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第二十一話(ハルサック視点)
「は……? えっ!? ウィードがロットを好き……?」
な、何が起きているんだ?
え、なんで……?
「ねぇ、ロットくん。僕、暑い……すごくこの部屋暑い……それに身体がなんか変……んっ……」
「ウィードさん!?」
ウィードは、自身の服に手をかけて脱ごうとする。手に力が入っていないのか、上手くいっていないが、素肌が見える。
「ウィ、ウィード!?」
ハルサックの声に反応したウィードは、服から手を離しこちらを見た。
「あれ? ハルサック? 何でここに……」
「気絶したジンを送り届けに来たんだ。それよりも、お前こそなんでここに? ロットのことが好きだっていうのはどういうことだ?」
なるべく冷静にウィードの話を聞こう。感情に身を任せたら、今まで同じだ。
ハルサックはなるべく自身の中に湧く嫉妬や、それに伴う怒りの感情を、拳に力を入れて抑え込む。
「何、って……言葉通りだけど……」
「はぁっ!? ……じゃなくて、それはいつからだ?」
「いつ……? あれ? いつだっけ? うーーーん、つい……さっき?」
ついさっき……だと?
ついさっき好きになって、今もうこんなにイチャイチャしてるってのか?
ハルサックは驚き過ぎて何も言えなかった。
「うーん、ついさっき? 僕はロットくんのこと好きになったの……? あれぇ? なんでぇ?」
ウィードは眉間を人差し指でグリグリと抑えて、うーんと考え込んだ。
「まっ、ままま、まあ、そんなことはいいじゃないですか。そ、それよりも部屋に戻りましょう?」
ロットはウィードの肩を抱いて、リビングに向かうように誘導した。
明らかにおかしい。
これ、おかしいよな?
なんでこいつはこんなに動揺してんだ?
「おい、ロット。ウィードに何しやがった?」
ウィードと一緒にリビングに行こうとするロットの手を掴んで、引き寄せた。
「は? な、なな何言ってんだよ、ハルサック。僕がウィードさんにそ、そんな変なことするなんて……」
「……今白状するなら一発ぶん殴るだけで許してやる。ただ、嘘ついたら……覚悟しろよ?」
容赦は、しない。
ハルサックは殺気を込めてロットの目を見つめた。
しかし、彼は目を逸らすだけで無言を貫いた。
「ロット、覚悟してんだな? 俺は本当にやるからな?」
ロットは何も言わない。
しかし、彼の身体は震えていた。
「震えてんじゃねぇかよ」
「……だって、だって、ハルサックに言ったら、ウィードさんが何されるか分からないんだもん!!!」
ロットは泣いていた。
「ウィードさんが傷つくくらいなら僕が殺される!!!! ハルサックのクソ野郎!!! ウィードさん弄ぶんじゃねぇ!!!」
ハルサックはロットにポカポカと殴られて思い出す。
そういえばこいつにはウィードに酷いことをするなと何度も忠告されていた。
それを全部無視した結果が、一か月前のパーティ解消だった。
こいつはウィードのことを考えて動いているはずだ。
自分が殺されてでも、俺からウィードを守ろうとしている。
「すまねぇ」
ハルサックは、頭を下げた。
「は? なに、いきなり?」
「俺よりもウィードのことを考えて動いてるお前に、凄い横暴な態度をとった」
「……今更すぎて何言ってんのか分かんないんだけど?」
ロットはハルサックを信じられない物を見るような目で見てくる。
ハルサック自身も自分が誰かに頭を下げることが出来たことに内心驚いていた。
「負けたと思ったんだよ、ロットに。俺はウィードのことが好きだ。大好きだ。それは誰にも負けてない自信がある。だけど俺は、その気持ちを表現することがとてつもなく下手くそだ」
「はぁ……?」
ロットは首を傾げた。
「だから、一度負けを認めて、お前からどうしたらウィードのことを大切にできるのか学ぼうと思ってな、師匠」
「……はっ!? 師匠!?」
ハルサックはロットの肩をポンッと叩く。
ウィードがロットを好きだと言ってるのを聞いたことで、ハルサックはとあることを理解した。
自分はウィードのことを決して諦めきれないと。
自分の中に、ウィードをどれだけ傷つけようとも自分のものにしてどこかに閉じ込めておきたいと思った。
そしてハルサックにはそれができてしまうほどの実力があった。
今はその気持ちに蓋ができたとして、一月後は? 一年後は?
