17 / 41
第17話 気になる
しおりを挟む
「これ、いいやつですよね。帰ったら絶対に買おう」
「そうそう。これで洗うと軋まないのよ。織佳も使ったら」
「へえ。私も、ここのシャンプー合ってないみたいで軋んじゃったんですよ。ありがとうございます」
向こうも向こうで仲良くやっているらしい。それは何よりと、朝飛はさらに湯船にゆったりと浸かる。それにしてもシャンプー一つでも大盛り上がりとは凄い。
「そう言えば川瀬さん。小宮山君の好きなものって何か知ってる?」
しかし、ゆっくり浸かれない会話が展開されようとしている。どうして俺の好きなものを訊くと、朝飛は首を傾げた。
「さすがイケメン天才君。モテモテだね」
「モテた経験なんてないよ」
にやっと笑う健輔に対し、アホかと朝飛は苦笑する。が、美樹はなんと答えるのか。ちょっと気になった。変な答えを言わないだろうか、そんな心配をしてしまう。
「食べ物だと煮卵入りの醤油ラーメン。飲み物はコーヒーね。あの人、カフェインの過剰摂取だと思うのよね。放課後の部活の間に十杯くらい、ブラックで飲んでるわよ。顧問の先生が気を利かして置いてくれてるからって、飲みすぎなのよ」
でもって美樹の答えは恐ろしく的確だった。
確かに自分でもコーヒーは飲み過ぎかなと思う時がある。それにしても、ラーメンに関してどうしてそんなに詳しく知っているのか。ちょっと怖い。
「ラーメン好きなんだ。それも意外。初日の肉の早食いにもびっくりだったけど」
「そうそう。こう、もっとお上品に食べそうなのに」
「あの人も一般男子だから」
美樹、さらっと凄い。他がどれだけ褒めてもぶれないとはさすがだ。朝飛は彼女が共同研究者でよかったと心から賛辞を送っておく。
「一般男子!?」
「認められん」
しかし、なぜか美樹の言葉に健輔と直太朗が反論した。そしてじどっと朝飛を睨んでいる。
なぜだ。謎だ。研究以外で敵意を向けられる覚えは一切ないのだが。
「身体を洗おう」
馬鹿馬鹿しいと、朝飛はそそくさと湯船から出ようとした。だが、そこを二人に阻まれる。がしっと足を掴まれて、どぼんっと派手に湯船の中にひっくり返ることになった。
「やったぜ!」
「意外とどんくさい」
「お前らあ」
そこから互いにお湯を掛け合ったり足を掴んで沈めたりと、プールのように暴れてしまう。朝飛が逃げ惑う健輔を捕まえると、後ろから直太朗にばさっとお湯を掛けられた。
「うおっ」
「男子煩い!」
すると向こう側から苦情が入った。そうだ、互いの声が聞こえるというのを忘れていた。三人はやってしまったと大笑いする。
「ったく、風呂で疲れてどうする」
朝飛は身体を洗って上がるぞと、ようやく湯船から抜け出したのだった。
翌朝も風の音に起こされた。宿泊棟全体が静かだと余計に風の音が響くらしく、それが気になって起きてしまう。
「ううん、まだ五時か」
できればもう少しゆっくり寝たかったなと思いつつ、朝飛はのそっと身体を起こした。ついでにスマホをチェックし、倫明からメールが入っていないかと確認したがなかった。
一体どこに行ってしまったのか。昨日は棚上げとしたが、いなくなってすでに十二時間以上が経過している。さすがにこれは何か拙い状況だと理解させられる。
「でも、こんな閉じた空間で何をしようというのか」
外に出たところで、強風で島から脱出できるわけではない。下手なトラブルは起こさない方がいいことは、責任ある立場の二人がよく解っているはずだ。
「まったく」
そんなことを考えていたら、完全に目が覚めてしまった。昨日と同じく、コーヒーを貰いに行くかと立ち上がった。その前にトイレを済ませるか。
「凄い風だな」
立ち上がって外を見ると、僅かに明るくなった外は雨風の激しさを増しているのが解った。木は折れんばかりに靡き、雨は叩きつけるように降っている。
