今日初対面の令嬢に嫌がらせをしていた事を理由に婚約破棄を宣言されましたが、そちらがその気なら好きにさせていただいても良いですよね?

弥生

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隣国編

第二十三話

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「アリシア嬢、頼みがあるのだが来月の隣国の舞踏会に私と一緒に行ってもらえないだろうか?」
 報告書を全て読み終わり封筒の中身を確認した後口を開いたレオン様
 ちなみに冊子の数が多すぎて昼休みだけでは読み切れず今は放課後だ
「レオン様、それは勿論…お断り致しますわ」
 誰が好き好んで面倒事に巻き込まれに行かなくてはいけない
「くっ!そう言う気はしたがそこを何とか!」
 レオン様もそれは分かっていたようだが食い下がる

「大体私が行ったところで何が変わるのですか?」
 王太子の婚約破棄は予定調和だし反撃に動くのはリオナ様であって私ではない、そもそも他家同士の騒動に口を挟む立場でもない
「何か嫌な予感がするんだ…もしもの時のために居て欲しい」
 嫌な予感も何も舞踏会で王太子が婚約破棄を宣言するだけでなく、婚約破棄された令嬢が王太子の不貞行為を書き記した冊子を手に男爵令嬢もろとも破滅に追い込もうとしているのだ、穏便に済むわけがない

「言霊の力は万能ではないのですよ?それに基本的に訓練時以外で使用してはいけないのはレオン様もご存知ですよね」
 首に付けているチョーカーに手を当ててそう言う
「この作戦を提案したのはアリシア嬢だしあの情報屋は君の紹介だろう、最後まで見届けてくれないか!」
「情報屋を使って証拠集めは提案しましたが、それに乗ったのはテイラー公爵家の方々ですよ」
 と言うよりそこまで気になるならやっぱり舞踏会まで待たずに隣国の王家にこの冊子と封筒の中身を突き付けろよ…

「勿論タダでとは言わない!往復にかかる費用と隣国の滞在費は出すし、商売に適した一等地をローズデール侯爵家に数年間格安で貸し出す」
「…」
 相手の有責とは言え私はグレイ王子との婚約が破談になった身だ、この先ローズデール侯爵家に居座り続ける可能性がある、侯爵家の収入に貢献しておいた方が良いだろう…少し思案をした後私は決める

「分かりました、隣国は技術大国だと聞いております王都見学もさせていただけるならご一緒します」
「ああ勿論だ、舞踏会は王宮で行われるし王都に数日滞在するだろう」
 レオン様はあからさまにホッとしていたが国外に何の権力も無い少し特殊な能力がある程度の私に何を求めているのだ?

「私買いたい物がたくさんありますの、あっ!買い物にかかる費用は勿論自分で出しますのでご安心下さい」
「…それは私を荷物持ちに使うと言う宣言なのか?」
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