14 / 26
第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ⑩
しおりを挟む
「では、神様が時の繰り返しについてご存知かどうかお聞きすればよろしいのですね?」
「あぁ、頼みます」
「無理しないでくださいね~」
姫が立ち上がり窓際へと向かう。祈る時は習慣的に外を向いてするそうなのだ。
窓からの日の光を浴びながら、胸の前で手を組み静かに目を閉じる姫。
いやそれにしても……美しい。光を浴びて輝く金色の髪と白い肌。純白のドレスがまた似合っておる。目の色は確か青。流石は姫と言うだけあって、これまで見かけたどの人間よりも美しく感じるぞ……。
「……また見とれてんの」
「っ!?」
声をかけられ慌てて振り向くと、カイはこの上なく訝しげな目をしてこちらを見ていた。
「さっきもそうだったよね。もしかして姫みたいな女性がタイプなの?」
「い、いや……」
タイプかと言われるとどうなのかわからん。そもそも俺には、人間でいう恋愛感情とやらはない。単に種族を繁栄させるためのまやかしなのだろう?魔物にそんなものは必要ない。ただ、強い者同士が繁殖して強い子を産む。それで十分なのだ。
まぁ、ただ……姫の事を美しく思わないかと問われたら、美しいと答えてしまうが……。仕方ないだろう。魔族にはあのような者はいなかったのだ。め、目新しいから見てしまうだけだ。多分。
「考え込んじゃって……素直になればいいのに」
「……全くもって余計なお世話だ」
「僕が仲を取り持ってあげてもいいけど」
「な! ……い、いやいい」
「遠慮すんなよ~好きなんだろ?姫のこ・と?」
「だから違う! 私は姫など……」
「私が何ですの?」
「うわっ!?」
唐突に声をかけられ驚いて思わず席を立つ。姫が不思議そうに首をかしげるのを見て、気まずさを感じつつも再び椅子に座り何事もなかったかのように姫の方を見る。
「……? 神様とのお話、終わりましたわ」
「あ、あぁ……ありがとう、姫」
カイがにやにやとした笑みを浮かべている。カイめ、調子に乗りおって……後で覚えていろよ!
「神様は何て言ってました? と言うか、案外早く終わりましたね~」
眉間に皺をよせつつ俺を横目に、カイが素知らぬ顔で姫に聞く。確かにもう少しかかると思っていたのだが案外早く終わった。神がすんなり答えてくれたのだろうか?
「そ、それが……」
気まずそうに口ごもる姫の姿を見て、どうやらすんなりとはいかなかったと分かる。まぁ想定内ではあるが……そう簡単にはいかないか。
「神様とのお話はできたのですが、質問には答えて頂けませんでしたわ……」
「神様は何と言っていたのですか?」
「……『その質問には答えられない。お前はあの二人に騙されているんだ』と……」
騙されている、か。姫はまだ時の繰り返しについて信じているとは言えない状況であろうし、俺たちが騙していると解釈されても仕方がないだろう。
しかし答えられないとは何だ。知らない、ではなく答えられないと言うことは、やはり神様は時の繰り返しについて何か知っているのか……?
「それと、こうもおっしゃっていましたわ。『だがもし、どうしても真実を知りたければ魔王を倒せ』と」
「魔王を……」
魔王、つまり俺を倒せと言う事か。神様は余程俺のことが邪魔なのか、それともこれこそが世界の謎を解く真実なのか?
どちらにせよ俺はそう易々と死んでやるほど命を軽くみてはいないぞ。
「ふーん、じゃあそうしてみようか」
カイがいつもの軽口と同じ口調で言う。そのあまりの軽さに一瞬本当にコイツが言ったのかすら疑わしかったのだが、姫の凍った表情を見ると、どうやら本当のようだな。
「……カイ、何を言っている。まさかお前が俺を倒せるとでもいうのか」
立ち上がりカイと対峙する。コイツとは出会って間もないが、何か絆の様なものを感じていた。しかしそれはまやかしだったのか。所詮は勇者と魔王……相容れぬ存在だったのか?