「雨も強まっているのか。これはますます外の捜索は無理だな」
二人に何があったのか気になるが、確認に行くのはやはり台風が過ぎ去らないと無理だ。これは台風情報もチェックしないとなと、朝から頭が慌ただしく動く。
「でも、その前にコーヒー」
昨日も美樹が指摘したように、何事もコーヒーがないと始まらないタイプだ。そそくさとトイレを済ませると、そのまま廊下へと出る。
「あっ、おはよう」
すると一つ向こう側のドアが開き、美樹が顔を覗かせた。彼女もまた、コーヒーをよく飲むタイプだ。人のことは言えない。朝飛と同じく、朝一番のコーヒーというところか。
「小宮山君のせいで習慣付いちゃったな」
「何故、俺のせいにするんだ」
言いがかりだろと言いながら、二人で廊下の端の自販機へと向かった。すると今日もまた先客がいる。
「あ、どうも」
健輔が寝ぐせだらけの頭を掻きながら挨拶をしてくる。喉が渇いて起きたという。
「炭酸ジュースが欲しくて」
「へえ。寝起きに炭酸って胃に悪そうだけど」
「そうかなあ」
言いつつ、先に自販機を使い終えた健輔は、その場でコーラーを一気に喉に流し込んでいた。朝飛と美樹も手早くコーヒーを買うと、その場で開けて飲み始める。
「風、凄いね」
「ああ。今日は完全にここから出られないな」
そう言って飲んでいたら一気飲みしていた。朝飛はもう一つコーヒーを貰って戻ることにする。
「今日の予定ってどうするんだ」
その前にと健輔が一日をどうするのかと訊いてきた。それで朝飛は、自分が決定しなければならないのかと思い出す。
「そうだな。昨日と同じ感じになるかな。まあ、もう少し専門的なところになるだろうね。他の人の研究状況も知りたいし」
「了解」
そこで健輔とは別れた。健輔はまだコーラーを飲んでいる。ここで飲み切って戻るつもりらしい。
「そうか。今日も話し合いしか出来ないね」
「そうだな。個々に研究してもいいんだろうけど、この台風の中だからね。停電が起こる可能性もあるし、固まっているのが無難だろう」
「そういう点では、エレベーターがなくてよかったね。これで閉じ込められたってなったら、助けてもらえないよ」
「ああ」
三階という高さだから設置しなかったのだろうエレベーターに、非常時は階段だけの方がいいのかと妙な納得をしてしまう。確かにこんな小さな島でエレベーターのトラブルは困るだろう。そういうことも考えて設置しなかったのかもしれない。
「これじゃあ今日は台風を楽しむしかないね」
「いや、一応話し合いはするからな」
完全に休みモードに入ろうとする美樹に注意しつつ、それでも台風情報に気を付けなければならないのは確かだ。
「台風情報見たか」
「ううん、まだ。あっ、今日も小宮山君の部屋に行くね」
「着替えてからな」
今日は俺も着替えていないからと、十五分後に集合と決めて別れた。他はこの風の音の中でも寝ているのか、それとも部屋で過ごしているのか、静かなものだった。
「何もないよな」
昨日のこともあって少し不安になった朝飛だが、何もないと首を振ると部屋に戻っていた。
台風は島のすぐ南側にあるらしい。それが衛星写真から解ったことだった。
「ということは、昼くらいにはすっぽり島が台風の中ってことね」
「そうだな。まあ、その調子で進めば明日の朝には抜けるだろう」
「そうね」
という会話は、部屋ではなくレストランで交わしていた。昨日も六時半より前に開けていたというのを思い出し、二人は六時過ぎに下りていたのだ。美樹が小腹が空いたと訴えたというのも理由にある。
そして思惑通りに藤本が早めにレストランを開けておいてくれ、さらにパンを差し入れてくれたのだ。おかげで美樹の小腹も満たされることとなった。
「美味しい。焼きたてですか」
「いえ。さすがにパンまで手が回らないので冷凍です」
