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序章
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「そろそろ暗くなるから、お部屋に戻りましょう!」
バタバタと施設の中へと入って行く子供達より、一足早く明るい部屋に戻っていた祢音。
「祢音くんは、いつもみんなより早く入ってくるね」
「うん、暗いのはヤダから…」
子供の頃、暗い場所は嫌いだった祢音。
体が普通の子より小さかったから、大きな大人が苦手でなるべく避けることが多かった。
でも、それを好機とする人間も少なからず居たのは事実。
「あれ?祢音くん、そこでどうしたの?みんなの所に行かなくていいの?」
「これ、片付けないと。怒られちゃうから」
「そう。じゃあ手伝ってあげるから、こっちにおいで?一緒にやろうか」
その人は、週に2回程しか来ない職員で、みんなから慕われている優しい男の人。
祢音にも勿論、優しい。
二人で片付けをするまでは……
「せん、せ…っ」
大きな手が小さな体を弄り始める。
右手は、下着に手を入れまだ幼い性器を、左手はトレーナーを捲り上げ素肌を触り、徐々に上へ上と這っていく。
「ホラ……げ…いっ」
「ヤ、ダ…」
手首をグッと掴むと祢音は怯んで、体が強張る。
何も出来ないのをイイコトに、男は自分の人形の様に愛で始めると勢いはもう止まることを知らない。
これから、何をされるか分からない状態の祢音は、怖さで体が震え泣きそうになるのを堪える。
春を間近に控えたヒンヤリする床に組み敷かれて、身動きが取れない状態の祢音に欲情して、男は笑っていた。
「ハハッ、そうだね。我慢するコは、嫌いじゃないよ?偉いね、祢音くんは」
「…っ」
それ以降の記憶は真っ黒に消されて、気が付いた時はベッドに横になっていた。
いつも起きる時に見ている、見慣れた天井。
「あれ?僕…」
「あー、良かったぁ。祢音くん、お片付けした部屋で寝ちゃってたのよ。風邪引いたら困るからって、鈴木先生が運んでくれたの」
「うん」
ベッドから上半身を起こし目を擦る。
何で寝てしまったのかとか、片付けはきちんと終わったのかとか、そういうことも思い出せないまま、ぼんやりと窓の外に視線を向けた。
「さぁ、そろそろ夕食の時間になるから、食堂へ行こっか。きっと、みんな待ってるよ」
「はい」
祢音がそれだけ返事をすると、カツカツと革靴の音が近付いて来る。
足音が一瞬消えたかと思えば、スリッパのような擦れた音に変わると、施設の中へと入ってきた人間がいると耳だけで分かった。
そちらに目を向けていると、人影が現れると同時に二人の男性が姿を現した。
黒いスーツ姿で襟足が少し長めの黒髪に、肌は人よりも白く瞳は燃えるような赤。
人間とは少し掛け離れた出で立ちに、祢音は目を奪われた。
「君が、祢音くん?初めまして、月城奏と言います」
「こ、こんにちわ」
その一言を言うだけで精一杯の祢音に、奏は笑ってみせる。
「あら、月城さん。こんな時間にご用でも?」
「少し施設長とお話があって…」
「風戸さんまで来られて」
「私も少しばかり、祢音くんの姿を拝見したくて参りました。お時間は取らせません」
この施設に色んな援助をしている月城家。
こうして月1,2回程度、様子を見に来ているが、この日は違っていた。
こんなに優しそうな子が、ウチに仕えてた末裔だなんて…本当なのか。
これから過酷な未来が待ってるなんて、皆無だろうな。
成人になる前に、教えてやらないとイケないーーー
ちゃんとした立場を、振る舞いを。
桜が咲き誇る春。
祢音は高校2年に進級して、この月城家に来て10年になる。
序章 了。
バタバタと施設の中へと入って行く子供達より、一足早く明るい部屋に戻っていた祢音。
「祢音くんは、いつもみんなより早く入ってくるね」
「うん、暗いのはヤダから…」
子供の頃、暗い場所は嫌いだった祢音。
体が普通の子より小さかったから、大きな大人が苦手でなるべく避けることが多かった。
でも、それを好機とする人間も少なからず居たのは事実。
「あれ?祢音くん、そこでどうしたの?みんなの所に行かなくていいの?」
「これ、片付けないと。怒られちゃうから」
「そう。じゃあ手伝ってあげるから、こっちにおいで?一緒にやろうか」
その人は、週に2回程しか来ない職員で、みんなから慕われている優しい男の人。
祢音にも勿論、優しい。
二人で片付けをするまでは……
「せん、せ…っ」
大きな手が小さな体を弄り始める。
右手は、下着に手を入れまだ幼い性器を、左手はトレーナーを捲り上げ素肌を触り、徐々に上へ上と這っていく。
「ホラ……げ…いっ」
「ヤ、ダ…」
手首をグッと掴むと祢音は怯んで、体が強張る。
何も出来ないのをイイコトに、男は自分の人形の様に愛で始めると勢いはもう止まることを知らない。
これから、何をされるか分からない状態の祢音は、怖さで体が震え泣きそうになるのを堪える。
春を間近に控えたヒンヤリする床に組み敷かれて、身動きが取れない状態の祢音に欲情して、男は笑っていた。
「ハハッ、そうだね。我慢するコは、嫌いじゃないよ?偉いね、祢音くんは」
「…っ」
それ以降の記憶は真っ黒に消されて、気が付いた時はベッドに横になっていた。
いつも起きる時に見ている、見慣れた天井。
「あれ?僕…」
「あー、良かったぁ。祢音くん、お片付けした部屋で寝ちゃってたのよ。風邪引いたら困るからって、鈴木先生が運んでくれたの」
「うん」
ベッドから上半身を起こし目を擦る。
何で寝てしまったのかとか、片付けはきちんと終わったのかとか、そういうことも思い出せないまま、ぼんやりと窓の外に視線を向けた。
「さぁ、そろそろ夕食の時間になるから、食堂へ行こっか。きっと、みんな待ってるよ」
「はい」
祢音がそれだけ返事をすると、カツカツと革靴の音が近付いて来る。
足音が一瞬消えたかと思えば、スリッパのような擦れた音に変わると、施設の中へと入ってきた人間がいると耳だけで分かった。
そちらに目を向けていると、人影が現れると同時に二人の男性が姿を現した。
黒いスーツ姿で襟足が少し長めの黒髪に、肌は人よりも白く瞳は燃えるような赤。
人間とは少し掛け離れた出で立ちに、祢音は目を奪われた。
「君が、祢音くん?初めまして、月城奏と言います」
「こ、こんにちわ」
その一言を言うだけで精一杯の祢音に、奏は笑ってみせる。
「あら、月城さん。こんな時間にご用でも?」
「少し施設長とお話があって…」
「風戸さんまで来られて」
「私も少しばかり、祢音くんの姿を拝見したくて参りました。お時間は取らせません」
この施設に色んな援助をしている月城家。
こうして月1,2回程度、様子を見に来ているが、この日は違っていた。
こんなに優しそうな子が、ウチに仕えてた末裔だなんて…本当なのか。
これから過酷な未来が待ってるなんて、皆無だろうな。
成人になる前に、教えてやらないとイケないーーー
ちゃんとした立場を、振る舞いを。
桜が咲き誇る春。
祢音は高校2年に進級して、この月城家に来て10年になる。
序章 了。
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