「まぁそう殺気立たないでよ。僕に考えがあるからさ」
「……聞こうか」
「あぁ、頼みます」
「無理しないでくださいね~」
姫が立ち上がり窓際へと向かう。祈る時は習慣的に外を向いてするそうなのだ。
窓からの日の光を浴びながら、胸の前で手を組み静かに目を閉じる姫。
いやそれにしても……美しい。光を浴びて輝く金色の髪と白い肌。純白のドレスがまた似合っておる。目の色は確か青。流石は姫と言うだけあって、これまで見かけたどの人間よりも美しく感じるぞ……。
「……また見とれてんの」
「っ!?」
声をかけられ慌てて振り向くと、カイはこの上なく訝しげな目をしてこちらを見ていた。
「さっきもそうだったよね。もしかして姫みたいな女性がタイプなの?」
「い、いや……」
タイプかと言われるとどうなのかわからん。そもそも俺には、人間でいう恋愛感情とやらはない。単に種族を繁栄させるためのまやかしなのだろう?魔物にそんなものは必要ない。ただ、強い者同士が繁殖して強い子を産む。それで十分なのだ。
まぁ、ただ……姫の事を美しく思わないかと問われたら、美しいと答えてしまうが……。仕方ないだろう。魔族にはあのような者はいなかったのだ。め、目新しいから見てしまうだけだ。多分。
「考え込んじゃって……素直になればいいのに」
「……全くもって余計なお世話だ」
「僕が仲を取り持ってあげてもいいけど」
「な! ……い、いやいい」
「遠慮すんなよ~好きなんだろ?姫のこ・と?」
「だから違う! 私は姫など……」
「私が何ですの?」
「うわっ!?」
唐突に声をかけられ驚いて思わず席を立つ。姫が不思議そうに首をかしげるのを見て、気まずさを感じつつも再び椅子に座り何事もなかったかのように姫の方を見る。
「……? 神様とのお話、終わりましたわ」
「あ、あぁ……ありがとう、姫」
カイがにやにやとした笑みを浮かべている。カイめ、調子に乗りおって……後で覚えていろよ!
「神様は何て言ってました? と言うか、案外早く終わりましたね~」
眉間に皺をよせつつ俺を横目に、カイが素知らぬ顔で姫に聞く。確かにもう少しかかると思っていたのだが案外早く終わった。神がすんなり答えてくれたのだろうか?
「そ、それが……」
気まずそうに口ごもる姫の姿を見て、どうやらすんなりとはいかなかったと分かる。まぁ想定内ではあるが……そう簡単にはいかないか。
「神様とのお話はできたのですが、質問には答えて頂けませんでしたわ……」
「神様は何と言っていたのですか?」
「……『その質問には答えられない。お前はあの二人に騙されているんだ』と……」
騙されている、か。姫はまだ時の繰り返しについて信じているとは言えない状況であろうし、俺たちが騙していると解釈されても仕方がないだろう。
しかし答えられないとは何だ。知らない、ではなく答えられないと言うことは、やはり神様は時の繰り返しについて何か知っているのか……?
「それと、こうもおっしゃっていましたわ。『だがもし、どうしても真実を知りたければ魔王を倒せ』と」
「魔王を……」
魔王、つまり俺を倒せと言う事か。神様は余程俺のことが邪魔なのか、それともこれこそが世界の謎を解く真実なのか?
どちらにせよ俺はそう易々と死んでやるほど命を軽くみてはいないぞ。
「ふーん、じゃあそうしてみようか」
カイがいつもの軽口と同じ口調で言う。そのあまりの軽さに一瞬本当にコイツが言ったのかすら疑わしかったのだが、姫の凍った表情を見ると、どうやら本当のようだな。
「……カイ、何を言っている。まさかお前が俺を倒せるとでもいうのか」
立ち上がりカイと対峙する。コイツとは出会って間もないが、何か絆の様なものを感じていた。しかしそれはまやかしだったのか。所詮は勇者と魔王……相容れぬ存在だったのか?
「まぁそう殺気立たないでよ。僕に考えがあるからさ」
「……聞こうか」
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる