読めた。
そういえば、会話にも困っていないので異世界補正が何かあるのだろう。
「視線が痛いから、そろそろ下ろしてくれ……」
「ん……」
俺はどさっと荷物のように下ろされ、腰をさすりながら立ち上がった。
■アルカディア王国・ヴァルディール冒険者ギルド
スイングドアを押し開けて、俺はギルドの中に入る。
冒険者ギルドには訓練施設と食堂があり、近くには宿泊施設もあるのでさながら免許合宿のできる教習場のようだった。
受付ではカリン達”夜鴉”が報酬の手続きをしており、受付嬢と話をしているカリンではなく、サブリーダーのセシリアが俺を手招きしてくる。
「ここで冒険者登録をやってしまいましょう。手続きのフォローはいたしますわ」
「それは助かります」
エルフのセシリアに対して、俺は頭が上がらない思いが強かった。
お嬢様のような上品さがあり、知的な雰囲気が俺を委縮させている。
「名前と……職業……所持スキルはどうやってみるんだ?」
「ステータスと念じたり、口に出せば自分のものは自分で確認できますわ。他人のをみるには許可を得るか、〈鑑定〉スキルが必要になりますけど」
さすが賢者、物知りだった。
俺は名前などを登録用紙に書いていく。
この世界の文字が書けるか心配だったが、日本語で書いたものが自動翻訳されたので、異世界様様だ。
〈異邦人〉と呼ばれる転移者が多い世界だから、そうなっているのだろう。
「職業の『らぁめんや』とはなんでしょうか?」
ギルドの受付嬢が登録用紙を書いている俺の手元を覗きながら聞いてきた。
「ラーメン屋はラーメン屋で、ラーメンを作る人……料理人の一種かな?」
「失礼ですが、こちらの職業というのは冒険者としての職業ですので、剣士や魔法使いなどの戦闘職が該当いたします」
「ああ……なるほど、俺は戦闘できないんで、無職になるんですかね?」
「ステータスに乗っている場合もありますので、確認したらいかがです?」
受付嬢に言われたので、セシリアに確認するとステータスを見ろと言われる。
確かにそうだった。
先に開いておけばよかったな……。
(ステータス)
心の中で念じると、俺のステータスが表示される。
【 名 前 】 タケシ・ヘイワジマ
【 年 齢 】 42歳
【 職 業 】 フェアリーテイマー
【 レベル 】 1
【 体 力 】 50
【 魔 力 】 10
【 攻撃力 】 11
【 防御力 】 10
【 俊敏性 】 13
( スキル ) 屋台召喚 アイテムボックス 鑑定 多言語理解 妖精感知
「屋台召喚と鑑定か、職業はフェアリーテイマー……っと」
ステータスボードを見て、表示されたものを記入していった。
「フェアリーテイマーとは珍しい職業ですわね。それにアイテムボックスに鑑定はかなり貴重ですわ」
「そうなんですか……実感わかないんで、なんともいえないんですけど」
セシリアが俺の記入したものを確認し、それから受付嬢へ登録用紙を提出する。
その際に銀貨を5枚のせてくれた。
冒険者の登録料らしく、今回のものはラーメン代替わりに出してくれるとのこと。
だが、借りをあまり作りたくないので、冒険者として活動して返していきたいものだ。
「登録は終わったー?」
「はい、今、終わりましたわ」
報酬の支払いや手続きが終わったのかカリンがジャリジャリと音のなる革袋片手にやってくる。
入手してきたものは高額で売れたようだ。
「タケシさん、それじゃあ私たちの屋敷にいきましょう。部屋は余っているし、しばらく住み込みの料理人としていてくれてもいいわ」
「それは助かるが……女所帯のところに俺が邪魔していいのか?」
「タケシが私達に敵う訳ないっス。だから身の安全を心配するなら、タケシの方っス」
俺の心配はミアに一蹴される。
うん、確かに〈鑑定〉で夜鴉のメンバーのステータスを見るが俺では手も足も出ない能力をしていた。
「情けない話だが、しばらく世話になるよ。その分、ラーメンをはじめとしたメシは期待してくれ」
こういうときはWinWinの関係を維持するに限る。
俺の異世界生活は始まったばかりなのだ。
俺はダンジョンから離れ、冒険者ギルドへ向かう道はいろんな人が歩いていた。
時計を持ってないので、詳しい時間はわからないが夜の新宿のような雰囲気を感じている。
ラーメン屋をやる前に新宿で働いていたことが懐かしく感じた。
「まさに外国って感じだなぁ」
髪の色も目立つ金髪や銀髪だけでなく、茶髪などの比較的落ち着いた色もいる。
老若男女、人種も様々で見ているだけで面白くもあった。
「タケシ……はぐれてる」
きょろきょろしていたら猫獣人のフェリシアが背後に立って、俺を背中から抱きしめる。
