3 / 12
序章
フランチェスカ・ニコラ
しおりを挟む
「おはようフランチェスカ」
彼女はフランチェスカ・ニコラ。モネおばさんの娘で、シルバの妹だ。
髪色も目もシルバそっくりなので、誰が見ても一目で妹だと分かるだろう。二つ結びが愛らしい女の子だ。
「朝からうるせぇよフラン」
シルバが欠伸をしながら悪態をつく。その言葉にフランチェスカは眉間に皺を寄せる。
「フランじゃなくてフランチェスカ! お兄ちゃんと違って私は自分の名前に誇りを持ってるんだから!」
そう言ってフランチェスカは自慢げに胸を張る。シルバと違ってフランチェスカは自分の名前がお気に入りのようで、省略して呼ぶことを嫌がるのだ。
あれ?そもそもシルバが自分の事をシルヴィアーノと呼ばせないのは何でだっけ?
「ねぇシルバ。なんでシルバはシルヴィアーノって呼んじゃダメなんだっけ?」
私の質問に今度はシルバが眉間に皺を寄せる。
「……自分の身の丈に合わねぇ大層な名前だからだよ。何度も言っただろ!?」
「あ……」
言われてみれば聞いたような気が……?私は慌てて顔の前で手を合わせる。
「ごめん。そういえばそうだったね」
「ったく……まぁいいけどよ別に」
そう言いながらもそっぽを向いてしまったシルバに私が困っていると、フランチェスカが顔の前で人差し指を横に振る仕草をしながら口を開く。
「ちっちっち。大丈夫だよティーレ。お兄ちゃん子供みたいに拗ねてるだけだから」
「は!? んな事ねーよ!」
「ふふーん。どうせあれでしょ? 『ティーレにとって俺の存在は忘れるほどのものなのか……』とか考えていじけて……」
「あー!!!」
フランチェスカの言葉を遮るようにシルバが大声を出す。
「そ、そろそろ伐採に行くかぁ! 早くしないと日が暮れちまうからな!!」
そういうや否や傍らのバッグを掴んでそそくさと家から出ていく。
「え? ま、待ってよシルバ!」
「あ、待ってティーレ」
先に出て行ってしまったシルバを追いかけるようにして私も家を出ようとするも、フランチェスカに呼び止められ足を止める。
「これ、クッキー焼いたの。仕事の間にお兄ちゃんとでも食べて」
そう言ってキッチンから可愛い包みに入ったクッキーを差し出す。
「ありがとうフランチェスカ。大事に食べるね」
「うん! あ、それとお兄ちゃんの事だけど……」
フランチェスカはそこまで言うと辺りを少し見まわして、口もとに手をやりこちらに来るように手招きをする。私が耳を近づけるとフランチェスカは小声で話す。
「もしずっと機嫌悪かったら、どこか遊びに行こって言ってみて」
「遊びに?」
「そ。お兄ちゃん仕事ばっかでイライラしてるんだよ。だから遊びに連れ出してあげて?」
フランチェスカに言われてなるほどと思う。
最近シルバがやけにそわそわしていたり、突然怒りだすのはそのせいだったんだ!
私はフランチェスカの口から耳を離すと、胸を手で軽くたたく。
「うん。わかった、任せて!」
「おいティーレ! 早く行くぞ!」
外からシルバの苛立った声が聞こえたため、私はフランチェスカから貰ったクッキーをポケットに入れ、慌てて扉へと向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃ~い!」
私は家を出て外で腕組みをして待っていてくれたシルバと共に、森の奥へと入って行った。
そして、ティーレを見送ったフランチェスカはため息をつきながら一人呟く。
「全く。アタシがいなきゃダメなんだから……」
彼女はフランチェスカ・ニコラ。モネおばさんの娘で、シルバの妹だ。
髪色も目もシルバそっくりなので、誰が見ても一目で妹だと分かるだろう。二つ結びが愛らしい女の子だ。
「朝からうるせぇよフラン」
シルバが欠伸をしながら悪態をつく。その言葉にフランチェスカは眉間に皺を寄せる。
「フランじゃなくてフランチェスカ! お兄ちゃんと違って私は自分の名前に誇りを持ってるんだから!」
そう言ってフランチェスカは自慢げに胸を張る。シルバと違ってフランチェスカは自分の名前がお気に入りのようで、省略して呼ぶことを嫌がるのだ。
あれ?そもそもシルバが自分の事をシルヴィアーノと呼ばせないのは何でだっけ?
「ねぇシルバ。なんでシルバはシルヴィアーノって呼んじゃダメなんだっけ?」
私の質問に今度はシルバが眉間に皺を寄せる。
「……自分の身の丈に合わねぇ大層な名前だからだよ。何度も言っただろ!?」
「あ……」
言われてみれば聞いたような気が……?私は慌てて顔の前で手を合わせる。
「ごめん。そういえばそうだったね」
「ったく……まぁいいけどよ別に」
そう言いながらもそっぽを向いてしまったシルバに私が困っていると、フランチェスカが顔の前で人差し指を横に振る仕草をしながら口を開く。
「ちっちっち。大丈夫だよティーレ。お兄ちゃん子供みたいに拗ねてるだけだから」
「は!? んな事ねーよ!」
「ふふーん。どうせあれでしょ? 『ティーレにとって俺の存在は忘れるほどのものなのか……』とか考えていじけて……」
「あー!!!」
フランチェスカの言葉を遮るようにシルバが大声を出す。
「そ、そろそろ伐採に行くかぁ! 早くしないと日が暮れちまうからな!!」
そういうや否や傍らのバッグを掴んでそそくさと家から出ていく。
「え? ま、待ってよシルバ!」
「あ、待ってティーレ」
先に出て行ってしまったシルバを追いかけるようにして私も家を出ようとするも、フランチェスカに呼び止められ足を止める。
「これ、クッキー焼いたの。仕事の間にお兄ちゃんとでも食べて」
そう言ってキッチンから可愛い包みに入ったクッキーを差し出す。
「ありがとうフランチェスカ。大事に食べるね」
「うん! あ、それとお兄ちゃんの事だけど……」
フランチェスカはそこまで言うと辺りを少し見まわして、口もとに手をやりこちらに来るように手招きをする。私が耳を近づけるとフランチェスカは小声で話す。
「もしずっと機嫌悪かったら、どこか遊びに行こって言ってみて」
「遊びに?」
「そ。お兄ちゃん仕事ばっかでイライラしてるんだよ。だから遊びに連れ出してあげて?」
フランチェスカに言われてなるほどと思う。
最近シルバがやけにそわそわしていたり、突然怒りだすのはそのせいだったんだ!
私はフランチェスカの口から耳を離すと、胸を手で軽くたたく。
「うん。わかった、任せて!」
「おいティーレ! 早く行くぞ!」
外からシルバの苛立った声が聞こえたため、私はフランチェスカから貰ったクッキーをポケットに入れ、慌てて扉へと向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃ~い!」
私は家を出て外で腕組みをして待っていてくれたシルバと共に、森の奥へと入って行った。
そして、ティーレを見送ったフランチェスカはため息をつきながら一人呟く。
「全く。アタシがいなきゃダメなんだから……」
0
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる