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第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ②
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「そんなに驚かなくても。ダモサーラって長いから、ダモさんって呼んでたんだよ」
「そ、そうか……」
まぁ、長いと言われれば長いのかもしれないな……うむ。しかしこれまで他の者から名前を省略して呼ばれたことなどないのでとても焦った。これが俗に言うあだ名、というやつなのか?
……嫌な気持ちではないな。むしろ何というかこう……親密さが上昇したというか何というか……。
「何か嬉しそうだね」
「むっ」
嬉しい……ううむそうかもしれない。俺も案外単純なのかもしれないな。こんな些細ことで喜ぶとは。魔王たるものこのようなことで一喜一憂していては……いや、ここは素直に喜んでおくとしよう。
「あら? そういえば、カイ。貴方王様のところへ行くんじゃなかったの?」
「そうなんだけど、行く途中でダモさんがなんか面倒事を起こしてたみたいだから、助けて一旦帰ってきたんだ」
ぐうの音も出ない。確かにカイが来てくれなければ兵士に捕まるか、もっと大きな騒ぎを起こしていただろう。そうなればカイを探すどころではなかったはずだ。
「あらあらそうだったの、大変だったわねぇダモさん」
「うむ……お気遣い感謝する」
「取りあえずもう一回行ってくるよ。ダモさんは家で休んでて」
「あぁ……」
カイは再び家を出ようとしている。カイは王様に会いに行くとか言っていたな。確かカイが俺を倒す旅を始めたのは王様に頼まれたからだったはずだが……。取りあえずカイに会うという任務は達成したが、時の繰り返しが何故起こるのかなどのこの世界の奇妙さについてはまだ何もわからない。
「なぁカイ。俺も一緒に王様の所へ行かせてくれないか」
「えぇ~ダモさんも? うぅ~ん……」
カイが心底複雑そうな顔をする。王様がカイに旅をするよう命じた本人であるし、王様というのだから何か知っているのかもしれない。是非会ってみたいと思ったのだが……むう。
「だ、ダメなのか?」
「ダメっていうか……ダモさん明らかに不審者じゃん。肌は青白いし服真っ黒だし角生えてるし。ていうか魔王だし」
……確かに。先ほど王都に来て数分で問題を発生させて身としては何も言えない。全くその通りである。
「あらあら大変ねぇ。でもねぇカイ? ダモさんも行きたがってるみたいだし、連れて行ってあげたら?」
母君良いぞ。その調子で何とかカイを説得してくれ。
というか母君は俺が魔王だということを聞いても大変で済ませてしまうのか。懐が広いというか何というか……。
「でも母さん、本当にダモさん城に連れて行っていいのかな? 兵士とかに止められない?」
「ん~そうねぇ……」
母君が俺のことを上から下まで見定めするようにじっくりと観察する。……こう、女性にじっと見られるのは少し恥ずかしいものだな。
「そのお洋服を変えたらどうかしら。確かあの人の服がまだ残っていたはずだし」
そう言っていそいそと部屋の奥へと消えていく母君。助かった……これで何とか王様に会えそうだ。しかしあの人とは誰なのだ?
「父親だよ。僕の」
また心を読まれたのかのようにカイが返事をする。驚いている俺をしり目にカイは話を続ける。
「僕が小さい頃に亡くなったんだ。父さんも勇者だったから。あの頃まだ魔物はいなかったけど、山賊とかはいたからさ。それの退治に行ってそのまま」
「そう、か……」
言葉が見つからない。そもそも俺には親というものがいない。ずっと一人だったが、これは個体によって寿命も素質も違う魔族にはよくあることだ。だから人間の、カイの気持ちはよくわからない。だがカイを見ていると、俺まで悲しくなってくるようだ。
「まぁ僕は小さかったからあんまり覚えてないんだよね。今のも聞いた話だし」
「うむ。そうだったのだな」
カイが困ったように笑うのを見て、俺も自然と似たように笑っていた。
「おまたせ~……あら、どうしたの?」
両手に服を抱えた母君が、俺たちの雰囲気を見て不思議そうに首をかしげる。
「何でもないよ。ほら、早く着替えてきなよ。王様のとこに行くんだろ?」
「……あぁ」
母君から服を受け取る。ふわりと香る洗剤の匂いと皺ひとつなく綺麗に畳まれた服を見て、この服が定期的に洗濯されてきたのがわかる。
「有り難く拝借する」
「いいのよ。着替えには奥の部屋を使ってちょうだい」
母君に向かって一礼すると、早速着替えるために奥の部屋へと向かう。
「そ、そうか……」
まぁ、長いと言われれば長いのかもしれないな……うむ。しかしこれまで他の者から名前を省略して呼ばれたことなどないのでとても焦った。これが俗に言うあだ名、というやつなのか?
