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第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ⑩
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「では、神様が時の繰り返しについてご存知かどうかお聞きすればよろしいのですね?」
「あぁ、頼みます」
「無理しないでくださいね~」
姫が立ち上がり窓際へと向かう。祈る時は習慣的に外を向いてするそうなのだ。
窓からの日の光を浴びながら、胸の前で手を組み静かに目を閉じる姫。
いやそれにしても……美しい。光を浴びて輝く金色の髪と白い肌。純白のドレスがまた似合っておる。目の色は確か青。流石は姫と言うだけあって、これまで見かけたどの人間よりも美しく感じるぞ……。
「……また見とれてんの」
「っ!?」
声をかけられ慌てて振り向くと、カイはこの上なく訝しげな目をしてこちらを見ていた。
「さっきもそうだったよね。もしかして姫みたいな女性がタイプなの?」
「い、いや……」
タイプかと言われるとどうなのかわからん。そもそも俺には、人間でいう恋愛感情とやらはない。単に種族を繁栄させるためのまやかしなのだろう?魔物にそんなものは必要ない。ただ、強い者同士が繁殖して強い子を産む。それで十分なのだ。
まぁ、ただ……姫の事を美しく思わないかと問われたら、美しいと答えてしまうが……。仕方ないだろう。魔族にはあのような者はいなかったのだ。め、目新しいから見てしまうだけだ。多分。
「考え込んじゃって……素直になればいいのに」
「……全くもって余計なお世話だ」
「僕が仲を取り持ってあげてもいいけど」
「な! ……い、いやいい」
「遠慮すんなよ~好きなんだろ?姫のこ・と?」
「だから違う! 私は姫など……」
「私が何ですの?」
「うわっ!?」
唐突に声をかけられ驚いて思わず席を立つ。姫が不思議そうに首をかしげるのを見て、気まずさを感じつつも再び椅子に座り何事もなかったかのように姫の方を見る。
「……? 神様とのお話、終わりましたわ」
「あ、あぁ……ありがとう、姫」
カイがにやにやとした笑みを浮かべている。カイめ、調子に乗りおって……後で覚えていろよ!
「神様は何て言ってました? と言うか、案外早く終わりましたね~」
眉間に皺をよせつつ俺を横目に、カイが素知らぬ顔で姫に聞く。確かにもう少しかかると思っていたのだが案外早く終わった。神がすんなり答えてくれたのだろうか?
「そ、それが……」
気まずそうに口ごもる姫の姿を見て、どうやらすんなりとはいかなかったと分かる。まぁ想定内ではあるが……そう簡単にはいかないか。
「神様とのお話はできたのですが、質問には答えて頂けませんでしたわ……」
「神様は何と言っていたのですか?」
「……『その質問には答えられない。お前はあの二人に騙されているんだ』と……」
騙されている、か。姫はまだ時の繰り返しについて信じているとは言えない状況であろうし、俺たちが騙していると解釈されても仕方がないだろう。
しかし答えられないとは何だ。知らない、ではなく答えられないと言うことは、やはり神様は時の繰り返しについて何か知っているのか……?
「それと、こうもおっしゃっていましたわ。『だがもし、どうしても真実を知りたければ魔王を倒せ』と」
「魔王を……」
魔王、つまり俺を倒せと言う事か。神様は余程俺のことが邪魔なのか、それともこれこそが世界の謎を解く真実なのか?
どちらにせよ俺はそう易々と死んでやるほど命を軽くみてはいないぞ。
「ふーん、じゃあそうしてみようか」
カイがいつもの軽口と同じ口調で言う。そのあまりの軽さに一瞬本当にコイツが言ったのかすら疑わしかったのだが、姫の凍った表情を見ると、どうやら本当のようだな。
「……カイ、何を言っている。まさかお前が俺を倒せるとでもいうのか」
立ち上がりカイと対峙する。コイツとは出会って間もないが、何か絆の様なものを感じていた。しかしそれはまやかしだったのか。所詮は勇者と魔王……相容れぬ存在だったのか?