「そうそう。これで洗うと軋まないのよ。織佳も使ったら」
「へえ。私も、ここのシャンプー合ってないみたいで軋んじゃったんですよ。ありがとうございます」
向こうも向こうで仲良くやっているらしい。それは何よりと、朝飛はさらに湯船にゆったりと浸かる。それにしてもシャンプー一つでも大盛り上がりとは凄い。
「そう言えば川瀬さん。小宮山君の好きなものって何か知ってる?」
しかし、ゆっくり浸かれない会話が展開されようとしている。どうして俺の好きなものを訊くと、朝飛は首を傾げた。
「さすがイケメン天才君。モテモテだね」
「モテた経験なんてないよ」
にやっと笑う健輔に対し、アホかと朝飛は苦笑する。が、美樹はなんと答えるのか。ちょっと気になった。変な答えを言わないだろうか、そんな心配をしてしまう。
「食べ物だと煮卵入りの醤油ラーメン。飲み物はコーヒーね。あの人、カフェインの過剰摂取だと思うのよね。放課後の部活の間に十杯くらい、ブラックで飲んでるわよ。顧問の先生が気を利かして置いてくれてるからって、飲みすぎなのよ」
でもって美樹の答えは恐ろしく的確だった。
確かに自分でもコーヒーは飲み過ぎかなと思う時がある。それにしても、ラーメンに関してどうしてそんなに詳しく知っているのか。ちょっと怖い。
「ラーメン好きなんだ。それも意外。初日の肉の早食いにもびっくりだったけど」
「そうそう。こう、もっとお上品に食べそうなのに」
「あの人も一般男子だから」
美樹、さらっと凄い。他がどれだけ褒めてもぶれないとはさすがだ。朝飛は彼女が共同研究者でよかったと心から賛辞を送っておく。
「一般男子!?」
「認められん」
しかし、なぜか美樹の言葉に健輔と直太朗が反論した。そしてじどっと朝飛を睨んでいる。
なぜだ。謎だ。研究以外で敵意を向けられる覚えは一切ないのだが。
「身体を洗おう」
馬鹿馬鹿しいと、朝飛はそそくさと湯船から出ようとした。だが、そこを二人に阻まれる。がしっと足を掴まれて、どぼんっと派手に湯船の中にひっくり返ることになった。
「やったぜ!」
「意外とどんくさい」
「お前らあ」
そこから互いにお湯を掛け合ったり足を掴んで沈めたりと、プールのように暴れてしまう。朝飛が逃げ惑う健輔を捕まえると、後ろから直太朗にばさっとお湯を掛けられた。
「うおっ」
「男子煩い!」
すると向こう側から苦情が入った。そうだ、互いの声が聞こえるというのを忘れていた。三人はやってしまったと大笑いする。
「ったく、風呂で疲れてどうする」
朝飛は身体を洗って上がるぞと、ようやく湯船から抜け出したのだった。
翌朝も風の音に起こされた。宿泊棟全体が静かだと余計に風の音が響くらしく、それが気になって起きてしまう。
「ううん、まだ五時か」
できればもう少しゆっくり寝たかったなと思いつつ、朝飛はのそっと身体を起こした。ついでにスマホをチェックし、倫明からメールが入っていないかと確認したがなかった。
一体どこに行ってしまったのか。昨日は棚上げとしたが、いなくなってすでに十二時間以上が経過している。さすがにこれは何か拙い状況だと理解させられる。
「でも、こんな閉じた空間で何をしようというのか」
外に出たところで、強風で島から脱出できるわけではない。下手なトラブルは起こさない方がいいことは、責任ある立場の二人がよく解っているはずだ。
「まったく」
そんなことを考えていたら、完全に目が覚めてしまった。昨日と同じく、コーヒーを貰いに行くかと立ち上がった。その前にトイレを済ませるか。
「凄い風だな」
立ち上がって外を見ると、僅かに明るくなった外は雨風の激しさを増しているのが解った。木は折れんばかりに靡き、雨は叩きつけるように降っている。
「雨も強まっているのか。これはますます外の捜索は無理だな」
