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序章
シルヴィアーノ・ニコラ
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木製の家の中はシンプルだがおばさん手作りの小物があふれていて、なんだかあったかくて私はこの空間が好きだ。
二階へと続く階段を登り、その中の部屋の一つの前で立ち止まると軽くノックをする。
「おはようシルヴィアーノ。そろそろ起きたらどう?」
……返事はない。
仕方なくゆっくりと扉を開けると、薄く光が差し込む部屋の中でベッドからはみ出して眠っている、寝間着姿の青年がいた。
私はあえて起こさないように静かに近寄ると、ベッドの横にある窓のカーテンを掴み、そしてそのまま思いっきりカーテンを開ける。
「んわぁ! め、目が! 母さんこの起こし方はやめろって言っただろ!?」
突如部屋に射し込んだ強烈な光によって、ベッドで寝ていた青年は目を閉じたままベッドから転げ落ちる。
「あれ? この起こし方いつの間にか禁止になったの?」
と言うのも以前おばさんから起きない時はカーテンを開けろと言われたからであって、まさか禁止になっているとはと私が考え込んでいると、床に座り込んだままの青年が何かに気付いてごしごしと目をこすり何とか目を開けこちらを見る。
「……え。はぁ!? な、な、なんでティーレがここにいるんだよ!?」
私が部屋にいる事に気付いた青年は、まるでこの世にあってはいけないものを見るような慌てぶりで飛び上がり後ずさる。
「そんなに驚かなくても……貴方がなかなか起きないから起こしに来ただけだよ、シルヴィアーノ」
彼の名前はシルヴィアーノ・ニコラ。モネおばさんの息子で、私の幼馴染でもある。
シルヴィアーノはしばらく落ち着かない様子で、赤茶色の瞳を泳がしていたが、ハッとしてティーレに詰め寄る。
「シルヴィアーノじゃなくてシルバ! シルバって呼べって何回言えばわかるんだよ!」
「あ、そうだったねシルヴィアーノ」
「シルバ!!」
「シルバ?」
「よし!」
シルバは満足そうに頷くも、またもやハッとして目を見開く。
「じゃなくて! 何でここに……って俺を起こしに来たんだったか? はいはいもう起きたから出て行ってくれよ!」
「あ、シルバ。私伐採のお手伝いしたいんだけど……」
「分かったから! すぐ行くから下で待ってろ!」
そう言ってシルバは私を無理やり部屋の外に出すと、勢いよく扉を閉めた。
「……まぁいいか」
取りあえず起きたからいいかな?怒ってたけど。
しばらくリビングでおばさんが作ったぬいぐるみをまじまじと眺めていると、服を着替えて髪を整えた見覚えのあるシルヴィ……シルバが階段を降りてくる。
「お前さぁほんと……勝手に部屋入んのやめろよなほんと」
そう言ってこげ茶色の髪をぐしゃぐしゃと掻く。
あ、せっかく整えられていた髪がまた寝起きみたいにぐしゃぐしゃに……。
「おい聞いてんのか!?」
「え!? あ、えっと、部屋に入るのやめろよって話だよね?」
「そう。もう俺たちもいい年なんだからさぁ、その、年頃の男女が同じ部屋に、ふ、二人っきりってのもそのなんというかまずいって言うか……」
「なに? 最後の方よく聞こえないんだけど……」
「何でもねぇよ! 取りあえず部屋にはいんなってこと! わかったか?」
「うん、わかった」
私が頷くとシルバは疲れたように息を吐き、そのままキッチンの方へと向かっていく。
よくわからないけど部屋に入られたくないって事なんだよね?まぁ、シルバにだって隠したいことの一つや二つはあるだろうし、うん、これからはできるだけ入らないようにしよう。できるだけ。
私が考え事をしていると、シルバがパンをかじりながら戻ってくる。
「……セレナおばさん、どうなんだよ」
「ん……今日は調子いいよ。少なくとも昨日よりは」
「そ、か……」
何となく無言になる私たち。ニコラ家のみんなは、私が勇者の娘だと言うことを知っている。
逆に言うと、ごく一部の人以外は私が勇者の娘だと言うことを知らない。知られてはいけないのだ。
