50 / 77
9.レインボーのカッパ
9-1
しおりを挟む
あれから三日たっても、コロには会えなかった。そもそもヒノモトにログインをしているのか、していないのかもわからない。
そんな失意の底をさまよっている僕を尻目に、世間は楽しい大型連休を迎えようとしていた。
「夏樹は、どこに行きたい? 電車でちょっと遠くに行ってみる? あ、飛行機でもだいじょうぶだよ!」
朝から楽しそうに旅行プランをすすめてくるお母さんに、僕は「うーん」と生返事をする。せっかくの連休だから僕を好きなところに連れて行ってやりたいという気持ちは本当にうれしいけど、いまはとてもそんなことは考えられない。
コロのことが、どうしても頭をよぎってしまうのだ。ご飯を食べていても、道を歩いていても。不意に思い出しては、そのたび大きなため息をついてしまう。
学校でも終始そんな状態だったらしく、見かねたメイくんが「どうしたの」と声をかけてくれた。でも、もうすでにヒノモトをやめてしまっているメイくんに、詳しい事情は話せない。余計な心配をさせたくないという気持ちと、あとは新しいゲームに一緒についていけなかったことについての罪悪感があったからだ。端的に言って、ちょっとだけ気まずい。
「なんでもない」と答える僕に、メイくんもそれ以上は聞いてこなかった。実にメイくんらしい距離感だし、僕たちはこれでいいのだと思う。今までもうまくやってきたし、これからだってうまくやっていけるはずだ。きっと。
そんな失意の底をさまよっている僕を尻目に、世間は楽しい大型連休を迎えようとしていた。
「夏樹は、どこに行きたい? 電車でちょっと遠くに行ってみる? あ、飛行機でもだいじょうぶだよ!」
朝から楽しそうに旅行プランをすすめてくるお母さんに、僕は「うーん」と生返事をする。せっかくの連休だから僕を好きなところに連れて行ってやりたいという気持ちは本当にうれしいけど、いまはとてもそんなことは考えられない。
コロのことが、どうしても頭をよぎってしまうのだ。ご飯を食べていても、道を歩いていても。不意に思い出しては、そのたび大きなため息をついてしまう。
学校でも終始そんな状態だったらしく、見かねたメイくんが「どうしたの」と声をかけてくれた。でも、もうすでにヒノモトをやめてしまっているメイくんに、詳しい事情は話せない。余計な心配をさせたくないという気持ちと、あとは新しいゲームに一緒についていけなかったことについての罪悪感があったからだ。端的に言って、ちょっとだけ気まずい。
「なんでもない」と答える僕に、メイくんもそれ以上は聞いてこなかった。実にメイくんらしい距離感だし、僕たちはこれでいいのだと思う。今までもうまくやってきたし、これからだってうまくやっていけるはずだ。きっと。
0
あなたにおすすめの小説
本の冒険者たち~はじまりの色彩~
月影 朔
児童書・童話
夏休み、退屈と無気力に沈む小学6年生のクウトは、世界の色彩が失われていることに気づく。
ある日、秘密の図書室で本の精霊リーフと賢者フクロウのオウルに出会い、人々から感情の色が失われている世界の危機を知らされる。失われた「怒り」を取り戻すため、クウトは『オズの魔法使い』の世界へ飛び込むが――。
いじめ、劣等感、孤独。誰もが抱える複雑な感情と向き合い、友情、勇気、信頼の「きずな」を紡ぎながら、自分と世界の色を取り戻す、感動の冒険ファンタジー!
ボクはスライム
バナナ男さん
絵本
こんな感じだったら楽しいなと書いてみたので載せてみましたઽ( ´ω`)ઽ
凄く簡単に読める仕様でサクッと読めますのでよかったら暇つぶしに読んでみて下さいませ〜・:*。・:*三( ⊃'ω')⊃
野良犬ぽちの冒険
KAORUwithAI
児童書・童話
――ぼくの名前、まだおぼえてる?
ぽちは、むかし だれかに かわいがられていた犬。
だけど、ひっこしの日に うっかり わすれられてしまって、
気がついたら、ひとりぼっちの「のらいぬ」に なっていた。
やさしい人もいれば、こわい人もいる。
あめの日も、さむい夜も、ぽちは がんばって生きていく。
それでも、ぽちは 思っている。
──また だれかが「ぽち」ってよんでくれる日が、くるんじゃないかって。
すこし さみしくて、すこし あたたかい、
のらいぬ・ぽちの ぼうけんが はじまります。
おばあちゃんっ子 ーもうこの世界にいないあなたへー
かみつ
児童書・童話
20年以上前に死んでしまった、祖母との大切な思い出を、思い出すままに書いていきます。人はどんなに大事な想いもいつかは忘れていく生き物です。辛いこともそうです。だから、もう2度と思い出すことのないことかもしれない、何気ないことも、書いていきます。
人として、とても素晴らしい、
誰からでも愛されるそんな祖母でした。
今は亡き祖母へ
もう届くことのない、わたしの想いをここに書き記します。
せかいのこどもたち
hosimure
絵本
さくらはにほんのしょうがっこうにかよっているおんなのこ。
あるひ、【せかいのこどもたち】があつまるパーティのしょうたいじょうがとどきます。
さくらはパーティかいじょうにいくと……。
☆使用しているイラストは「かわいいフリー素材集いらすとや」様のをお借りしています。
無断で転載することはお止めください。
その怪談、お姉ちゃんにまかせて
藤香いつき
児童書・童話
小学5年生の月森イチカは、怖がりな妹・ニコのために、学校でウワサされる怪談を解いてきた。
「その怪談、お姉ちゃんにまかせて」
そのせいで、いつのまにか『霊感少女』なんて呼ばれている。
そんな彼女の前に現れたのは、学校一の人気者——会長・氷室冬也。
「霊感少女イチカくん。学校の七不思議を、きみの力で解いてほしい」
怪談を信じないイチカは断るけれど……?
イチカと冬也の小学生バディが挑む、謎とホラーに満ちた七不思議ミステリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる