今日初対面の令嬢に嫌がらせをしていた事を理由に婚約破棄を宣言されましたが、そちらがその気なら好きにさせていただいても良いですよね?

弥生

文字の大きさ
31 / 31
隣国編

第三十一話

しおりを挟む
 憲兵突入から遡ること30分前

「男の人の平均サイズはあれ位なのですか?」
 目の前で裸踊りをするムキムキマッチョマンを前に賊の紅一点であるジュリアに尋ねる

「うーん、アタシも比較出来る程の人数を知らないけれどあれはかなり大きい部類に入るんじゃないか?」
 ご丁寧にもパンツまで脱いだ筋肉ゴリラに目をやりながら答えるジュリア

 アリシアからはマッチョマンの持っているお盆で本当に大事な部分までは見えないがジュリアの立っている角度からは完全に見えているだろう
 ちなみに今2人が会話しているもののサイズとは胸筋の事である

 「貧弱な男性よりは良いとは思いますが程々が一番ですね」
「分かる何事も限度と言うものがあるね」
 ここまで筋骨隆々なのは暑苦しい、それはジュリアも同感だったのかアリシアに同意をする

 他の賊はアリシアがかけた『プロレスごっこが見たい』『緊縛プレイが見たい』『組体操が見たい』等の言霊にかかり手も足も出ない状態だ
『エクストリームアイロン掛け』を命じられた男は外に出て行ったきり帰って来ないが死んではいないだろう

 余談だが「人体切断マジックを見たい」と言いかけた時「何の技術も無い連中にやらせたら本当に切断し兼ねないからやめておけ」とジュリアに止められた

「アリシア嬢」
 ここに来て空気になりかけていたレオンがアリシアに声をかける
「…踏みつけてくれないか?」

「…」
「っ!ち違う!君の真横にいたから私まで君の言霊にかかったんだ」
 女性2人分のジト目を向けられ我に返ったレオンが必死に釈明をする
 範囲を指定しなかったから起きた弊害でこの様子なら彼はおそらく全ての言霊にかかっていたのであろう、手足を縛られていたから実行に移せなかっただけで

(そう言えば最後にかけた言霊はSMプレイが見てみたいだったわね…)
 
 レオンにかかった術を解いてそろそろ頃合いであると判断したアリシアはマッチョマンに服を着て椅子になるように言霊をかけ直した

 実は馬車が国境付近で賊に襲われた所から既に憲兵と国境警備隊に通報されていた
 少し離れた所から見張っていたアリシアとレオンの護衛に賊が気が付かなかっただけだったのだ

 上級貴族が護衛もつけずに旅をする訳がない
 最初から隣国のクズ王太子とアバズレ男爵令嬢が何かを仕掛けて来るだろうと警戒していたのだ
 わざわざ捕まって連れ去られたのも揉み消しの出来ない証拠を掴む為だった

 憲兵に連行された賊は取り調べを受ける事になるであろう
 そこで雇い主に関する情報を吐かせる事が出来るかは分からないがネクスト王国出身と思われる彼等は未成年者の誘拐だけでなく不法入国もしている
 何年も塀の中に放り込まれるくらいなら司法取引に応じる可能性が高い

「リオナ様に素敵な手土産を用意出来そうですね」
 そう呟いて笑うアリシアは若い頃の祖母にそっくりだった
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。 地位や名誉……権力でさえ。 否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。 望んだものは、ただ一つ。 ――あの人からの愛。 ただ、それだけだったというのに……。 「ラウラ! お前を廃妃とする!」 国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。 隣には妹のパウラ。 お腹には子どもが居ると言う。 何一つ持たず王城から追い出された私は…… 静かな海へと身を沈める。 唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは…… そしてパウラは…… 最期に笑うのは……? それとも……救いは誰の手にもないのか *************************** こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

処理中です...