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第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ③
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「どう、だろうか……」
暫くして、カイの父君が着ていたであろう質素な布の服を身にまとい二人の前へと現れる。髪は後ろへ束ねたが、結局青白い肌と角だけはどうにもならなかった。
「あらぴったり。素敵じゃない。ねぇカイ」
「んあー……そうかもね。一番重要なところが隠しきれてないけど」
カイが角を指さす。うむ、俺も同じことを思ったぞ。だが仕方ないのだ……自由自在にしまえるわけではないし、帽子では隠しきれなかったのだから。
「大丈夫よ。そういう服装の人だってカイが言えばみんな納得してくれるわ」
母君が助け舟を出してくれているようだが……本当にそれで皆納得してくれるだろうか。カイもすごく微妙な顔をしている。気持ちはわかるが頼む、一緒に連れて行ってくれ……カイ!
「……わかったよ、連れていくからそんな顔して顔してこっち見ないでよ。怖いよ」
「む……失礼した。ありがとう、カイ」
カイが仕方ないといった風に了承してくれる。よかった、これで王様に会うことができそうだ。それにしても怖いとは、俺は一体どんな顔をしていたのだ……?
「よかったわねぇダモさん」
「うむ、母君のおかげだ。感謝する」
礼を言うと母君はまた優しげに笑う。カイは良い母親を持ったものだ。俺に母親がいたとしたらこのような感じなのだろうか。ふむ、不思議な気分だ。
「じゃあ、行ってくるよ」
「気を付けてねー! ダモさんもー!」
「うむ、行ってくる」
母君に見送られながらカイの家を出て城へ向かう。行く途中、通りすがる全ての人々が我々の事を見ているようだった。やはり勇者であるカイはこの国では有名人なのだな。
「皆に注目されているようだな」
「まぁ、いつものことだよ。それに今日は隣に変な角を生やした奴もいることだしね」
「むう……」
言い返そうとしたが事実も事実であるし何も言えなかった。そんなに変かこの角は……俺は気に入っているのだが。人間も生やすと良いぞ。
「……ところで、王様というのはどのような人なのだ?」
道すがら情報収集でもしておこうとカイに尋ねる。カイは腕を組んでひどく悩んだ後、話しにくそうに告げる。
「ううん……何というか、やる気に満ち溢れてる人。ハッチにちょっと似てるかも」
ハッチに似ている。その一言だけで何となく想像はついた。きっと声も、でかいのだろう……。
「あと姫を溺愛してるよ」
「ほう、姫とな」
ここにきて初めての情報が出てきた。姫、か。その者も何かこの世界の仕組みついて知っているのかもしれないな。よくよく注意しなくては。
「何? さらおうとしたらダメだよ?」
「だ、誰がそんなこと……」
と言いつつもその手があったかとも思う。もし次に世界を支配しようとする機会があれば有効に使わせてもらうとしよう……。
「ほら、着いたよ」
そうこうしている間に城の前に到着した。カイの家を出た時は小さく見えていた城だが、近くによってみるとなかなか大きいものだ。俺の城とどちらがでかいか比べてみたいな。勿論俺の城の方がでかいに決まっているだろうが。
「勇者様、お待ちしておりました。と、そちらの方は?」
城の入り口を守っている兵士に話しかけられる。と同時に訝しげにこちらを観察する。まぁ無理もない。こんな角が生えた男がやってきたら、人間であれば驚いて当然だろう。
「この人は僕の連れ。王様にご紹介したくて連れてきたんだ。頭の角は……そういう自己表現だから気にしないで」
「はぁ……自己表現……」
じ、自己表現とは……もう少し言い方というものがあっただろうに。全くカイの奴……兵士も困惑しているではないか。
「……とりあえず、危険人物ではないから。僕が保証する」
「勇者様がそう仰るのであれば……わかりました。お入りください」
カイの説得の賜物か兵士は渋々納得してくれたようで、城の扉がゆっくりと開く。
こうして、この世界にとって最も危険人物である俺は城の中に潜入することができたのである。
暫くして、カイの父君が着ていたであろう質素な布の服を身にまとい二人の前へと現れる。髪は後ろへ束ねたが、結局青白い肌と角だけはどうにもならなかった。
「あらぴったり。素敵じゃない。ねぇカイ」
「んあー……そうかもね。一番重要なところが隠しきれてないけど」
カイが角を指さす。うむ、俺も同じことを思ったぞ。だが仕方ないのだ……自由自在にしまえるわけではないし、帽子では隠しきれなかったのだから。
「大丈夫よ。そういう服装の人だってカイが言えばみんな納得してくれるわ」
母君が助け舟を出してくれているようだが……本当にそれで皆納得してくれるだろうか。カイもすごく微妙な顔をしている。気持ちはわかるが頼む、一緒に連れて行ってくれ……カイ!
