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隣国編
第二十五話
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『日曜日の恋人』それは報告書に記されたリオナ様の婚約者フレイン王太子の呼び名だ
報告書の最初の数冊を読んでいる時は意味を深く考える事はなかったが、不倫相手のアヴァ男爵令嬢の報告書を読んで目が点になった
「なんてビッ…いえ、節操のない令嬢でしょう…」
思わず令嬢として不適切な言葉を使いかけたけれど、いやはやこれは酷い…
『日曜日の恋人』は比喩などではなく、王太子が実際にアヴァ男爵令嬢と乳繰り合う日が主に日曜日という理由からで、アヴァ男爵令嬢には他に6人の『月曜日~土曜日の恋人』がいる事が記されていた
『月曜日~土曜日の恋人』は伯爵家以上の爵位を持つ家の子息達でしかも全員婚約者がいる、それなのに自分がアヴァ男爵令嬢と結婚出来ると信じて疑わず王太子を含む7人で結託してリオナ様を陥れようと企むというクズのダブル役満
「これはアバズレどころの騒ぎではないでしょう…」
「王太子は男爵令嬢と結婚する為に邪魔なリオナ様を排除したい、他の6人は男爵令嬢に対してポイント稼ぎをしたい…と言ったところですか?」
男爵令嬢の狙いは王太子で『月曜日~土曜日の恋人』は何かあった時の保険だろう、王太子と男爵令嬢だけでなくこの6人も潰しておいた方が良いと…暗にそう口にする
「アリシア様、大丈夫ですよ休暇に入る前にもう仕込みは済んでいますから」
「…舞踏会前日の隣国王家を皮切りに毒がまわりはじめる、という事ですね」
リオナ様から計画の概要を説明され、最初の感想はそこまで上手くいくかは別として『女は恐ろしい』と言う事だ、まあ私が言うのもおかしな話だが
…良いぞもっとやれとも思ったがそれを言うと何をしてくれるか分からない
そう言えば社会的な死を与える気はない的な事を言っていたが、これ下手をすれば男爵令嬢と7人の恋人の人生そのものが終わらないだろうか?
「フーリン殿下もアバズレ男爵令嬢に乗り換えたいならそう言って下されば良かったのに、このような手の込んだことをされなくても私は喜んで婚約解消いたしましたわ…」
個人だけでなく国同士が絡む婚姻だ…それも難しかったのだろう、しかし己の欲望の為に無実の罪をでっち上げて一人の人生を狂わせて良い理由にはならない
「そもそも国益の為の政略結婚であって殿下は私の好みの男性ではありませんでしたわ、私はあのようなナヨナヨした男ではなくアリ様のような…」
「リオナ姉さんそれくらいにしよう!アリシア嬢そういう事だ、計画通りにいけば君にかかる迷惑は最小限になるだろう」
リオナ様が誰かの名前を口にしかけたが『アリ様』とは誰なのだろうか…そう言えばリオナ様は布教がどうとか言っていたが彼女の部屋と何か関係があるのだろうか?