……嫌な気持ちではないな。むしろ何というかこう……親密さが上昇したというか何というか……。
「何か嬉しそうだね」
「むっ」
嬉しい……ううむそうかもしれない。俺も案外単純なのかもしれないな。こんな些細ことで喜ぶとは。魔王たるものこのようなことで一喜一憂していては……いや、ここは素直に喜んでおくとしよう。
「あら? そういえば、カイ。貴方王様のところへ行くんじゃなかったの?」
「そうなんだけど、行く途中でダモさんがなんか面倒事を起こしてたみたいだから、助けて一旦帰ってきたんだ」
ぐうの音も出ない。確かにカイが来てくれなければ兵士に捕まるか、もっと大きな騒ぎを起こしていただろう。そうなればカイを探すどころではなかったはずだ。
「あらあらそうだったの、大変だったわねぇダモさん」
「うむ……お気遣い感謝する」
「取りあえずもう一回行ってくるよ。ダモさんは家で休んでて」
「あぁ……」
カイは再び家を出ようとしている。カイは王様に会いに行くとか言っていたな。確かカイが俺を倒す旅を始めたのは王様に頼まれたからだったはずだが……。取りあえずカイに会うという任務は達成したが、時の繰り返しが何故起こるのかなどのこの世界の奇妙さについてはまだ何もわからない。
「なぁカイ。俺も一緒に王様の所へ行かせてくれないか」
「えぇ~ダモさんも? うぅ~ん……」
カイが心底複雑そうな顔をする。王様がカイに旅をするよう命じた本人であるし、王様というのだから何か知っているのかもしれない。是非会ってみたいと思ったのだが……むう。
「だ、ダメなのか?」
「ダメっていうか……ダモさん明らかに不審者じゃん。肌は青白いし服真っ黒だし角生えてるし。ていうか魔王だし」
……確かに。先ほど王都に来て数分で問題を発生させて身としては何も言えない。全くその通りである。
「あらあら大変ねぇ。でもねぇカイ? ダモさんも行きたがってるみたいだし、連れて行ってあげたら?」
母君良いぞ。その調子で何とかカイを説得してくれ。
というか母君は俺が魔王だということを聞いても大変で済ませてしまうのか。懐が広いというか何というか……。
「でも母さん、本当にダモさん城に連れて行っていいのかな? 兵士とかに止められない?」
「ん~そうねぇ……」
母君が俺のことを上から下まで見定めするようにじっくりと観察する。……こう、女性にじっと見られるのは少し恥ずかしいものだな。
「そのお洋服を変えたらどうかしら。確かあの人の服がまだ残っていたはずだし」
そう言っていそいそと部屋の奥へと消えていく母君。助かった……これで何とか王様に会えそうだ。しかしあの人とは誰なのだ?
「父親だよ。僕の」
また心を読まれたのかのようにカイが返事をする。驚いている俺をしり目にカイは話を続ける。
「僕が小さい頃に亡くなったんだ。父さんも勇者だったから。あの頃まだ魔物はいなかったけど、山賊とかはいたからさ。それの退治に行ってそのまま」
「そう、か……」
言葉が見つからない。そもそも俺には親というものがいない。ずっと一人だったが、これは個体によって寿命も素質も違う魔族にはよくあることだ。だから人間の、カイの気持ちはよくわからない。だがカイを見ていると、俺まで悲しくなってくるようだ。
「まぁ僕は小さかったからあんまり覚えてないんだよね。今のも聞いた話だし」
「うむ。そうだったのだな」
カイが困ったように笑うのを見て、俺も自然と似たように笑っていた。
「おまたせ~……あら、どうしたの?」
両手に服を抱えた母君が、俺たちの雰囲気を見て不思議そうに首をかしげる。
「何でもないよ。ほら、早く着替えてきなよ。王様のとこに行くんだろ?」
「……あぁ」
母君から服を受け取る。ふわりと香る洗剤の匂いと皺ひとつなく綺麗に畳まれた服を見て、この服が定期的に洗濯されてきたのがわかる。
「有り難く拝借する」
「いいのよ。着替えには奥の部屋を使ってちょうだい」
母君に向かって一礼すると、早速着替えるために奥の部屋へと向かう。
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