我慢出来るわけがない。
それに純粋にウィードのことを諦めたくない。
沢山傷つけたし、嫌われてすらいるかもしれない。それでも俺は、ウィードと一緒にいたい。
もう傷つけないように頑張るから。できる努力は全てするから。
「もう一度、ウィードの隣にいたい」
ロットはため息をついた。
「分かった、分かった、分かりました。今更すぎるけど、ハルサックが改心するならそれが一番ウィードさんの為になる」
「ありがとう!」
ハルサックはロットの手を両手で握って、微笑んだ。
「なんか気持ち悪ッ! まあそれに、今回のは僕も手段を選ばなすぎちゃったし……正直困ってるんだよね」
ロットは一度言葉を区切ると、ハルサックを様子見して続きを話し出した。
「惚れ薬って知ってる?」
「飲ませた相手が自分のことを好きになるっていう薬か?」
「そう、それ。ハルサックから離れる為に、それをウィードさんに飲ませたんだけど……」
何、ウィードに飲ませてんだ!? と、口論になりかけたが、ロットはそれよりもハルサックの近くにいる方がマズいと判断していたらしい。
それほどに信用がなかったのか……。
それと惚れ薬でさえ厄介なのだが、その副作用に媚薬のような効果があったらしい。
いや、まあ、惚れ薬って好きな人とそういうことをしたい人が飲ませるわけであって、そっちの方がメインだった可能性が高いような……。
とりあえず、ウィードを正気に戻さなければ。
ハルサックとロットはリビングへと向かった。
な、何が起きているんだ?
え、なんで……?
「ねぇ、ロットくん。僕、暑い……すごくこの部屋暑い……それに身体がなんか変……んっ……」
「ウィードさん!?」
ウィードは、自身の服に手をかけて脱ごうとする。手に力が入っていないのか、上手くいっていないが、素肌が見える。
「ウィ、ウィード!?」
ハルサックの声に反応したウィードは、服から手を離しこちらを見た。
「あれ? ハルサック? 何でここに……」
「気絶したジンを送り届けに来たんだ。それよりも、お前こそなんでここに? ロットのことが好きだっていうのはどういうことだ?」
なるべく冷静にウィードの話を聞こう。感情に身を任せたら、今まで同じだ。
ハルサックはなるべく自身の中に湧く嫉妬や、それに伴う怒りの感情を、拳に力を入れて抑え込む。
「何、って……言葉通りだけど……」
「はぁっ!? ……じゃなくて、それはいつからだ?」
「いつ……? あれ? いつだっけ? うーーーん、つい……さっき?」
ついさっき……だと?
ついさっき好きになって、今もうこんなにイチャイチャしてるってのか?
ハルサックは驚き過ぎて何も言えなかった。
「うーん、ついさっき? 僕はロットくんのこと好きになったの……? あれぇ? なんでぇ?」
ウィードは眉間を人差し指でグリグリと抑えて、うーんと考え込んだ。
「まっ、ままま、まあ、そんなことはいいじゃないですか。そ、それよりも部屋に戻りましょう?」
ロットはウィードの肩を抱いて、リビングに向かうように誘導した。
明らかにおかしい。
これ、おかしいよな?
なんでこいつはこんなに動揺してんだ?
