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序章
フランチェスカ・ニコラ
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「おはようフランチェスカ」
彼女はフランチェスカ・ニコラ。モネおばさんの娘で、シルバの妹だ。
髪色も目もシルバそっくりなので、誰が見ても一目で妹だと分かるだろう。二つ結びが愛らしい女の子だ。
「朝からうるせぇよフラン」
シルバが欠伸をしながら悪態をつく。その言葉にフランチェスカは眉間に皺を寄せる。
「フランじゃなくてフランチェスカ! お兄ちゃんと違って私は自分の名前に誇りを持ってるんだから!」
そう言ってフランチェスカは自慢げに胸を張る。シルバと違ってフランチェスカは自分の名前がお気に入りのようで、省略して呼ぶことを嫌がるのだ。
あれ?そもそもシルバが自分の事をシルヴィアーノと呼ばせないのは何でだっけ?
「ねぇシルバ。なんでシルバはシルヴィアーノって呼んじゃダメなんだっけ?」
私の質問に今度はシルバが眉間に皺を寄せる。
「……自分の身の丈に合わねぇ大層な名前だからだよ。何度も言っただろ!?」
「あ……」
言われてみれば聞いたような気が……?私は慌てて顔の前で手を合わせる。
「ごめん。そういえばそうだったね」
「ったく……まぁいいけどよ別に」
そう言いながらもそっぽを向いてしまったシルバに私が困っていると、フランチェスカが顔の前で人差し指を横に振る仕草をしながら口を開く。
「ちっちっち。大丈夫だよティーレ。お兄ちゃん子供みたいに拗ねてるだけだから」
「は!? んな事ねーよ!」
「ふふーん。どうせあれでしょ? 『ティーレにとって俺の存在は忘れるほどのものなのか……』とか考えていじけて……」
「あー!!!」
フランチェスカの言葉を遮るようにシルバが大声を出す。
「そ、そろそろ伐採に行くかぁ! 早くしないと日が暮れちまうからな!!」
そういうや否や傍らのバッグを掴んでそそくさと家から出ていく。
「え? ま、待ってよシルバ!」
「あ、待ってティーレ」
先に出て行ってしまったシルバを追いかけるようにして私も家を出ようとするも、フランチェスカに呼び止められ足を止める。
「これ、クッキー焼いたの。仕事の間にお兄ちゃんとでも食べて」
そう言ってキッチンから可愛い包みに入ったクッキーを差し出す。
「ありがとうフランチェスカ。大事に食べるね」
「うん! あ、それとお兄ちゃんの事だけど……」
フランチェスカはそこまで言うと辺りを少し見まわして、口もとに手をやりこちらに来るように手招きをする。私が耳を近づけるとフランチェスカは小声で話す。
「もしずっと機嫌悪かったら、どこか遊びに行こって言ってみて」
「遊びに?」
「そ。お兄ちゃん仕事ばっかでイライラしてるんだよ。だから遊びに連れ出してあげて?」
フランチェスカに言われてなるほどと思う。
最近シルバがやけにそわそわしていたり、突然怒りだすのはそのせいだったんだ!
私はフランチェスカの口から耳を離すと、胸を手で軽くたたく。
「うん。わかった、任せて!」
「おいティーレ! 早く行くぞ!」
外からシルバの苛立った声が聞こえたため、私はフランチェスカから貰ったクッキーをポケットに入れ、慌てて扉へと向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃ~い!」
私は家を出て外で腕組みをして待っていてくれたシルバと共に、森の奥へと入って行った。
そして、ティーレを見送ったフランチェスカはため息をつきながら一人呟く。
「全く。アタシがいなきゃダメなんだから……」
彼女はフランチェスカ・ニコラ。モネおばさんの娘で、シルバの妹だ。
髪色も目もシルバそっくりなので、誰が見ても一目で妹だと分かるだろう。二つ結びが愛らしい女の子だ。
「朝からうるせぇよフラン」
シルバが欠伸をしながら悪態をつく。その言葉にフランチェスカは眉間に皺を寄せる。
「フランじゃなくてフランチェスカ! お兄ちゃんと違って私は自分の名前に誇りを持ってるんだから!」
そう言ってフランチェスカは自慢げに胸を張る。シルバと違ってフランチェスカは自分の名前がお気に入りのようで、省略して呼ぶことを嫌がるのだ。
あれ?そもそもシルバが自分の事をシルヴィアーノと呼ばせないのは何でだっけ?
「ねぇシルバ。なんでシルバはシルヴィアーノって呼んじゃダメなんだっけ?」
私の質問に今度はシルバが眉間に皺を寄せる。
「……自分の身の丈に合わねぇ大層な名前だからだよ。何度も言っただろ!?」
「あ……」
言われてみれば聞いたような気が……?私は慌てて顔の前で手を合わせる。
「ごめん。そういえばそうだったね」
「ったく……まぁいいけどよ別に」
そう言いながらもそっぽを向いてしまったシルバに私が困っていると、フランチェスカが顔の前で人差し指を横に振る仕草をしながら口を開く。
「ちっちっち。大丈夫だよティーレ。お兄ちゃん子供みたいに拗ねてるだけだから」
「は!? んな事ねーよ!」
「ふふーん。どうせあれでしょ? 『ティーレにとって俺の存在は忘れるほどのものなのか……』とか考えていじけて……」
「あー!!!」
フランチェスカの言葉を遮るようにシルバが大声を出す。
「そ、そろそろ伐採に行くかぁ! 早くしないと日が暮れちまうからな!!」
そういうや否や傍らのバッグを掴んでそそくさと家から出ていく。
「え? ま、待ってよシルバ!」
「あ、待ってティーレ」
先に出て行ってしまったシルバを追いかけるようにして私も家を出ようとするも、フランチェスカに呼び止められ足を止める。
「これ、クッキー焼いたの。仕事の間にお兄ちゃんとでも食べて」
そう言ってキッチンから可愛い包みに入ったクッキーを差し出す。
「ありがとうフランチェスカ。大事に食べるね」
「うん! あ、それとお兄ちゃんの事だけど……」
フランチェスカはそこまで言うと辺りを少し見まわして、口もとに手をやりこちらに来るように手招きをする。私が耳を近づけるとフランチェスカは小声で話す。
「もしずっと機嫌悪かったら、どこか遊びに行こって言ってみて」
「遊びに?」
「そ。お兄ちゃん仕事ばっかでイライラしてるんだよ。だから遊びに連れ出してあげて?」
フランチェスカに言われてなるほどと思う。
最近シルバがやけにそわそわしていたり、突然怒りだすのはそのせいだったんだ!
私はフランチェスカの口から耳を離すと、胸を手で軽くたたく。
「うん。わかった、任せて!」
「おいティーレ! 早く行くぞ!」
外からシルバの苛立った声が聞こえたため、私はフランチェスカから貰ったクッキーをポケットに入れ、慌てて扉へと向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃ~い!」
私は家を出て外で腕組みをして待っていてくれたシルバと共に、森の奥へと入って行った。
そして、ティーレを見送ったフランチェスカはため息をつきながら一人呟く。
「全く。アタシがいなきゃダメなんだから……」
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