相方に冒険者パーティー解消したいと言ったらブチ切れられた

人生2929回血迷った人

文字の大きさ
21 / 25

第二十一話(ハルサック視点)

「は……? えっ!? ウィードがロットを好き……?」

 な、何が起きているんだ?
 え、なんで……?

「ねぇ、ロットくん。僕、暑い……すごくこの部屋暑い……それに身体がなんか変……んっ……」
「ウィードさん!?」

 ウィードは、自身の服に手をかけて脱ごうとする。手に力が入っていないのか、上手くいっていないが、素肌が見える。

「ウィ、ウィード!?」

 ハルサックの声に反応したウィードは、服から手を離しこちらを見た。

「あれ? ハルサック? 何でここに……」
「気絶したジンを送り届けに来たんだ。それよりも、お前こそなんでここに? ロットのことが好きだっていうのはどういうことだ?」

 なるべく冷静にウィードの話を聞こう。感情に身を任せたら、今まで同じだ。

 ハルサックはなるべく自身の中に湧く嫉妬や、それに伴う怒りの感情を、拳に力を入れて抑え込む。

「何、って……言葉通りだけど……」
「はぁっ!? ……じゃなくて、それはいつからだ?」
「いつ……? あれ? いつだっけ? うーーーん、つい……さっき?」

 ついさっき……だと?
 ついさっき好きになって、今もうこんなにイチャイチャしてるってのか?

 ハルサックは驚き過ぎて何も言えなかった。

「うーん、ついさっき? 僕はロットくんのこと好きになったの……? あれぇ? なんでぇ?」

 ウィードは眉間を人差し指でグリグリと抑えて、うーんと考え込んだ。

「まっ、ままま、まあ、そんなことはいいじゃないですか。そ、それよりも部屋に戻りましょう?」

 ロットはウィードの肩を抱いて、リビングに向かうように誘導した。

 明らかにおかしい。
 これ、おかしいよな?
 なんでこいつはこんなに動揺してんだ?

「おい、ロット。ウィードに何しやがった?」

 ウィードと一緒にリビングに行こうとするロットの手を掴んで、引き寄せた。

「は? な、なな何言ってんだよ、ハルサック。僕がウィードさんにそ、そんな変なことするなんて……」
「……今白状するなら一発ぶん殴るだけで許してやる。ただ、嘘ついたら……覚悟しろよ?」

 容赦は、しない。
 ハルサックは殺気を込めてロットの目を見つめた。
 しかし、彼は目を逸らすだけで無言を貫いた。

「ロット、覚悟してんだな? 俺は本当にやるからな?」

 ロットは何も言わない。
 しかし、彼の身体は震えていた。

「震えてんじゃねぇかよ」
「……だって、だって、ハルサックに言ったら、ウィードさんが何されるか分からないんだもん!!!」

 ロットは泣いていた。

「ウィードさんが傷つくくらいなら僕が殺される!!!! ハルサックのクソ野郎!!! ウィードさん弄ぶんじゃねぇ!!!」

 ハルサックはロットにポカポカと殴られて思い出す。

 そういえばこいつにはウィードに酷いことをするなと何度も忠告されていた。

 それを全部無視した結果が、一か月前のパーティ解消だった。

 こいつはウィードのことを考えて動いているはずだ。
 自分が殺されてでも、俺からウィードを守ろうとしている。

「すまねぇ」

 ハルサックは、頭を下げた。

「は? なに、いきなり?」
「俺よりもウィードのことを考えて動いてるお前に、凄い横暴な態度をとった」
「……今更すぎて何言ってんのか分かんないんだけど?」

 ロットはハルサックを信じられない物を見るような目で見てくる。
 ハルサック自身も自分が誰かに頭を下げることが出来たことに内心驚いていた。

「負けたと思ったんだよ、ロットに。俺はウィードのことが好きだ。大好きだ。それは誰にも負けてない自信がある。だけど俺は、その気持ちを表現することがとてつもなく下手くそだ」
「はぁ……?」

 ロットは首を傾げた。

「だから、一度負けを認めて、お前からどうしたらウィードのことを大切にできるのか学ぼうと思ってな、師匠」
「……はっ!? 師匠!?」

 ハルサックはロットの肩をポンッと叩く。

 ウィードがロットを好きだと言ってるのを聞いたことで、ハルサックはとあることを理解した。

 自分はウィードのことを決して諦めきれないと。

 自分の中に、ウィードをどれだけ傷つけようとも自分のものにしてどこかに閉じ込めておきたいと思った。

 そしてハルサックにはそれができてしまうほどの実力があった。

 今はその気持ちに蓋ができたとして、一月後は? 一年後は?

 我慢出来るわけがない。

 それに純粋にウィードのことを諦めたくない。

 沢山傷つけたし、嫌われてすらいるかもしれない。それでも俺は、ウィードと一緒にいたい。

 もう傷つけないように頑張るから。できる努力は全てするから。

「もう一度、ウィードの隣にいたい」

 ロットはため息をついた。

「分かった、分かった、分かりました。今更すぎるけど、ハルサックが改心するならそれが一番ウィードさんの為になる」
「ありがとう!」

 ハルサックはロットの手を両手で握って、微笑んだ。

「なんか気持ち悪ッ! まあそれに、今回のは僕も手段を選ばなすぎちゃったし……正直困ってるんだよね」

 ロットは一度言葉を区切ると、ハルサックを様子見して続きを話し出した。

「惚れ薬って知ってる?」
「飲ませた相手が自分のことを好きになるっていう薬か?」
「そう、それ。ハルサックから離れる為に、それをウィードさんに飲ませたんだけど……」



 何、ウィードに飲ませてんだ!? と、口論になりかけたが、ロットはそれよりもハルサックの近くにいる方がマズいと判断していたらしい。

 それほどに信用がなかったのか……。

 それと惚れ薬でさえ厄介なのだが、その副作用に媚薬のような効果があったらしい。

 いや、まあ、惚れ薬って好きな人とそういうことをしたい人が飲ませるわけであって、そっちの方がメインだった可能性が高いような……。

 とりあえず、ウィードを正気に戻さなければ。

 ハルサックとロットはリビングへと向かった。
感想 13

あなたにおすすめの小説

ルピナスの花束

キザキ ケイ
BL
王宮の片隅に立つ図書塔。そこに勤める司書のハロルドは、変わった能力を持っていることを隠して生活していた。 ある日、片想いをしていた騎士ルーファスから呼び出され、告白を受ける。本来なら嬉しいはずの出来事だが、ハロルドは能力によって「ルーファスが罰ゲームで自分に告白してきた」ということを知ってしまう。 想う相手に嘘の告白をされたことへの意趣返しとして、了承の返事をしたハロルドは、なぜかルーファスと本物の恋人同士になってしまい───。

追放系治癒術師は今日も無能

リラックス@ピロー
BL
「エディ、お前もうパーティ抜けろ」ある夜、幼馴染でパーティを組むイーノックは唐突にそう言った。剣術に優れているわけでも、秀でた魔術が使える訳でもない。治癒術師を名乗っているが、それも実力が伴わない半人前。完全にパーティのお荷物。そんな俺では共に旅が出来るわけも無く。 追放されたその日から、俺の生活は一変した。しかし一人街に降りた先で出会ったのは、かつて俺とイーノックがパーティを組むきっかけとなった冒険者、グレアムだった。

遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。

月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」 幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。 「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」 何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。 「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」 そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。 僕、殿下に嫌われちゃったの? 実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。

とあるパーティの解散、あるいは結成

深山恐竜
BL
勇者パーティがダンジョンのトラップにかかって「天井が落ちてくる部屋」に閉じ込められた。脱出の術がなく、もはやここで圧死するのを待つのみ……と諦めた時、僧侶が立ち上がった。 「どうせ死ぬなら最期に男と性交してみたいんですが。この中に男が好きな方いらっしゃいませんか?」 死を前にして始まるパーティメンバーたちの性癖の暴露大会。果たして無事に外に出られるのか…? (ムーンライトノベルズ様にも掲載中)

最後のひと言を君に伝える

黄金 
BL
 好きな幼馴染の為に騎士を目指したのに、魔紋を刻まれ暗殺者になって、どうせ最後に死ぬなら貴方にひと言だけ伝いたい。 ※2話完結の話です。

王子と俺は国民公認のカップルらしい。

べす
BL
レダ大好きでちょっと?執着の強めの王子ロギルダと、それに抗う騎士レダが結ばれるまでのお話。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々

月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。 俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。