ふにょっとフェリシアの胸が背中に当たっていた。
すごく柔らかい、女性にここまで接近されたのは何年ぶりなのか、思い出そうとしても思い出せない。
「……確保完了。追いつく」
「はい?」
フェリシアはそういうとよいしょと俺を担ぎ上げて、米俵や土嚢のように俺を肩にかけた。
そのまま軽々とした足取りで人込みを掻き分けて進んでいくと、一際大きな建物が見える。
ここが冒険者ギルドらしい。
看板の文字は見慣れないものだが、なぜか読めた。
そういえば、会話にも困っていないので異世界補正が何かあるのだろう。
「視線が痛いから、そろそろ下ろしてくれ……」
「ん……」
俺はどさっと荷物のように下ろされ、腰をさすりながら立ち上がった。
■アルカディア王国・ヴァルディール冒険者ギルド
スイングドアを押し開けて、俺はギルドの中に入る。
冒険者ギルドには訓練施設と食堂があり、近くには宿泊施設もあるのでさながら免許合宿のできる教習場のようだった。
受付ではカリン達”夜鴉”が報酬の手続きをしており、受付嬢と話をしているカリンではなく、サブリーダーのセシリアが俺を手招きしてくる。
「ここで冒険者登録をやってしまいましょう。手続きのフォローはいたしますわ」
「それは助かります」
エルフのセシリアに対して、俺は頭が上がらない思いが強かった。
お嬢様のような上品さがあり、知的な雰囲気が俺を委縮させている。
「名前と……職業……所持スキルはどうやってみるんだ?」
「ステータスと念じたり、口に出せば自分のものは自分で確認できますわ。他人のをみるには許可を得るか、〈鑑定〉スキルが必要になりますけど」
さすが賢者、物知りだった。
俺は名前などを登録用紙に書いていく。
この世界の文字が書けるか心配だったが、日本語で書いたものが自動翻訳されたので、異世界様様だ。
〈異邦人〉と呼ばれる転移者が多い世界だから、そうなっているのだろう。
「職業の『らぁめんや』とはなんでしょうか?」
ギルドの受付嬢が登録用紙を書いている俺の手元を覗きながら聞いてきた。
「ラーメン屋はラーメン屋で、ラーメンを作る人……料理人の一種かな?」
「失礼ですが、こちらの職業というのは冒険者としての職業ですので、剣士や魔法使いなどの戦闘職が該当いたします」
「ああ……なるほど、俺は戦闘できないんで、無職になるんですかね?」
「ステータスに乗っている場合もありますので、確認したらいかがです?」
受付嬢に言われたので、セシリアに確認するとステータスを見ろと言われる。
確かにそうだった。
先に開いておけばよかったな……。
(ステータス)
心の中で念じると、俺のステータスが表示される。
【 名 前 】 タケシ・ヘイワジマ
【 年 齢 】 42歳
【 職 業 】 フェアリーテイマー
【 レベル 】 1
【 体 力 】 50
【 魔 力 】 10
【 攻撃力 】 11
【 防御力 】 10
【 俊敏性 】 13
( スキル ) 屋台召喚 アイテムボックス 鑑定 多言語理解 妖精感知
「屋台召喚と鑑定か、職業はフェアリーテイマー……っと」
ステータスボードを見て、表示されたものを記入していった。
「フェアリーテイマーとは珍しい職業ですわね。それにアイテムボックスに鑑定はかなり貴重ですわ」
「そうなんですか……実感わかないんで、なんともいえないんですけど」
セシリアが俺の記入したものを確認し、それから受付嬢へ登録用紙を提出する。
その際に銀貨を5枚のせてくれた。
冒険者の登録料らしく、今回のものはラーメン代替わりに出してくれるとのこと。
だが、借りをあまり作りたくないので、冒険者として活動して返していきたいものだ。
「登録は終わったー?」
「はい、今、終わりましたわ」
報酬の支払いや手続きが終わったのかカリンがジャリジャリと音のなる革袋片手にやってくる。
入手してきたものは高額で売れたようだ。
「タケシさん、それじゃあ私たちの屋敷にいきましょう。部屋は余っているし、しばらく住み込みの料理人としていてくれてもいいわ」
「それは助かるが……女所帯のところに俺が邪魔していいのか?」
「タケシが私達に敵う訳ないっス。だから身の安全を心配するなら、タケシの方っス」
俺の心配はミアに一蹴される。
うん、確かに〈鑑定〉で夜鴉のメンバーのステータスを見るが俺では手も足も出ない能力をしていた。
「情けない話だが、しばらく世話になるよ。その分、ラーメンをはじめとしたメシは期待してくれ」
こういうときはWinWinの関係を維持するに限る。
俺の異世界生活は始まったばかりなのだ。
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