相方に冒険者パーティー解消したいと言ったらブチ切れられた

人生2929回血迷った人

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第十一話(ハルサック視点)

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『僕の両親と同じじゃないか』

 そう言ったウィードの表情は、夕日の影に隠れて見えなかった。

 あれから、一ヶ月経った。
 しかしハルサックはあの日の出来事を鮮明に覚えている。それ程ハルサックにとって、ショックな出来事だった。

 両親と同じということは、ウィードにとってハルサックは、絶交したい存在だということだ。
 あの言葉が、それほどの嫌悪感を表していることを、ハルサックは知っていた。

 だからこそ、ウィードに言われるまで気づかなかった自分がショックだった。

 まだ若い、十代の頃のウィードが「愛してる」と言う言葉を無表情で口に出していたときのことを思い出す。

 感情の起伏が激しいウィードの母親は、コップや花瓶を投げ散らかし、ウィードに怪我をさせたかと思えば、「愛してる、ごめんね」と、泣きながら許しを乞うていた。
 プライドの高いウィードの父親は、既に期待に応えられるように頑張っていたウィードに「愛しているから、もっと頑張りなさい」と、体を壊すまで勉強を続けさせていた。

 そんな両親を持ちながら、必死に日々を生きていたウィードに「こんなのはおかしい!」と言ったのがハルサックだった。

 愛を語ってウィードを自分の都合のいいようにコントロールしようとしているようにしか見えなかった。

 だから、泣きながら両親を守ろうとハルサックの言葉を否定するウィードに、

『あいつらは、好きって言う言葉を使って、自分が正しいことをしてるって思いたいだけなんだよ! そこに、愛なんてねぇ!!!』

 と、まで言った。

 そして、泣き疲れたウィードを無理矢理攫って、冒険者としてパーティーを組んだ。
 それが、ハルサックとウィードの出会いだった。

 初めは両親の元へ帰ると言っていたウィードも、時間が経つつれて、あの家庭環境の歪さに気づき、次第言わなくなった。

 ウィードが上手く感情を表に出せないのも、本心を話せないのも、幼少期の環境によるものが大きかった。

 だから、ウィードは両親を憎まないまでも、一緒にいたくはない存在だと位置づけていた。


 ハルサックは、そんな過去を振り返って再度自分がウィードにしたことの取り返しのつかなさを自覚していた。

 あの日のあの後、ハルサックは謝ろうが土下座しようが、ウィードに許してもらえることはなかった。

 それはもう仕方のないことだと、あのハルサックでさえ思っていた。
 あの言葉はハルサックの心を折るには十分すぎるものだった。

 ハルサックとウィードのそんな出会いそのものを否定する、そんな言葉だったのだから。
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