なぜならそれは……。
「ティーレちゃんいるってー!?」
突如勢いよくドアが開き、元気な声と共に少女が現れる。
二階へと続く階段を登り、その中の部屋の一つの前で立ち止まると軽くノックをする。
「おはようシルヴィアーノ。そろそろ起きたらどう?」
……返事はない。
仕方なくゆっくりと扉を開けると、薄く光が差し込む部屋の中でベッドからはみ出して眠っている、寝間着姿の青年がいた。
私はあえて起こさないように静かに近寄ると、ベッドの横にある窓のカーテンを掴み、そしてそのまま思いっきりカーテンを開ける。
「んわぁ! め、目が! 母さんこの起こし方はやめろって言っただろ!?」
突如部屋に射し込んだ強烈な光によって、ベッドで寝ていた青年は目を閉じたままベッドから転げ落ちる。
「あれ? この起こし方いつの間にか禁止になったの?」
と言うのも以前おばさんから起きない時はカーテンを開けろと言われたからであって、まさか禁止になっているとはと私が考え込んでいると、床に座り込んだままの青年が何かに気付いてごしごしと目をこすり何とか目を開けこちらを見る。
「……え。はぁ!? な、な、なんでティーレがここにいるんだよ!?」
私が部屋にいる事に気付いた青年は、まるでこの世にあってはいけないものを見るような慌てぶりで飛び上がり後ずさる。
「そんなに驚かなくても……貴方がなかなか起きないから起こしに来ただけだよ、シルヴィアーノ」
彼の名前はシルヴィアーノ・ニコラ。モネおばさんの息子で、私の幼馴染でもある。
シルヴィアーノはしばらく落ち着かない様子で、赤茶色の瞳を泳がしていたが、ハッとしてティーレに詰め寄る。
「シルヴィアーノじゃなくてシルバ! シルバって呼べって何回言えばわかるんだよ!」
「あ、そうだったねシルヴィアーノ」
「シルバ!!」
「シルバ?」
「よし!」
シルバは満足そうに頷くも、またもやハッとして目を見開く。
「じゃなくて! 何でここに……って俺を起こしに来たんだったか? はいはいもう起きたから出て行ってくれよ!」
「あ、シルバ。私伐採のお手伝いしたいんだけど……」
「分かったから! すぐ行くから下で待ってろ!」
そう言ってシルバは私を無理やり部屋の外に出すと、勢いよく扉を閉めた。
「……まぁいいか」
取りあえず起きたからいいかな?怒ってたけど。
しばらくリビングでおばさんが作ったぬいぐるみをまじまじと眺めていると、服を着替えて髪を整えた見覚えのあるシルヴィ……シルバが階段を降りてくる。
「お前さぁほんと……勝手に部屋入んのやめろよなほんと」
そう言ってこげ茶色の髪をぐしゃぐしゃと掻く。
あ、せっかく整えられていた髪がまた寝起きみたいにぐしゃぐしゃに……。
「おい聞いてんのか!?」
「え!? あ、えっと、部屋に入るのやめろよって話だよね?」
「そう。もう俺たちもいい年なんだからさぁ、その、年頃の男女が同じ部屋に、ふ、二人っきりってのもそのなんというかまずいって言うか……」
「なに? 最後の方よく聞こえないんだけど……」
「何でもねぇよ! 取りあえず部屋にはいんなってこと! わかったか?」
「うん、わかった」
私が頷くとシルバは疲れたように息を吐き、そのままキッチンの方へと向かっていく。
よくわからないけど部屋に入られたくないって事なんだよね?まぁ、シルバにだって隠したいことの一つや二つはあるだろうし、うん、これからはできるだけ入らないようにしよう。できるだけ。
私が考え事をしていると、シルバがパンをかじりながら戻ってくる。
「……セレナおばさん、どうなんだよ」
「ん……今日は調子いいよ。少なくとも昨日よりは」
「そ、か……」
何となく無言になる私たち。ニコラ家のみんなは、私が勇者の娘だと言うことを知っている。
逆に言うと、ごく一部の人以外は私が勇者の娘だと言うことを知らない。知られてはいけないのだ。
なぜならそれは……。
「ティーレちゃんいるってー!?」
突如勢いよくドアが開き、元気な声と共に少女が現れる。
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