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婚約破棄編
第十四話
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アリシアとライアンが祖母の性癖について会話していた頃、王宮でもうひとつの議論が行われていた
謁見室にいるのは国王とグレイ王子そしてローズデール侯爵家のドS祖母さんことメアリー・ローズデールの3人だった
「呼び出してすまぬなメアリー婦人、まず最初に愚息の此度の行いでアリシア嬢を傷付けてしまった事を詫びさせてくれ」
開口一番そう言って頭を下げる国王陛下
「傷付けた…」
私にはとてもあの娘が傷付いているようには見えなかったがね…
昨晩は帰って来るや否や留学中の筈の兄ライアンと仲良くケンカをして王子の事など頭の片隅にも無かったようだし
(因みにこの時メアリーはライアンが留学先で不祥事でも起こして、退学になったのかと本気で思っていた)
今朝は今朝で『申し訳ありませんお祖母様、グレイ殿下との婚約が破談になってしまいました、全て私の至らなさが招いた結果です』等と口にしながら他者まで幸せな気分にさせそうな笑顔を隠し切れていなかった、メアリーの部屋からの退出時に祖母に聞こえていないと思っていたのか、ボソリと「清々した」と呟いていたのは空耳ではないだろう、「マヌケ殿下が下手打ってくれたおかげで、向こうの有責で婚約を解消出来た」と副音声まで聞こえて来たが考え過ぎだろうか?
「それはアリシア本人に言って欲しい事ですがね」
まさかアリシアの様子について本当の事を言えるわけも無く、祖母として尤もらしい言葉を口にする
「うむ、確かにメアリー婦人の言う通りだな後日正式に謝罪に向かわせて頂こう」
その日迄にアリシアに嬉しさを隠す努力をしろと言っておかないとね、しかし現当主ではなく私を呼び出したと言う事は…
「国王陛下、舞踏会の件での謝罪だけが理由で私をお呼びになったのでは無いでしょう?本題をお聞かせ下さい」
「謝罪も呼び出した理由のひとつなのだが、昨晩の舞踏会でグレイが仕出かした事に対しての処遇を決めかねておってな、元裁判官であるメアリー婦人の意見を聞きたいのだ」
「私でよろしいのですか?アリシアの祖母と言う立場故に自身の感情が入ってしまうかも知れませんよ?」
「いや、良いのだ婦人が現役裁判官だった時代に担当していた事件は知っているが親しい相手でも判決を決して甘くせず、逆に親族の敵と言える相手にも不当に重い判決を下す事は無かったのは有名な話だ」
それは裁判官として当然な話なのだが当時は『人の心を持たない氷の花』とか良く言われたものだ
「それに万が一ではあるが、個人的な感情が入ったとしても今回の愚息行いを考えると仕方の無い事だと思っておるのだよ」
なるほど結果的には孫娘に望まぬ結婚をさせる事にならずに済んで王子にはむしろ感謝しているのだが、確か妥当で面白い罰則が有ったと無表情の仮面の下にドSの笑みを浮かべるのだった
謁見室にいるのは国王とグレイ王子そしてローズデール侯爵家のドS祖母さんことメアリー・ローズデールの3人だった
「呼び出してすまぬなメアリー婦人、まず最初に愚息の此度の行いでアリシア嬢を傷付けてしまった事を詫びさせてくれ」
開口一番そう言って頭を下げる国王陛下
「傷付けた…」
私にはとてもあの娘が傷付いているようには見えなかったがね…
昨晩は帰って来るや否や留学中の筈の兄ライアンと仲良くケンカをして王子の事など頭の片隅にも無かったようだし
(因みにこの時メアリーはライアンが留学先で不祥事でも起こして、退学になったのかと本気で思っていた)
今朝は今朝で『申し訳ありませんお祖母様、グレイ殿下との婚約が破談になってしまいました、全て私の至らなさが招いた結果です』等と口にしながら他者まで幸せな気分にさせそうな笑顔を隠し切れていなかった、メアリーの部屋からの退出時に祖母に聞こえていないと思っていたのか、ボソリと「清々した」と呟いていたのは空耳ではないだろう、「マヌケ殿下が下手打ってくれたおかげで、向こうの有責で婚約を解消出来た」と副音声まで聞こえて来たが考え過ぎだろうか?
「それはアリシア本人に言って欲しい事ですがね」
まさかアリシアの様子について本当の事を言えるわけも無く、祖母として尤もらしい言葉を口にする
「うむ、確かにメアリー婦人の言う通りだな後日正式に謝罪に向かわせて頂こう」
その日迄にアリシアに嬉しさを隠す努力をしろと言っておかないとね、しかし現当主ではなく私を呼び出したと言う事は…
「国王陛下、舞踏会の件での謝罪だけが理由で私をお呼びになったのでは無いでしょう?本題をお聞かせ下さい」
「謝罪も呼び出した理由のひとつなのだが、昨晩の舞踏会でグレイが仕出かした事に対しての処遇を決めかねておってな、元裁判官であるメアリー婦人の意見を聞きたいのだ」
「私でよろしいのですか?アリシアの祖母と言う立場故に自身の感情が入ってしまうかも知れませんよ?」
「いや、良いのだ婦人が現役裁判官だった時代に担当していた事件は知っているが親しい相手でも判決を決して甘くせず、逆に親族の敵と言える相手にも不当に重い判決を下す事は無かったのは有名な話だ」
それは裁判官として当然な話なのだが当時は『人の心を持たない氷の花』とか良く言われたものだ
「それに万が一ではあるが、個人的な感情が入ったとしても今回の愚息行いを考えると仕方の無い事だと思っておるのだよ」
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