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9.レインボーのカッパ
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レインボーのカッパの前で、コロを降ろす。ついでに自分の頭もたしかめた。よかった、コブはできてなさそう。
「改めまして、四季島夏樹です。中学二年生です」
「ナツキ? ……ああ、だからヒノモトではハルキなのか。夏だから、春」
まさかの推理をはじめた小さな探偵が、興味深そうに僕を見上げる。着眼点が実に小学生らしくない。
でも、言われて気づいた。いや、今までずっと目を逸らしていたことに、そろそろ向き合うべきだということに気づいた。
「……僕の姉の名前が、春花なんだ。僕が夏の樹で、姉が春の花。だから、そのイメージが頭の中にあったのかもね」
「お姉ちゃん、いるのか」
「うん。双子だった」
「……そっか」
いつもなら言わずに済ませたことを口にしたのは、コロの体が弱いという事情を知ってしまったからだと思う。一方的に聞いてばかりで自分のことを何も教えないのは、友達としてフェアじゃない気がした。
「俺は、天道小太郎。小学五年生」
改めて向かい合っても、細い体だと思う。でもそれ以上に、ぴんと伸びた背筋が、艶のある栗色の髪が、僕を見つめる強い眼差しが、とてもカッコいいと思った。
「小太郎くんか。だから、コロなんだね」
「コロウだけどな。まあ、いいけど」
「……コロ。また会える?」
ヒノモトでのいつものやり取りを、現実世界で初めて口にした。なんとなく気恥ずかしい。
小太郎くんも同じだったようで、大きな目をぱちくり見開いてから、そっけなく視線を海のほうへ向ける。そうして「さあな」と小さく笑った。
太陽の光を反射する波を映し込んだ小太郎くんの目が、思わず見惚れてしまうくらいキラキラしている。きっと、あの鬼の面の下にある瞳も、いつだってこんなふうに輝いてるんだろうなと思った。
「改めまして、四季島夏樹です。中学二年生です」
「ナツキ? ……ああ、だからヒノモトではハルキなのか。夏だから、春」
まさかの推理をはじめた小さな探偵が、興味深そうに僕を見上げる。着眼点が実に小学生らしくない。
でも、言われて気づいた。いや、今までずっと目を逸らしていたことに、そろそろ向き合うべきだということに気づいた。
「……僕の姉の名前が、春花なんだ。僕が夏の樹で、姉が春の花。だから、そのイメージが頭の中にあったのかもね」
「お姉ちゃん、いるのか」
「うん。双子だった」
「……そっか」
いつもなら言わずに済ませたことを口にしたのは、コロの体が弱いという事情を知ってしまったからだと思う。一方的に聞いてばかりで自分のことを何も教えないのは、友達としてフェアじゃない気がした。
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「……コロ。また会える?」
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