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第十四話(ハルサック視点)
ウィードはあまり自己主張をしない性格だ。
それは元々生まれつきの性格もあるだろうし、幼少期の環境によるもなでもあるだろう。
だから仕方ないことなのかもしれない。
しかし、ハルサックはある日思ってしまったのだ。
ウィードの方から求められてみたいと。
元々、ウィードとの関係はハルサックが強引に家から連れ出し、彼を冒険者にしたことから始まる。
ウィードは後からその事に納得してくれたとはいえ、元々それは彼が望んでいたことではないのだ。
全てハルサックが望み、実現してきた関係性だ。
じゃあ、自分がウィードを求めなくなったら……?
そしたら、この関係は終わるんだろうか?
そう思うと、ハルサックは無性に虚しくなった。
今まで馬鹿みたいに、この関係性が壊れないように、自分の恋愛感情に蓋をしてきた。しかしそんな考えが浮かんできた時、自分自身が馬鹿らしく思えてきた。
だから、ウィードを試したのだ。
自分がウィードと依頼を受けなくなったら、彼はどうするのか?
自分を求めてくれるのか。
しかし、結果は散々なものだった。
「俺、ウィードが好きなんだ」
「はい? そうですね」
「だから、パーティー解消したいって言われて、ついカッとなって襲っちまったんだ」
「襲った……?」
「ああ、本当に悪いことをしたと思ってるんだ。それに、それだけじゃない。その前もーー」
「ちょっ! ちょっと待ってください!」
ハルサックの目の前に、ジンの手のひらが押し出された。
ジンは反対の手で自身の頭を押さえる。
「ちょっと耳貸してください」
ハルサックはジンにちょいちょいっと手で招かれ、耳を差し出す。
「おっ、お、襲ったって、どういうことですか?」
「そりゃあベッドに押し倒しーーいっ!」
ジンは、普通に声に出して答えようとするハルサックの耳を力の限り引っ張った。
「あなたにデリカシーというものはないんですか!? 他の人にはこのこと話してないでしょうね!」
ジンは、ハルサックの隣に椅子を引きずって座り、口元をかくしてならべく声のトーンを落として話す。
「あ、ああ。話してない」
周りに聞かれないように静かに話しながらも、すごい剣幕のジンに、ハルサックもジンと同じようにした。
「なら、良かった。しかし、ハルサックさんはもっと想像力を働かせて下さい。」
「お、おう?」
「この会話がもし第三者に聞かれていて、その人が興味本位でウィードさんにそのことを聞いたら? ウィードさんはどんな気持ちになると思いますか?」
ハルサックは、首を捻ってしばらく考える。そして、一分ほどかけて無難な答えに行き着く。
「嫌な気持ちになるな」
「そうです。もっと言うなら嫌な気持ちになるどころか、心が傷つきます」
ハルサックはそこまで言われてやっと、自分が配慮に欠けていたことに気がついた。
こんなんだから俺は、ウィードに見放されるのか……。
「あー、本当に俺はダメな奴だ。なんでウィードが嫌がることが分からないのか……」
「そもそれってレイプしたってことですよね? ハルサックさん、レイプがいけないことって分かってますよね?」
「それはつい……」
ジンから呆れた声が出る。
「ついで片付けられる話じゃないですよ……」
「そうだよなぁ、やっぱりウィードは俺が近くにいない方が幸せなのかなぁ」
髪の毛をガシガシとかき分け、頭を抱える。
ハルサックはウィードのことを愛している。
しかし、あまりにも人の心を慮ることができない。
今までウィードが我慢していたからそこまで問題にならなかった部分だが、自分の気持ちを伝えることが苦手なウィードと人の気持ちが分からないハルサックは、相性が最悪だろう。
「そうですねぇ、そうかもしれませんねぇ。じゃあ、潔く諦めるしかないんじゃないですか?」
ジンはそう言うと、「お会計お願いします」と店員を呼んだ。
ジンは代金を払おうとしたが、ハルサックはそれを遮って、店員にお金を渡した。
「やっぱり身を引いた方がウィードの為だよなぁ」
会計を終えたハルサックは、そんなことを呟きながら店の外へと出た。
それは元々生まれつきの性格もあるだろうし、幼少期の環境によるもなでもあるだろう。
だから仕方ないことなのかもしれない。
しかし、ハルサックはある日思ってしまったのだ。
ウィードの方から求められてみたいと。
元々、ウィードとの関係はハルサックが強引に家から連れ出し、彼を冒険者にしたことから始まる。
ウィードは後からその事に納得してくれたとはいえ、元々それは彼が望んでいたことではないのだ。
全てハルサックが望み、実現してきた関係性だ。
じゃあ、自分がウィードを求めなくなったら……?
