今日初対面の令嬢に嫌がらせをしていた事を理由に婚約破棄を宣言されましたが、そちらがその気なら好きにさせていただいても良いですよね?

弥生

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婚約破棄編

第十二話

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「まあ昨日の行動に問題があったのは私も同じだがな」
 それもそうだろう…招待状も持っていない舞踏会に、ドレスコードも無視して突然会場に乱入したのだから、旅用のコートも着込んだままだったし

「そう言えばお兄様はどうやって会場に入って来たのですか?素直に入れてもらえるとは思えないのですが」
 抜け道があったのかとも考えたが、お偉方も招いているのにそこまで警備はザルではないだろう
「中に入れて欲しいと、一応丁寧に頼んでみたのだが断られてな」
 兄だってまさか許可されるとは思っていないだろうからそれはフリだろう

「暫く会話を続けていたのだが、眠いだろうもう休むと良いと言ったら、突然その場に座り込んでイビキをかき始めたのだよ」
 会話の途中で眠るなんて随分過酷な労働環境なんだな、等と白々しい事を口にするが言霊を使って沈めたのだろう

「それは見張りの兵士の方もお気の毒に…」
 私も詐欺師男爵令嬢に力を使ったが、彼の場合はそれが仕事で何も悪い事はしていない
「お兄様、確かまだ未成年ですよね?」
半年程したら成人するが、未成年の言霊使いは余程の非常時でない限り訓練以外で言霊を使用してはいけない

「はは…留学先が18歳成人の国だったから戻って来ても成人しているつもりでいたよ」
 勿論それも嘘だろう
「それはおかしいですね、国境を越えてもこの国の法律は付いて回ると言うのに」
 国籍が我が国なら留学先の法律と、我が国の法律の両方守らなければならないと言う決まりがある
「そうか?お前は物知りだな」
「他ならぬお兄様から教わった事ですよ?」
「そうだったのか、私は忘れていたよ」
 そう言って笑う兄を見て、普段はあまり似ていないがこんな時に血の繋がりを強く感じる気がした
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