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第一章:お城の人々
使用人面接
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行方不明になった父さんの情報が城にあると知った私、ティーレ・メルクは使用人として城に潜入することを決意した。
城に潜入するにあたって、気を付けなければならないことがいくつかある。
そして今、その気を付けなければいけないことが目の前で繰り広げられている。
「お名前は?」
使用人の面接担当と思われるメイド服を着た眼鏡の女性が、鋭い眼光でこちらを見る。
現在私は城の小部屋にて、使用人になるための面背の様なものを受けている。
名前、名前……。ここで正直に自分の本名を言ってしまえば、自分が勇者の娘だとバレてしまうだろうか。
バレてしまうと都合が悪い。父さんの情報を探りに来たことがバレれば追い出されてしまうかもしれないし、それに……考えたくはないけど、何を、されるかわからないし……。
「お名前は?」
担当者の女性が先ほどよりの強い口調で聞いてくる。
えっと、考えついてないけど、え~っと……。
「ティ、ティーレ・エルク、です」
ほとんど本名と一緒だけど、メルクをエルクに変えたんだから、大丈夫……だよね?
「ティーレ・エルクさん。年齢は?」
「あ……19歳、です」
よかった……どうやらバレていないようだ。
「どうして城に仕えようと思ったのですか?」
「あ、はい! えっと、わ、私この国が大好きで! いつか絶対に城に仕えるんだって思いながら過ごしてきました。今回ようやく親からの許しが出たので働かせていただこうと思いまして……えっと、フェルデン王国バンザーイ!」
こ、こんなものでどうだろうか……?なんだか物凄く胡散臭い気がしないでもないけど、大丈夫、大丈夫!たぶん。
「現在どこに住んでいますか?」
「ニコラ製材所です!」
ニコラ製材所とは、モネおばさんたちが経営している製材所の名前だ。まさか勇者の娘ですなんて言う訳にもいかないので、おばさんの親戚と言うことにしてもらっているのだ。
「…………」
担当者の女性は、何やら渋い顔で考え込んでいる。
うぅ……気持ちは何となくわかるけど、お願い!働かせてください……!
「……いいでしょう。本当は貴方の様な怪しい者は採りたくないのですが、人手不足なので仕方ありません。今日からここで働いてもらいます」
「や……」
やったー!と、喜びそうになる気持ちをぐっと抑えて、私は丁寧にお辞儀をする。
「ありがとうございます!精いっぱい頑張ります!」
「是非そうしてください。では、この服に着替えて。ここからは別の者を呼ぶので貴方はここで待つように」
そう言って、メイド服を置くと女性は部屋から出て行ってしまった。一人きりになったことを確認してメイド服に着替えると、私は小さく握り拳を作る。
ちょっと危なかったけど、何とか使用人になることができた。後は城で働きつつ父さんの情報を探していければ……!
母さん、皆、待っててね。絶対父さん情報を手に入れて帰って見せるんだから!
……と、意気込んだのが一時間前。待つようにと言われたので大人しく待っていたが、一向に誰かが訪れる気配はない。
部屋の外の廊下では、誰かが話したり行き来するような音が聞こえるため無人ではないようだけれど……。
もしや、忘れられているのでは!?もしくはこれも面接の一つなの!?
私がパニックに陥りそうになっていると、不意に部屋の扉がゆっくりと開かれる。
「あ……ここかぁ~」
のんびりとした声とともに、声の主が目の前に現れる。
「ど~もぉ。迷っちゃってぇ寂しかった?」
間延びした話し方をする女性は、目の前で楽しそうにくすくすと笑う。
わ、私は一体どうすれば……!?
城に潜入するにあたって、気を付けなければならないことがいくつかある。
そして今、その気を付けなければいけないことが目の前で繰り広げられている。
「お名前は?」
使用人の面接担当と思われるメイド服を着た眼鏡の女性が、鋭い眼光でこちらを見る。
現在私は城の小部屋にて、使用人になるための面背の様なものを受けている。
名前、名前……。ここで正直に自分の本名を言ってしまえば、自分が勇者の娘だとバレてしまうだろうか。
バレてしまうと都合が悪い。父さんの情報を探りに来たことがバレれば追い出されてしまうかもしれないし、それに……考えたくはないけど、何を、されるかわからないし……。
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こ、こんなものでどうだろうか……?なんだか物凄く胡散臭い気がしないでもないけど、大丈夫、大丈夫!たぶん。
「現在どこに住んでいますか?」
「ニコラ製材所です!」
ニコラ製材所とは、モネおばさんたちが経営している製材所の名前だ。まさか勇者の娘ですなんて言う訳にもいかないので、おばさんの親戚と言うことにしてもらっているのだ。
「…………」
担当者の女性は、何やら渋い顔で考え込んでいる。
うぅ……気持ちは何となくわかるけど、お願い!働かせてください……!
「……いいでしょう。本当は貴方の様な怪しい者は採りたくないのですが、人手不足なので仕方ありません。今日からここで働いてもらいます」
「や……」
やったー!と、喜びそうになる気持ちをぐっと抑えて、私は丁寧にお辞儀をする。
「ありがとうございます!精いっぱい頑張ります!」
「是非そうしてください。では、この服に着替えて。ここからは別の者を呼ぶので貴方はここで待つように」
そう言って、メイド服を置くと女性は部屋から出て行ってしまった。一人きりになったことを確認してメイド服に着替えると、私は小さく握り拳を作る。
ちょっと危なかったけど、何とか使用人になることができた。後は城で働きつつ父さんの情報を探していければ……!
母さん、皆、待っててね。絶対父さん情報を手に入れて帰って見せるんだから!
……と、意気込んだのが一時間前。待つようにと言われたので大人しく待っていたが、一向に誰かが訪れる気配はない。
部屋の外の廊下では、誰かが話したり行き来するような音が聞こえるため無人ではないようだけれど……。
もしや、忘れられているのでは!?もしくはこれも面接の一つなの!?
私がパニックに陥りそうになっていると、不意に部屋の扉がゆっくりと開かれる。
「あ……ここかぁ~」
のんびりとした声とともに、声の主が目の前に現れる。
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わ、私は一体どうすれば……!?
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