「お帰りアリシア」
テイラー公爵家の屋敷を後にしてローズデール侯爵邸に戻ると兄ライアンが出迎えてくれた
「ただいま戻りました…ライアンお兄様そんなに頻繁に帰国されて留学先の単位は大丈夫なのですか?」
「…再会第一声がそれか?年度の切り替わりの時期だからどことも長期休暇の最中だろう、お祖母様にも同じ事を言われたが」
前回帰国からさほど期間が空いていないから感覚がマヒしているのだろうか?お兄様の顔が何とも言えない表情になっている
「お前テイラー公爵家に行ったようだが屋敷内で何かおかしな事は起こらなかったか?」
「いえ、どうかされたのですか?」
「…あの屋敷には妙な噂があってな、夜な夜な女性のうめき声が聞こえるとか、ギシギシと建物がきしむ音がするとか使用人達の間では有名な話のようなのだが」
誰かが面白おかしく流した噂だろうが、とライアンお兄様が付け加えた
「…それが本当ならテイラー公爵家が没落して屋敷を手放さなくてはならなくなった時事故物件として買い叩く事が出来ますね」
「…参考までに聞くがそんな事故物件で何をするつもりだ?」
「本物が出てくる幽霊屋敷…とか?あとはオカルトマニアに高値で転売とかですかね」
「お前、お祖母様に似てきたな…」
報告書の最初の数冊を読んでいる時は意味を深く考える事はなかったが、不倫相手のアヴァ男爵令嬢の報告書を読んで目が点になった
「なんてビッ…いえ、節操のない令嬢でしょう…」
思わず令嬢として不適切な言葉を使いかけたけれど、いやはやこれは酷い…
『日曜日の恋人』は比喩などではなく、王太子が実際にアヴァ男爵令嬢と乳繰り合う日が主に日曜日という理由からで、アヴァ男爵令嬢には他に6人の『月曜日~土曜日の恋人』がいる事が記されていた
『月曜日~土曜日の恋人』は伯爵家以上の爵位を持つ家の子息達でしかも全員婚約者がいる、それなのに自分がアヴァ男爵令嬢と結婚出来ると信じて疑わず王太子を含む7人で結託してリオナ様を陥れようと企むというクズのダブル役満
「これはアバズレどころの騒ぎではないでしょう…」
「王太子は男爵令嬢と結婚する為に邪魔なリオナ様を排除したい、他の6人は男爵令嬢に対してポイント稼ぎをしたい…と言ったところですか?」
男爵令嬢の狙いは王太子で『月曜日~土曜日の恋人』は何かあった時の保険だろう、王太子と男爵令嬢だけでなくこの6人も潰しておいた方が良いと…暗にそう口にする
「アリシア様、大丈夫ですよ休暇に入る前にもう仕込みは済んでいますから」
「…舞踏会前日の隣国王家を皮切りに毒がまわりはじめる、という事ですね」
リオナ様から計画の概要を説明され、最初の感想はそこまで上手くいくかは別として『女は恐ろしい』と言う事だ、まあ私が言うのもおかしな話だが
…良いぞもっとやれとも思ったがそれを言うと何をしてくれるか分からない
そう言えば社会的な死を与える気はない的な事を言っていたが、これ下手をすれば男爵令嬢と7人の恋人の人生そのものが終わらないだろうか?
「フーリン殿下もアバズレ男爵令嬢に乗り換えたいならそう言って下されば良かったのに、このような手の込んだことをされなくても私は喜んで婚約解消いたしましたわ…」
個人だけでなく国同士が絡む婚姻だ…それも難しかったのだろう、しかし己の欲望の為に無実の罪をでっち上げて一人の人生を狂わせて良い理由にはならない
「そもそも国益の為の政略結婚であって殿下は私の好みの男性ではありませんでしたわ、私はあのようなナヨナヨした男ではなくアリ様のような…」
「リオナ姉さんそれくらいにしよう!アリシア嬢そういう事だ、計画通りにいけば君にかかる迷惑は最小限になるだろう」
リオナ様が誰かの名前を口にしかけたが『アリ様』とは誰なのだろうか…そう言えばリオナ様は布教がどうとか言っていたが彼女の部屋と何か関係があるのだろうか?
「お帰りアリシア」
テイラー公爵家の屋敷を後にしてローズデール侯爵邸に戻ると兄ライアンが出迎えてくれた
「ただいま戻りました…ライアンお兄様そんなに頻繁に帰国されて留学先の単位は大丈夫なのですか?」
「…再会第一声がそれか?年度の切り替わりの時期だからどことも長期休暇の最中だろう、お祖母様にも同じ事を言われたが」
前回帰国からさほど期間が空いていないから感覚がマヒしているのだろうか?お兄様の顔が何とも言えない表情になっている
「お前テイラー公爵家に行ったようだが屋敷内で何かおかしな事は起こらなかったか?」
「いえ、どうかされたのですか?」
「…あの屋敷には妙な噂があってな、夜な夜な女性のうめき声が聞こえるとか、ギシギシと建物がきしむ音がするとか使用人達の間では有名な話のようなのだが」
誰かが面白おかしく流した噂だろうが、とライアンお兄様が付け加えた
「…それが本当ならテイラー公爵家が没落して屋敷を手放さなくてはならなくなった時事故物件として買い叩く事が出来ますね」
「…参考までに聞くがそんな事故物件で何をするつもりだ?」
「本物が出てくる幽霊屋敷…とか?あとはオカルトマニアに高値で転売とかですかね」
「お前、お祖母様に似てきたな…」
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