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1.コンニャク妖怪と巫女の謎
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「きょうは、一日中、晴れだって」
いつも朝ご飯を食べ終わるころになると、お母さんはおとなしくなる。ただの天気の話を、ゆっくりと、かみしめるように話す。それにつられるわけじゃないけど、僕もイチゴを食べるスピードが少しだけ遅くなった。
「そっか。じゃあ、傘はいらないね」
僕の家では、朝はテレビをつけない。だから天気予報のニュースが自然と耳に入ってくるわけじゃない。お母さんも僕も、起きたらすぐにスマートフォンを使って調べたり、カーテンを開けたりして、一日の天気を確認する。ほんの数年前から、そんな癖のようなものがついていた。
「お母さん、学校まで送ろうか? 車もたくさん走ってて危ないし……」
「広い道路には出ないで、せまい道を歩いてるからだいじょうぶだってば。急ぎの仕事があるんでしょ? 僕のことは気にしなくていいよ」
口の中で細かくなりすぎたのか、味がよくわからなくなってしまったイチゴを飲み込んで、僕は小さく首を横に振る。「心配性だなあ」って、明るく笑い飛ばせたらよかったんだけど、それはどうしてもできなかった。代わりに「ごちそうさまでした」と席を立ち、お母さんの言葉をさえぎる。
「行ってきます!」
僕が明るく笑って元気にあいさつすれば、お母さんもきっと安心してくれる。そんな期待を込めて、僕は振り向くことなく学校へと向かった。
いつものように、少しだけ遠回りをしながら。
いつも朝ご飯を食べ終わるころになると、お母さんはおとなしくなる。ただの天気の話を、ゆっくりと、かみしめるように話す。それにつられるわけじゃないけど、僕もイチゴを食べるスピードが少しだけ遅くなった。
「そっか。じゃあ、傘はいらないね」
僕の家では、朝はテレビをつけない。だから天気予報のニュースが自然と耳に入ってくるわけじゃない。お母さんも僕も、起きたらすぐにスマートフォンを使って調べたり、カーテンを開けたりして、一日の天気を確認する。ほんの数年前から、そんな癖のようなものがついていた。
「お母さん、学校まで送ろうか? 車もたくさん走ってて危ないし……」
「広い道路には出ないで、せまい道を歩いてるからだいじょうぶだってば。急ぎの仕事があるんでしょ? 僕のことは気にしなくていいよ」
口の中で細かくなりすぎたのか、味がよくわからなくなってしまったイチゴを飲み込んで、僕は小さく首を横に振る。「心配性だなあ」って、明るく笑い飛ばせたらよかったんだけど、それはどうしてもできなかった。代わりに「ごちそうさまでした」と席を立ち、お母さんの言葉をさえぎる。
「行ってきます!」
僕が明るく笑って元気にあいさつすれば、お母さんもきっと安心してくれる。そんな期待を込めて、僕は振り向くことなく学校へと向かった。
いつものように、少しだけ遠回りをしながら。
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