「……わかったよ、連れていくからそんな顔して顔してこっち見ないでよ。怖いよ」
「む……失礼した。ありがとう、カイ」
カイが仕方ないといった風に了承してくれる。よかった、これで王様に会うことができそうだ。それにしても怖いとは、俺は一体どんな顔をしていたのだ……?
「よかったわねぇダモさん」
「うむ、母君のおかげだ。感謝する」
礼を言うと母君はまた優しげに笑う。カイは良い母親を持ったものだ。俺に母親がいたとしたらこのような感じなのだろうか。ふむ、不思議な気分だ。
「じゃあ、行ってくるよ」
「気を付けてねー! ダモさんもー!」
「うむ、行ってくる」
母君に見送られながらカイの家を出て城へ向かう。行く途中、通りすがる全ての人々が我々の事を見ているようだった。やはり勇者であるカイはこの国では有名人なのだな。
「皆に注目されているようだな」
「まぁ、いつものことだよ。それに今日は隣に変な角を生やした奴もいることだしね」
「むう……」
言い返そうとしたが事実も事実であるし何も言えなかった。そんなに変かこの角は……俺は気に入っているのだが。人間も生やすと良いぞ。
「……ところで、王様というのはどのような人なのだ?」
道すがら情報収集でもしておこうとカイに尋ねる。カイは腕を組んでひどく悩んだ後、話しにくそうに告げる。
「ううん……何というか、やる気に満ち溢れてる人。ハッチにちょっと似てるかも」
ハッチに似ている。その一言だけで何となく想像はついた。きっと声も、でかいのだろう……。
「あと姫を溺愛してるよ」
「ほう、姫とな」
ここにきて初めての情報が出てきた。姫、か。その者も何かこの世界の仕組みついて知っているのかもしれないな。よくよく注意しなくては。
「何? さらおうとしたらダメだよ?」
「だ、誰がそんなこと……」
と言いつつもその手があったかとも思う。もし次に世界を支配しようとする機会があれば有効に使わせてもらうとしよう……。
「ほら、着いたよ」
そうこうしている間に城の前に到着した。カイの家を出た時は小さく見えていた城だが、近くによってみるとなかなか大きいものだ。俺の城とどちらがでかいか比べてみたいな。勿論俺の城の方がでかいに決まっているだろうが。
「勇者様、お待ちしておりました。と、そちらの方は?」
城の入り口を守っている兵士に話しかけられる。と同時に訝しげにこちらを観察する。まぁ無理もない。こんな角が生えた男がやってきたら、人間であれば驚いて当然だろう。
「この人は僕の連れ。王様にご紹介したくて連れてきたんだ。頭の角は……そういう自己表現だから気にしないで」
「はぁ……自己表現……」
じ、自己表現とは……もう少し言い方というものがあっただろうに。全くカイの奴……兵士も困惑しているではないか。
「……とりあえず、危険人物ではないから。僕が保証する」
「勇者様がそう仰るのであれば……わかりました。お入りください」
カイの説得の賜物か兵士は渋々納得してくれたようで、城の扉がゆっくりと開く。
こうして、この世界にとって最も危険人物である俺は城の中に潜入することができたのである。
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