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第十一話(ハルサック視点)
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『僕の両親と同じじゃないか』
そう言ったウィードの表情は、夕日の影に隠れて見えなかった。
あれから、一ヶ月経った。
しかしハルサックはあの日の出来事を鮮明に覚えている。それ程ハルサックにとって、ショックな出来事だった。
両親と同じということは、ウィードにとってハルサックは、絶交したい存在だということだ。
あの言葉が、それほどの嫌悪感を表していることを、ハルサックは知っていた。
だからこそ、ウィードに言われるまで気づかなかった自分がショックだった。
まだ若い、十代の頃のウィードが「愛してる」と言う言葉を無表情で口に出していたときのことを思い出す。
感情の起伏が激しいウィードの母親は、コップや花瓶を投げ散らかし、ウィードに怪我をさせたかと思えば、「愛してる、ごめんね」と、泣きながら許しを乞うていた。
プライドの高いウィードの父親は、既に期待に応えられるように頑張っていたウィードに「愛しているから、もっと頑張りなさい」と、体を壊すまで勉強を続けさせていた。
そんな両親を持ちながら、必死に日々を生きていたウィードに「こんなのはおかしい!」と言ったのがハルサックだった。
愛を語ってウィードを自分の都合のいいようにコントロールしようとしているようにしか見えなかった。
だから、泣きながら両親を守ろうとハルサックの言葉を否定するウィードに、
『あいつらは、好きって言う言葉を使って、自分が正しいことをしてるって思いたいだけなんだよ! そこに、愛なんてねぇ!!!』
と、まで言った。
そして、泣き疲れたウィードを無理矢理攫って、冒険者としてパーティーを組んだ。
それが、ハルサックとウィードの出会いだった。
初めは両親の元へ帰ると言っていたウィードも、時間が経つつれて、あの家庭環境の歪さに気づき、次第言わなくなった。
ウィードが上手く感情を表に出せないのも、本心を話せないのも、幼少期の環境によるものが大きかった。
だから、ウィードは両親を憎まないまでも、一緒にいたくはない存在だと位置づけていた。
ハルサックは、そんな過去を振り返って再度自分がウィードにしたことの取り返しのつかなさを自覚していた。
あの日のあの後、ハルサックは謝ろうが土下座しようが、ウィードに許してもらえることはなかった。
それはもう仕方のないことだと、あのハルサックでさえ思っていた。
あの言葉はハルサックの心を折るには十分すぎるものだった。
ハルサックとウィードのそんな出会いそのものを否定する、そんな言葉だったのだから。
そう言ったウィードの表情は、夕日の影に隠れて見えなかった。
あれから、一ヶ月経った。
しかしハルサックはあの日の出来事を鮮明に覚えている。それ程ハルサックにとって、ショックな出来事だった。
両親と同じということは、ウィードにとってハルサックは、絶交したい存在だということだ。
あの言葉が、それほどの嫌悪感を表していることを、ハルサックは知っていた。
だからこそ、ウィードに言われるまで気づかなかった自分がショックだった。
まだ若い、十代の頃のウィードが「愛してる」と言う言葉を無表情で口に出していたときのことを思い出す。
感情の起伏が激しいウィードの母親は、コップや花瓶を投げ散らかし、ウィードに怪我をさせたかと思えば、「愛してる、ごめんね」と、泣きながら許しを乞うていた。
プライドの高いウィードの父親は、既に期待に応えられるように頑張っていたウィードに「愛しているから、もっと頑張りなさい」と、体を壊すまで勉強を続けさせていた。
そんな両親を持ちながら、必死に日々を生きていたウィードに「こんなのはおかしい!」と言ったのがハルサックだった。
愛を語ってウィードを自分の都合のいいようにコントロールしようとしているようにしか見えなかった。
だから、泣きながら両親を守ろうとハルサックの言葉を否定するウィードに、
『あいつらは、好きって言う言葉を使って、自分が正しいことをしてるって思いたいだけなんだよ! そこに、愛なんてねぇ!!!』
と、まで言った。
そして、泣き疲れたウィードを無理矢理攫って、冒険者としてパーティーを組んだ。
それが、ハルサックとウィードの出会いだった。
初めは両親の元へ帰ると言っていたウィードも、時間が経つつれて、あの家庭環境の歪さに気づき、次第言わなくなった。
ウィードが上手く感情を表に出せないのも、本心を話せないのも、幼少期の環境によるものが大きかった。
だから、ウィードは両親を憎まないまでも、一緒にいたくはない存在だと位置づけていた。
ハルサックは、そんな過去を振り返って再度自分がウィードにしたことの取り返しのつかなさを自覚していた。
あの日のあの後、ハルサックは謝ろうが土下座しようが、ウィードに許してもらえることはなかった。
それはもう仕方のないことだと、あのハルサックでさえ思っていた。
あの言葉はハルサックの心を折るには十分すぎるものだった。
ハルサックとウィードのそんな出会いそのものを否定する、そんな言葉だったのだから。
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