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第三章:魔法使いミーミ
第三章:魔法使いミーミ⑥
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「ミーミが、いじめられていた……?」
俺は耳を疑った。あの勝ち気で俺を平気で殴ってくるようなミーミが、まさか。いや、しかし俺はミーミの事は本当の名前ですらついさっき知ったほどしか知らない。まさか、と言うのは失礼にあたるだろう。
表面上見えるところだけでその者の本質を知った気になってはいけない。そんなことをしたら俺など異質すぎて誰も近寄ってはくれなくなってしまうではないか。
ミーミの事をもっとよく知るため、俺は再び長老の話に耳を傾ける。
「まぁ、今のミーミからすれば想像もつかぬでしょうが、事実なのですじゃ。確か勇者様方はミーミの案内でわしの家まで来たのでしたな? それならばあの恐ろしく命の危険を感じる魔法を体験したことでしょう」
長老が言っているのは上に上るためにミーミが使ったあの球体の魔法の事か。確かにあれは命の危険を感じた。俺も随分と長いこと生きているが、その長い経験の中でも上位に来るほどの恐怖だった。
俺が同意するように何度も頷くのを見て、長老は目を細めて笑う。
「ほっほ。やはりですか、大変じゃったのぉ。しかし、あれにも理由がありますのじゃ。ミーミは昔から魔法で何をやらせても失敗ばかりでのぉ。炎の魔法を使えば家ごと燃やす。水の魔法を使えば辺り一面を水浸しにする。風の魔法でこの辺り一帯の木を丸裸にしたこともあったのぉ……」
「そ、それは大変だったな……」
「まぁ、孫のしたことじゃて。可愛いものじゃ」
長老が愛おし気に笑う。俺には祖父とか祖母と言うものはいないが、こう言うものなのだろうか。カイの母君に会った時とはまた違う、暖かい微笑み。人間とは、実に面白いな。
「それに、ミーミとてわざとやったわけではない。魔法が下手でこうなったわけではないしのぉ……」
「む? どういう意味だ?」
普通、魔法を失敗したと言えばその魔法が苦手なのだろうと思う。現に俺も苦手な瞬間移動魔法は何回も失敗……少し成功から外れていることがある。たまに。
「ミーミはのぉ……魔法の才能が有りすぎるのじゃ。魔力が強いとでも言った方が分かりやすいかのぉ」
「ほぅ……」
なるほどな、と思う。つまりミーミには溢れんばかりの魔力があるゆえに、そこら一般の者たちが普通に扱えるような魔法ではミーミの魔力を持て余す。それゆえに暴走状態になり魔法が失敗してしまうという訳か。
これは随分と稀有な例だな。俺も魔法を扱う者として様々な知識を蓄えてはきたが、こんな話は聞いたことがない。だからと言って信じていないという訳ではないが。長老が可愛い孫娘の事を言っているのだ、本当なのだろう。
「それ故、ミーミは小さい頃、里の皆からアイツの近くにいると魔力を吸い取られるとか、魔法が暴走して危険じゃとか言われていてのぉ……流石に大きくなってからは露骨にその様な事を言われることはなくなったようじゃが、未だにミーミに対する里の者の態度は冷たいままじゃ」
何という、事だ。危険を恐れる気持ちは分かるが、幼い子供に向けて良い言葉ではないだろうに!ううむ、俺がその時近くに居たならば、悪口を言った者どもを片っ端から呪ってやったものを……。いや、今からでも遅くはないか?よし、もしそういう奴を見かけたら呪っておこう。
「あの子は両親も物心つく前に亡くしていてのぉ……わしが面倒を見ていたのじゃが、長老の仕事の忙しさも相まってかあの子のことをあまり気にかけてやれんで……気づいたら気が強く、本音を言わない性格になっていたんじゃよ。そして、自分を『ミーミ』と呼ぶようになったのじゃ。これはあくまでわしの予想じゃが……自分を、変えてしまいたかったのかもしれんのぉ……。祖父として、後悔してもしきれんわい……」
長老が、いや、ミーミの祖父が悲しげに俯く。
何と悲劇的なのだ……ミーミは悪くないと言うのに……。うむ、分かったぞ!
