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第六話
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「なんか最近おかしな薬が流行ってるらしいんですよ」
「おかしな薬………?」
今回ギルドで受けた依頼はとある村の畑を荒らしている魔物の討伐。
その村は比較的近く、歩いても一日で往復出来る距離だった。
ジンとウィードは、気持ちいい風を感じながら、雑談をしていた。
「はい、なんでも惚れ薬が実在したッ!とかで最近巷で騒がれているらしくて」
「へえー、そんなのがあるんだ。ジン君はそれを使いたい相手でもいるの?」
「うーん、僕はいないかなー。ウィードさんは?」
「僕はー………」
ハルサックの顔が頭に浮かんだ。
もしハルサックにその惚れ薬を飲ませたらどうなるだろうか?
そんなことを考えるくらいには、僕も未練たらたらなんだなあと改めて分かった。
あー、早く吹っ切れたい。
「僕はいないかなー」
「そうなんですか? 僕はてっきり……って、まあいいか。実は僕の弟がその惚れ薬を買ってみたらしくて、興味あるならと思ったんですけど……」
「えっ? 弟さんがいらっしゃったんですか?」
Aランクパーティーのリーダーだけあって、ジンの噂はあることないこと色々聞いたことある。しかし、兄弟がいたというのは初めて聞いた。
「ええ、実は弟も冒険者をやっているんですよ。ただ、僕と兄弟であることを隠したいようなので、口外してないんですよね」
「えっ? それ、僕に言ってもいいんですか?」
焦って隣を歩いているジンの顔を見上げた。すると、彼はこちらに顔を近づける。
そして、唇に人差し指をあてた。
「困るので、秘密でお願いします」
彼はウィードに向かってウインクをした。
その瞬間ーー
「はーなーれーろおおおおおお!」
後方から、男が叫ぶ声が聞こえた。そして、僕の身体が傾いた。
何かに押された?
そう思い、そちらをみると、そこにはハルサックがいた。
ハルサックは遮るようにして、ウィードとジンの間に立つ。
「ウィード、なんで俺以外の奴と依頼受けてんだ?」
「は?」
ウィードは素っ頓狂な声を上げた。
何言ってるんだ……この人?
ハルサックはウィードに近づき、手首を掴んだ。
そして、強引に引き寄せる。
ウィードは、ハルサックの腕の中に収まった。
「えっ? 何?」
ウィードは戸惑いが隠せない。と、いうか隠すつもりもない。
腕でハルサックの胸を押し、抵抗する。
「ウィード、帰るぞ」
「はー? 何言ってんのー? いーやーだけどー?」
ウィードはハルサックから離れようと足にも力を入れる。
しかし肉体的な強さは彼の方が圧倒的に持っている。
結局は腕を捕まれ、元来た道を引き返すように引きずられそうになる。
あー、なんかイライラしてきた。なんなの? この人。
一週間、僕のことを放ったらかしにした挙句これ?
それに、一週間前の僕のことを好き勝手したことも許してないんだけど?
そもそもこの人ーー
「僕のこと、嫌いなんでしょ?」
そう言った瞬間、手首を掴む力が弱まった。
ウィードは、腕に力を入れて思いっきり振った。
すると、あっさりと腕の拘束が解けた。
「おっとと……」
「ーーじゃねぇ」
ハルサックは俯いて、拳を握っていた。そうして耐えるように、何かを静かに呟いた。しかし、ウィードには聞こえなかった。
「何?」
と、聞き返すと彼は顔を上げた。
ウィードはあまりの彼の切羽詰まった顔に気押されて、身体が勝手に一歩引いた。
「嫌いじゃねぇ!」
しばらく沈黙が落ちた。
ハルサックは、ウィードの反応を待っていたし、ジンは到底口を出せる雰囲気じゃない。
そしてウィードはーー、彼の言葉の意味を理解出来ていなかった。
「おかしな薬………?」
今回ギルドで受けた依頼はとある村の畑を荒らしている魔物の討伐。
その村は比較的近く、歩いても一日で往復出来る距離だった。
ジンとウィードは、気持ちいい風を感じながら、雑談をしていた。
「はい、なんでも惚れ薬が実在したッ!とかで最近巷で騒がれているらしくて」
「へえー、そんなのがあるんだ。ジン君はそれを使いたい相手でもいるの?」
「うーん、僕はいないかなー。ウィードさんは?」
「僕はー………」
ハルサックの顔が頭に浮かんだ。
もしハルサックにその惚れ薬を飲ませたらどうなるだろうか?
そんなことを考えるくらいには、僕も未練たらたらなんだなあと改めて分かった。
あー、早く吹っ切れたい。
「僕はいないかなー」
「そうなんですか? 僕はてっきり……って、まあいいか。実は僕の弟がその惚れ薬を買ってみたらしくて、興味あるならと思ったんですけど……」
「えっ? 弟さんがいらっしゃったんですか?」
Aランクパーティーのリーダーだけあって、ジンの噂はあることないこと色々聞いたことある。しかし、兄弟がいたというのは初めて聞いた。
「ええ、実は弟も冒険者をやっているんですよ。ただ、僕と兄弟であることを隠したいようなので、口外してないんですよね」
「えっ? それ、僕に言ってもいいんですか?」
焦って隣を歩いているジンの顔を見上げた。すると、彼はこちらに顔を近づける。
そして、唇に人差し指をあてた。
「困るので、秘密でお願いします」
彼はウィードに向かってウインクをした。
その瞬間ーー
「はーなーれーろおおおおおお!」
後方から、男が叫ぶ声が聞こえた。そして、僕の身体が傾いた。
何かに押された?
そう思い、そちらをみると、そこにはハルサックがいた。
ハルサックは遮るようにして、ウィードとジンの間に立つ。
「ウィード、なんで俺以外の奴と依頼受けてんだ?」
「は?」
ウィードは素っ頓狂な声を上げた。
何言ってるんだ……この人?
ハルサックはウィードに近づき、手首を掴んだ。
そして、強引に引き寄せる。
ウィードは、ハルサックの腕の中に収まった。
「えっ? 何?」
ウィードは戸惑いが隠せない。と、いうか隠すつもりもない。
腕でハルサックの胸を押し、抵抗する。
「ウィード、帰るぞ」
「はー? 何言ってんのー? いーやーだけどー?」
ウィードはハルサックから離れようと足にも力を入れる。
しかし肉体的な強さは彼の方が圧倒的に持っている。
結局は腕を捕まれ、元来た道を引き返すように引きずられそうになる。
あー、なんかイライラしてきた。なんなの? この人。
一週間、僕のことを放ったらかしにした挙句これ?
それに、一週間前の僕のことを好き勝手したことも許してないんだけど?
そもそもこの人ーー
「僕のこと、嫌いなんでしょ?」
そう言った瞬間、手首を掴む力が弱まった。
ウィードは、腕に力を入れて思いっきり振った。
すると、あっさりと腕の拘束が解けた。
「おっとと……」
「ーーじゃねぇ」
ハルサックは俯いて、拳を握っていた。そうして耐えるように、何かを静かに呟いた。しかし、ウィードには聞こえなかった。
「何?」
と、聞き返すと彼は顔を上げた。
ウィードはあまりの彼の切羽詰まった顔に気押されて、身体が勝手に一歩引いた。
「嫌いじゃねぇ!」
しばらく沈黙が落ちた。
ハルサックは、ウィードの反応を待っていたし、ジンは到底口を出せる雰囲気じゃない。
そしてウィードはーー、彼の言葉の意味を理解出来ていなかった。
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