そしたら、この関係は終わるんだろうか?
そう思うと、ハルサックは無性に虚しくなった。
今まで馬鹿みたいに、この関係性が壊れないように、自分の恋愛感情に蓋をしてきた。しかしそんな考えが浮かんできた時、自分自身が馬鹿らしく思えてきた。
だから、ウィードを試したのだ。
自分がウィードと依頼を受けなくなったら、彼はどうするのか?
自分を求めてくれるのか。
しかし、結果は散々なものだった。
「俺、ウィードが好きなんだ」
「はい? そうですね」
「だから、パーティー解消したいって言われて、ついカッとなって襲っちまったんだ」
「襲った……?」
「ああ、本当に悪いことをしたと思ってるんだ。それに、それだけじゃない。その前もーー」
「ちょっ! ちょっと待ってください!」
ハルサックの目の前に、ジンの手のひらが押し出された。
ジンは反対の手で自身の頭を押さえる。
「ちょっと耳貸してください」
ハルサックはジンにちょいちょいっと手で招かれ、耳を差し出す。
「おっ、お、襲ったって、どういうことですか?」
「そりゃあベッドに押し倒しーーいっ!」
ジンは、普通に声に出して答えようとするハルサックの耳を力の限り引っ張った。
「あなたにデリカシーというものはないんですか!? 他の人にはこのこと話してないでしょうね!」
ジンは、ハルサックの隣に椅子を引きずって座り、口元をかくしてならべく声のトーンを落として話す。
「あ、ああ。話してない」
周りに聞かれないように静かに話しながらも、すごい剣幕のジンに、ハルサックもジンと同じようにした。
「なら、良かった。しかし、ハルサックさんはもっと想像力を働かせて下さい。」
「お、おう?」
「この会話がもし第三者に聞かれていて、その人が興味本位でウィードさんにそのことを聞いたら? ウィードさんはどんな気持ちになると思いますか?」
ハルサックは、首を捻ってしばらく考える。そして、一分ほどかけて無難な答えに行き着く。
「嫌な気持ちになるな」
「そうです。もっと言うなら嫌な気持ちになるどころか、心が傷つきます」
ハルサックはそこまで言われてやっと、自分が配慮に欠けていたことに気がついた。
こんなんだから俺は、ウィードに見放されるのか……。
「あー、本当に俺はダメな奴だ。なんでウィードが嫌がることが分からないのか……」
「そもそれってレイプしたってことですよね? ハルサックさん、レイプがいけないことって分かってますよね?」
「それはつい……」
ジンから呆れた声が出る。
「ついで片付けられる話じゃないですよ……」
「そうだよなぁ、やっぱりウィードは俺が近くにいない方が幸せなのかなぁ」
髪の毛をガシガシとかき分け、頭を抱える。
ハルサックはウィードのことを愛している。
しかし、あまりにも人の心を慮ることができない。
今までウィードが我慢していたからそこまで問題にならなかった部分だが、自分の気持ちを伝えることが苦手なウィードと人の気持ちが分からないハルサックは、相性が最悪だろう。
「そうですねぇ、そうかもしれませんねぇ。じゃあ、潔く諦めるしかないんじゃないですか?」
ジンはそう言うと、「お会計お願いします」と店員を呼んだ。
ジンは代金を払おうとしたが、ハルサックはそれを遮って、店員にお金を渡した。
「やっぱり身を引いた方がウィードの為だよなぁ」
会計を終えたハルサックは、そんなことを呟きながら店の外へと出た。
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