「まぁそう殺気立たないでよ。僕に考えがあるからさ」
「……聞こうか」
「あぁ、頼みます」
「無理しないでくださいね~」
姫が立ち上がり窓際へと向かう。祈る時は習慣的に外を向いてするそうなのだ。
窓からの日の光を浴びながら、胸の前で手を組み静かに目を閉じる姫。
いやそれにしても……美しい。光を浴びて輝く金色の髪と白い肌。純白のドレスがまた似合っておる。目の色は確か青。流石は姫と言うだけあって、これまで見かけたどの人間よりも美しく感じるぞ……。
「……また見とれてんの」
「っ!?」
声をかけられ慌てて振り向くと、カイはこの上なく訝しげな目をしてこちらを見ていた。
「さっきもそうだったよね。もしかして姫みたいな女性がタイプなの?」
「い、いや……」
タイプかと言われるとどうなのかわからん。そもそも俺には、人間でいう恋愛感情とやらはない。単に種族を繁栄させるためのまやかしなのだろう?魔物にそんなものは必要ない。ただ、強い者同士が繁殖して強い子を産む。それで十分なのだ。
まぁ、ただ……姫の事を美しく思わないかと問われたら、美しいと答えてしまうが……。仕方ないだろう。魔族にはあのような者はいなかったのだ。め、目新しいから見てしまうだけだ。多分。
「考え込んじゃって……素直になればいいのに」
「……全くもって余計なお世話だ」
「僕が仲を取り持ってあげてもいいけど」
「な! ……い、いやいい」
「遠慮すんなよ~好きなんだろ?姫のこ・と?」
「だから違う! 私は姫など……」
「私が何ですの?」
「うわっ!?」
唐突に声をかけられ驚いて思わず席を立つ。姫が不思議そうに首をかしげるのを見て、気まずさを感じつつも再び椅子に座り何事もなかったかのように姫の方を見る。
「……? 神様とのお話、終わりましたわ」
「あ、あぁ……ありがとう、姫」
カイがにやにやとした笑みを浮かべている。カイめ、調子に乗りおって……後で覚えていろよ!
「神様は何て言ってました? と言うか、案外早く終わりましたね~」
眉間に皺をよせつつ俺を横目に、カイが素知らぬ顔で姫に聞く。確かにもう少しかかると思っていたのだが案外早く終わった。神がすんなり答えてくれたのだろうか?
「そ、それが……」
気まずそうに口ごもる姫の姿を見て、どうやらすんなりとはいかなかったと分かる。まぁ想定内ではあるが……そう簡単にはいかないか。
「神様とのお話はできたのですが、質問には答えて頂けませんでしたわ……」
「神様は何と言っていたのですか?」
「……『その質問には答えられない。お前はあの二人に騙されているんだ』と……」
騙されている、か。姫はまだ時の繰り返しについて信じているとは言えない状況であろうし、俺たちが騙していると解釈されても仕方がないだろう。
しかし答えられないとは何だ。知らない、ではなく答えられないと言うことは、やはり神様は時の繰り返しについて何か知っているのか……?
「それと、こうもおっしゃっていましたわ。『だがもし、どうしても真実を知りたければ魔王を倒せ』と」
「魔王を……」
魔王、つまり俺を倒せと言う事か。神様は余程俺のことが邪魔なのか、それともこれこそが世界の謎を解く真実なのか?
どちらにせよ俺はそう易々と死んでやるほど命を軽くみてはいないぞ。
「ふーん、じゃあそうしてみようか」
カイがいつもの軽口と同じ口調で言う。そのあまりの軽さに一瞬本当にコイツが言ったのかすら疑わしかったのだが、姫の凍った表情を見ると、どうやら本当のようだな。
「……カイ、何を言っている。まさかお前が俺を倒せるとでもいうのか」
立ち上がりカイと対峙する。コイツとは出会って間もないが、何か絆の様なものを感じていた。しかしそれはまやかしだったのか。所詮は勇者と魔王……相容れぬ存在だったのか?
「まぁそう殺気立たないでよ。僕に考えがあるからさ」
「……聞こうか」
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