「ミーミの祖父よ、安ずるな。このダモサーラが何とかしようではないか」
俺は耳を疑った。あの勝ち気で俺を平気で殴ってくるようなミーミが、まさか。いや、しかし俺はミーミの事は本当の名前ですらついさっき知ったほどしか知らない。まさか、と言うのは失礼にあたるだろう。
表面上見えるところだけでその者の本質を知った気になってはいけない。そんなことをしたら俺など異質すぎて誰も近寄ってはくれなくなってしまうではないか。
ミーミの事をもっとよく知るため、俺は再び長老の話に耳を傾ける。
「まぁ、今のミーミからすれば想像もつかぬでしょうが、事実なのですじゃ。確か勇者様方はミーミの案内でわしの家まで来たのでしたな? それならばあの恐ろしく命の危険を感じる魔法を体験したことでしょう」
長老が言っているのは上に上るためにミーミが使ったあの球体の魔法の事か。確かにあれは命の危険を感じた。俺も随分と長いこと生きているが、その長い経験の中でも上位に来るほどの恐怖だった。
俺が同意するように何度も頷くのを見て、長老は目を細めて笑う。
「ほっほ。やはりですか、大変じゃったのぉ。しかし、あれにも理由がありますのじゃ。ミーミは昔から魔法で何をやらせても失敗ばかりでのぉ。炎の魔法を使えば家ごと燃やす。水の魔法を使えば辺り一面を水浸しにする。風の魔法でこの辺り一帯の木を丸裸にしたこともあったのぉ……」
「そ、それは大変だったな……」
「まぁ、孫のしたことじゃて。可愛いものじゃ」
長老が愛おし気に笑う。俺には祖父とか祖母と言うものはいないが、こう言うものなのだろうか。カイの母君に会った時とはまた違う、暖かい微笑み。人間とは、実に面白いな。
「それに、ミーミとてわざとやったわけではない。魔法が下手でこうなったわけではないしのぉ……」
「む? どういう意味だ?」
普通、魔法を失敗したと言えばその魔法が苦手なのだろうと思う。現に俺も苦手な瞬間移動魔法は何回も失敗……少し成功から外れていることがある。たまに。
「ミーミはのぉ……魔法の才能が有りすぎるのじゃ。魔力が強いとでも言った方が分かりやすいかのぉ」
「ほぅ……」
なるほどな、と思う。つまりミーミには溢れんばかりの魔力があるゆえに、そこら一般の者たちが普通に扱えるような魔法ではミーミの魔力を持て余す。それゆえに暴走状態になり魔法が失敗してしまうという訳か。
これは随分と稀有な例だな。俺も魔法を扱う者として様々な知識を蓄えてはきたが、こんな話は聞いたことがない。だからと言って信じていないという訳ではないが。長老が可愛い孫娘の事を言っているのだ、本当なのだろう。
「それ故、ミーミは小さい頃、里の皆からアイツの近くにいると魔力を吸い取られるとか、魔法が暴走して危険じゃとか言われていてのぉ……流石に大きくなってからは露骨にその様な事を言われることはなくなったようじゃが、未だにミーミに対する里の者の態度は冷たいままじゃ」
何という、事だ。危険を恐れる気持ちは分かるが、幼い子供に向けて良い言葉ではないだろうに!ううむ、俺がその時近くに居たならば、悪口を言った者どもを片っ端から呪ってやったものを……。いや、今からでも遅くはないか?よし、もしそういう奴を見かけたら呪っておこう。
「あの子は両親も物心つく前に亡くしていてのぉ……わしが面倒を見ていたのじゃが、長老の仕事の忙しさも相まってかあの子のことをあまり気にかけてやれんで……気づいたら気が強く、本音を言わない性格になっていたんじゃよ。そして、自分を『ミーミ』と呼ぶようになったのじゃ。これはあくまでわしの予想じゃが……自分を、変えてしまいたかったのかもしれんのぉ……。祖父として、後悔してもしきれんわい……」
長老が、いや、ミーミの祖父が悲しげに俯く。
何と悲劇的なのだ……ミーミは悪くないと言うのに……。うむ、分かったぞ!
「ミーミの祖父よ、安ずるな。このダモサーラが何とかしようではないか」
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