「おい、ロット。ウィードに何しやがった?」
ウィードと一緒にリビングに行こうとするロットの手を掴んで、引き寄せた。
「は? な、なな何言ってんだよ、ハルサック。僕がウィードさんにそ、そんな変なことするなんて……」
「……今白状するなら一発ぶん殴るだけで許してやる。ただ、嘘ついたら……覚悟しろよ?」
容赦は、しない。
ハルサックは殺気を込めてロットの目を見つめた。
しかし、彼は目を逸らすだけで無言を貫いた。
「ロット、覚悟してんだな? 俺は本当にやるからな?」
ロットは何も言わない。
しかし、彼の身体は震えていた。
「震えてんじゃねぇかよ」
「……だって、だって、ハルサックに言ったら、ウィードさんが何されるか分からないんだもん!!!」
ロットは泣いていた。
「ウィードさんが傷つくくらいなら僕が殺される!!!! ハルサックのクソ野郎!!! ウィードさん弄ぶんじゃねぇ!!!」
ハルサックはロットにポカポカと殴られて思い出す。
そういえばこいつにはウィードに酷いことをするなと何度も忠告されていた。
それを全部無視した結果が、一か月前のパーティ解消だった。
こいつはウィードのことを考えて動いているはずだ。
自分が殺されてでも、俺からウィードを守ろうとしている。
「すまねぇ」
ハルサックは、頭を下げた。
「は? なに、いきなり?」
「俺よりもウィードのことを考えて動いてるお前に、凄い横暴な態度をとった」
「……今更すぎて何言ってんのか分かんないんだけど?」
ロットはハルサックを信じられない物を見るような目で見てくる。
ハルサック自身も自分が誰かに頭を下げることが出来たことに内心驚いていた。
「負けたと思ったんだよ、ロットに。俺はウィードのことが好きだ。大好きだ。それは誰にも負けてない自信がある。だけど俺は、その気持ちを表現することがとてつもなく下手くそだ」
「はぁ……?」
ロットは首を傾げた。
「だから、一度負けを認めて、お前からどうしたらウィードのことを大切にできるのか学ぼうと思ってな、師匠」
「……はっ!? 師匠!?」
ハルサックはロットの肩をポンッと叩く。
ウィードがロットを好きだと言ってるのを聞いたことで、ハルサックはとあることを理解した。
自分はウィードのことを決して諦めきれないと。
自分の中に、ウィードをどれだけ傷つけようとも自分のものにしてどこかに閉じ込めておきたいと思った。
そしてハルサックにはそれができてしまうほどの実力があった。
今はその気持ちに蓋ができたとして、一月後は? 一年後は?
我慢出来るわけがない。
それに純粋にウィードのことを諦めたくない。
沢山傷つけたし、嫌われてすらいるかもしれない。それでも俺は、ウィードと一緒にいたい。
もう傷つけないように頑張るから。できる努力は全てするから。
「もう一度、ウィードの隣にいたい」
ロットはため息をついた。
「分かった、分かった、分かりました。今更すぎるけど、ハルサックが改心するならそれが一番ウィードさんの為になる」
「ありがとう!」
ハルサックはロットの手を両手で握って、微笑んだ。
「なんか気持ち悪ッ! まあそれに、今回のは僕も手段を選ばなすぎちゃったし……正直困ってるんだよね」
ロットは一度言葉を区切ると、ハルサックを様子見して続きを話し出した。
「惚れ薬って知ってる?」
「飲ませた相手が自分のことを好きになるっていう薬か?」
「そう、それ。ハルサックから離れる為に、それをウィードさんに飲ませたんだけど……」
何、ウィードに飲ませてんだ!? と、口論になりかけたが、ロットはそれよりもハルサックの近くにいる方がマズいと判断していたらしい。
それほどに信用がなかったのか……。
それと惚れ薬でさえ厄介なのだが、その副作用に媚薬のような効果があったらしい。
いや、まあ、惚れ薬って好きな人とそういうことをしたい人が飲ませるわけであって、そっちの方がメインだった可能性が高いような……。
とりあえず、ウィードを正気に戻さなければ。
ハルサックとロットはリビングへと向かった。
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