二人に何があったのか気になるが、確認に行くのはやはり台風が過ぎ去らないと無理だ。これは台風情報もチェックしないとなと、朝から頭が慌ただしく動く。
「でも、その前にコーヒー」
昨日も美樹が指摘したように、何事もコーヒーがないと始まらないタイプだ。そそくさとトイレを済ませると、そのまま廊下へと出る。
「あっ、おはよう」
すると一つ向こう側のドアが開き、美樹が顔を覗かせた。彼女もまた、コーヒーをよく飲むタイプだ。人のことは言えない。朝飛と同じく、朝一番のコーヒーというところか。
「小宮山君のせいで習慣付いちゃったな」
「何故、俺のせいにするんだ」
言いがかりだろと言いながら、二人で廊下の端の自販機へと向かった。すると今日もまた先客がいる。
「あ、どうも」
健輔が寝ぐせだらけの頭を掻きながら挨拶をしてくる。喉が渇いて起きたという。
「炭酸ジュースが欲しくて」
「へえ。寝起きに炭酸って胃に悪そうだけど」
「そうかなあ」
言いつつ、先に自販機を使い終えた健輔は、その場でコーラーを一気に喉に流し込んでいた。朝飛と美樹も手早くコーヒーを買うと、その場で開けて飲み始める。
「風、凄いね」
「ああ。今日は完全にここから出られないな」
そう言って飲んでいたら一気飲みしていた。朝飛はもう一つコーヒーを貰って戻ることにする。
「今日の予定ってどうするんだ」
その前にと健輔が一日をどうするのかと訊いてきた。それで朝飛は、自分が決定しなければならないのかと思い出す。
「そうだな。昨日と同じ感じになるかな。まあ、もう少し専門的なところになるだろうね。他の人の研究状況も知りたいし」
「了解」
そこで健輔とは別れた。健輔はまだコーラーを飲んでいる。ここで飲み切って戻るつもりらしい。
「そうか。今日も話し合いしか出来ないね」
「そうだな。個々に研究してもいいんだろうけど、この台風の中だからね。停電が起こる可能性もあるし、固まっているのが無難だろう」
「そういう点では、エレベーターがなくてよかったね。これで閉じ込められたってなったら、助けてもらえないよ」
「ああ」
三階という高さだから設置しなかったのだろうエレベーターに、非常時は階段だけの方がいいのかと妙な納得をしてしまう。確かにこんな小さな島でエレベーターのトラブルは困るだろう。そういうことも考えて設置しなかったのかもしれない。
「これじゃあ今日は台風を楽しむしかないね」
「いや、一応話し合いはするからな」
完全に休みモードに入ろうとする美樹に注意しつつ、それでも台風情報に気を付けなければならないのは確かだ。
「台風情報見たか」
「ううん、まだ。あっ、今日も小宮山君の部屋に行くね」
「着替えてからな」
今日は俺も着替えていないからと、十五分後に集合と決めて別れた。他はこの風の音の中でも寝ているのか、それとも部屋で過ごしているのか、静かなものだった。
「何もないよな」
昨日のこともあって少し不安になった朝飛だが、何もないと首を振ると部屋に戻っていた。
台風は島のすぐ南側にあるらしい。それが衛星写真から解ったことだった。
「ということは、昼くらいにはすっぽり島が台風の中ってことね」
「そうだな。まあ、その調子で進めば明日の朝には抜けるだろう」
「そうね」
という会話は、部屋ではなくレストランで交わしていた。昨日も六時半より前に開けていたというのを思い出し、二人は六時過ぎに下りていたのだ。美樹が小腹が空いたと訴えたというのも理由にある。
そして思惑通りに藤本が早めにレストランを開けておいてくれ、さらにパンを差し入れてくれたのだ。おかげで美樹の小腹も満たされることとなった。
「美味しい。焼きたてですか」
「いえ。さすがにパンまで手が回らないので冷凍です」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる