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第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ①
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「…………ぐわっ!」
唐突に地面へ放り出され尻餅をつく。本来ならば瞬間移動をする前と同じ態勢で移動できるはずなのだが、俺がやると何度やってもこうなるのだ。この魔法おかしいんじゃないのか?…………いや、俺の魔法が下手なだけか……。
「さて、ここはどこだ?」
見回してみるとどうやらここはどこかの家の中のようだ。無事に王都に着いたのだろうか。誰かの家の中とは想定外だが、無事に着いたのならそれでよしとすることにしよう。うむ。
とにかく場所を確認するために出口を探し家の外に出る。外に出るとたくさんの人間が広い道を歩いていた。ううむ、これが噂に聞く大通りというやつか……?活気に溢れていて中々良いではないか。ここは王都で間違いないようだな。
しげしげと人間を観察していると、一人の人間の女性が近づいてくる。
「そこ、私の家なんだけど。貴方何してたんですか?」
「おぉ、そうであったか。すまない、瞬間移動の際に間違えて入ってしまってな」
「瞬間移動……? 意味分かんない……。よく見ると格好も怪しすぎるし……。誰かー! この人泥棒よー! 兵士を呼んでー!」
「なにっ!?」
女性に腕を掴まれ叫ばれる。泥棒だと!?この魔王を捕まえて泥棒などとはなんと愚かな!……いや今はそういう問題ではないのだ。兵士を呼ばれてはたまったものではない。カイを探すためにもここで足止めされるわけにはいかないのだ。
かくなる上はこの女性を……とも思ったが、流石に人目もあるだろうし、家に入ってしまったのも俺の魔法が未熟であるからであって……。
そうこうしている間に周りに大勢の人が集まってきた。こうなってしまっては逃げることも不可能か。ううむ、どうするべきか……。兵士が来る前に何とかせねば……。
「あれ? 何やってんの?」
聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはカイが不思議そうな顔をして立っていた。
「カイ!」
「あ、やっぱりダモサーラだやっほー。覚えてるみたいでよかったよ」
「あぁ、お前もな」
全くその通りだ。もしかしたらカイは時の繰り返しの事を忘れてしまっているのではないかと考えていたのだが、その心配は杞憂だったようだ。
カイは俺と俺の腕を掴む女性の姿を交互に見るとすぐさま状況を把握したようで、人の良さそうな笑みを浮かべながら女性へと近づく。
「ごめんねお姉さん、その不審者僕の連れなんだ。田舎からやってきたから世間知らずでさ」
むう、田舎か。この場を丸く収めるための言葉だとはわかっているが何となく、こう、眉間に皺がよるな。
「許してもらえるかなぁ。ね?」
「は、はい。勇者様の頼みでしたら……」
「ありがとお姉さん」
カイの軽口に……いや、説得に応じたようで、女性はようやく俺の腕から手を離してくれた。掴まれたところが赤くなっている。何なのだあの女性は……。
「ここじゃ目立つし、取りあえず僕の家へ行こう」
「あぁ」
小声で耳打ちすると、そそくさとその場を離れる。
「しかし……やはり勇者と言うのは皆から尊敬されるものなのだな」
カイの家へと向かう途中、ふと思いつきカイに聞いてみる。先ほどの女性がカイのことを『勇者様』と言っていたのが気になったのだ。やはり勇者と言うのは優遇されて当然のものなのだろうか。
「んーまぁね。でも僕がすごい訳じゃないよ。僕の先祖がすごい勇者で、その結果僕が今の勇者になってるだけだから」
ふむ、意外と殊勝なものだな。何となく口調などから軽そうな印象があったのだが、案外しっかりしているのかもしれない。
「ダモサーラ、今なんか失礼なこと考えてない?」
「い、いや……」
何故バレた。顔に出てしまっていたのだろうか。気を付けなければ……。
「ふーん……ま、いいや。着いたよ」
カイが指さす方を見ると、そこには質素な木造の家があった。ふむ、ここがカイの家か。何というか……普通の家だな。うむ。
「普通の家だけど、まぁ入って」
「う、うむ……」
また心を読まれたのかと内心慌てつつも、カイに続いて家の中へ入る。
するとそこには一人の女性がいた。
「紹介するよ。僕の母さんだよ」
なんと母君か。これは一つ挨拶をしなければと口を開こうとした、その時だった。
「まぁ、貴方がカイの話してたダモさんという方なのね」
カイの母君が嬉しそうに言う。
「だ……ダモさん……だと……?」
唐突に地面へ放り出され尻餅をつく。本来ならば瞬間移動をする前と同じ態勢で移動できるはずなのだが、俺がやると何度やってもこうなるのだ。この魔法おかしいんじゃないのか?…………いや、俺の魔法が下手なだけか……。
「さて、ここはどこだ?」
見回してみるとどうやらここはどこかの家の中のようだ。無事に王都に着いたのだろうか。誰かの家の中とは想定外だが、無事に着いたのならそれでよしとすることにしよう。うむ。
とにかく場所を確認するために出口を探し家の外に出る。外に出るとたくさんの人間が広い道を歩いていた。ううむ、これが噂に聞く大通りというやつか……?活気に溢れていて中々良いではないか。ここは王都で間違いないようだな。
しげしげと人間を観察していると、一人の人間の女性が近づいてくる。
「そこ、私の家なんだけど。貴方何してたんですか?」
「おぉ、そうであったか。すまない、瞬間移動の際に間違えて入ってしまってな」
「瞬間移動……? 意味分かんない……。よく見ると格好も怪しすぎるし……。誰かー! この人泥棒よー! 兵士を呼んでー!」
「なにっ!?」
女性に腕を掴まれ叫ばれる。泥棒だと!?この魔王を捕まえて泥棒などとはなんと愚かな!……いや今はそういう問題ではないのだ。兵士を呼ばれてはたまったものではない。カイを探すためにもここで足止めされるわけにはいかないのだ。
かくなる上はこの女性を……とも思ったが、流石に人目もあるだろうし、家に入ってしまったのも俺の魔法が未熟であるからであって……。
そうこうしている間に周りに大勢の人が集まってきた。こうなってしまっては逃げることも不可能か。ううむ、どうするべきか……。兵士が来る前に何とかせねば……。
「あれ? 何やってんの?」
聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはカイが不思議そうな顔をして立っていた。
「カイ!」
「あ、やっぱりダモサーラだやっほー。覚えてるみたいでよかったよ」
「あぁ、お前もな」
全くその通りだ。もしかしたらカイは時の繰り返しの事を忘れてしまっているのではないかと考えていたのだが、その心配は杞憂だったようだ。
カイは俺と俺の腕を掴む女性の姿を交互に見るとすぐさま状況を把握したようで、人の良さそうな笑みを浮かべながら女性へと近づく。
「ごめんねお姉さん、その不審者僕の連れなんだ。田舎からやってきたから世間知らずでさ」
むう、田舎か。この場を丸く収めるための言葉だとはわかっているが何となく、こう、眉間に皺がよるな。
「許してもらえるかなぁ。ね?」
「は、はい。勇者様の頼みでしたら……」
「ありがとお姉さん」
カイの軽口に……いや、説得に応じたようで、女性はようやく俺の腕から手を離してくれた。掴まれたところが赤くなっている。何なのだあの女性は……。
「ここじゃ目立つし、取りあえず僕の家へ行こう」
「あぁ」
小声で耳打ちすると、そそくさとその場を離れる。
「しかし……やはり勇者と言うのは皆から尊敬されるものなのだな」
カイの家へと向かう途中、ふと思いつきカイに聞いてみる。先ほどの女性がカイのことを『勇者様』と言っていたのが気になったのだ。やはり勇者と言うのは優遇されて当然のものなのだろうか。
「んーまぁね。でも僕がすごい訳じゃないよ。僕の先祖がすごい勇者で、その結果僕が今の勇者になってるだけだから」
ふむ、意外と殊勝なものだな。何となく口調などから軽そうな印象があったのだが、案外しっかりしているのかもしれない。
「ダモサーラ、今なんか失礼なこと考えてない?」
「い、いや……」
何故バレた。顔に出てしまっていたのだろうか。気を付けなければ……。
「ふーん……ま、いいや。着いたよ」
カイが指さす方を見ると、そこには質素な木造の家があった。ふむ、ここがカイの家か。何というか……普通の家だな。うむ。
「普通の家だけど、まぁ入って」
「う、うむ……」
また心を読まれたのかと内心慌てつつも、カイに続いて家の中へ入る。
するとそこには一人の女性がいた。
「紹介するよ。僕の母さんだよ」
なんと母君か。これは一つ挨拶をしなければと口を開こうとした、その時だった。
「まぁ、貴方がカイの話してたダモさんという方なのね」
カイの母君が嬉しそうに言う。
「だ……ダモさん……だと……?」
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