助けて!何度倒しても勇者がよみがえる!

はばのねろ

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第二章:勇者カイ

第二章:勇者カイ⑯

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「……どうして? 何かあった?」
 カイが怪訝そうな顔でこちらを見る。当たり前か。今まで一緒に旅をしようと言っていた者が、いきなり行けないと言うのだから。不審に思うのも無理はない。
「やはり勇者と魔王は一緒にいて良い存在ではない。お前も分かっているだろう」
「何を今更」
「今更ではない。ようやく気付いたのだ。このまま俺が魔物たちの前に姿を見せれば、俺は魔族の裏切り者だ。もう魔王ではいられない」
「…………」
 そう。もう魔王ではいられない……俺は自身の立場を崩したくないがためにカイを裏切るのだ。心が痛まないと言えば嘘になる。いや、痛まないわけがないのだ。
「軽蔑してもらっても良い。俺は魔王と言う立場を失う訳にはならないのだ」
「つまり、このまま一緒に旅を続けられないと?」
「……そういう事だ。お前も俺が魔王であると民衆にバレてしまえば大変なことになる。遅かれ早かれこうなる運命だったのだ。早く気づけてよかった」
「…………」
 カイは黙りこくって下を向く。済まない、済まないカイ。だがこれで良いのだ。一緒にいれば回にも迷惑がかかるかもしれない。俺も立場を失いたくない。両者の幸福のためには一緒に旅をするわけには……。
「つまり、魔物に僕と一緒にいることがバレて、魔王っていう立場がなくなるのが怖いわけだね?」
「む、まぁ……簡単に言ってしまえばそうなるか」
 考えをカイの言葉が遮る。怖い……のか俺は?おぉ、何と臆病なのだお前は。魔王ともあろう者がその立場を失うのが怖くて先に進めないとは……。
だが事実だ。俺の個性というものは、魔王という立場の元に成り立ってきた。魔王という立場を失くしてしまえば、俺は俺で無くなってしまう気がして、それが怖いのだ。
カイにそれを教えられるとは、俺もまだまだ……。
「それって、どうしても魔王じゃなきゃダメなの?」
「……は?」
 カイの予想外の言葉に思わず思考が停止する。何だ、どういう意味なのだ。
「もし魔王を首になったらさ、僕の家で暮らしなよ。ダモさん魔法使えるし、きっとみんな歓迎にしてくれるよ」
まさに開いた口が塞がらないとはこの事だと思った。何を、何を言っているのだコイツは……。理解が追い付かない俺は只々口を半開きにしたままカイの話を聞いていた。
「それに、僕はバレても大丈夫。姫もいるし何とかなるって!」
「い、いや……しかし……」
「ダモさんがあの街で働くのが嫌なら、どこか違う場所に行ってお店を出してもいいよ。僕、旅が終わった後の事色々考えてるから詳しいよ」
「……何故」
 何故、旅が終わった後のことなど考えているのだ。何故、俺にここまでしてくれるのだ。何故、何故……疑問だけが頭を駆け巡る。
 カイは相変わらずのゆるい調子で話を続ける。
「勇者なんてさ、旅が終わればおしまいなんだよね。その後兵士とかする人もいるみたいだけど僕には無理。だから、旅が終わったら勇者とは何も関係ない、新たな人生を生きようと思ってて……これは僕の勝手な予想だけど、魔王もそんな感じじゃないの? いや、魔王は王様みたいな感じなのかな? よくわかんないけど」
 俺は黙ってカイの話を聞いていた。理解ができないわけではない。ただカイの言葉の意味を静かに考えていたいだけなのだ。
「とにかく、もしダモさんが魔王を首になったとしても、居場所は僕が作ってあげるよ。友達だもん」
 友達……だと?勇者と、魔王が、友達……?
「だから、一緒に旅をしようよ。ダモさんも気になるでしょ? この世界の秘密」
「……そう、そうだな……」
 俺は、決めた。一度カイと共に旅をすると決めたのだ。それを撤回しては魔王として……いや、カイの友達として恥ずかしい。もう迷わないぞ。魔王の座を失おうと知ったことか!俺の居場所は、失われることはない。
「俺は、兵士でも構わないぞ。カイ」
「えぇ~勘弁してよね」
 互いに言葉を交わし、意味ありげに笑う。これが友達と言うものか。ふむ、気分が良いぞ!
 俺たちは顔を見合わせると、意気揚々と森の中へ入って行った。
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