春の洗礼を受けて僕は

さつま

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春の洗礼を受けて僕は

17話 日曜日6 ★

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 香月の胸にも精液が飛んだのを見て、やってしまったと思ったけれど、言葉が出てこない。
 秘部がきゅ、と指を締め付けて、それでまだそこに存在があることに気づく。
 ゆっくりと、次の指が入ってくる。
「あっあ、怖い」
 そう口走ったら、香月が睦月の頭をまた撫でた。
 今度はゆったりと浅く深く動かされて、都度息をつめてしまう。
「木之内、唇は噛むなよ。さっき血の味がしたぞ」
 口を撫でられる。
「息を殺す方がつらくなるから。出せるなら、声を出した方がいい」
 そうなの?
 目で問いかけたら、頷いた。
「口は開けて」
 小さく開く。
「いい子だな」
 さっきとは違う、いつもの余裕そうな顔の香月が笑った。
 そして指がぐるりと動く。
「あっ! や! 怖い」
 入り口にもう一本が当たって、背筋が凍った。さすがにそれは無理だと思う。
 なのにジェルの力を借りたそれは、それにしても難なく入ってきた。
 指の形を捉えようとしているのか、体の中が勝手にうねる。
 中のどこもかしこも、じわじわと痺れて、もっと触れてもらいたくなる。こんなのって。
「気持ちいいか?」
「わかんない、わかんない! やだ、恥ずかしい…!」
 一気に涙が溢れる。
「わかんない、なにこれ…なにこれ…恥ずかしい…」
 大きく開かれたそこの、さっき明け透けにされた箇所に指が近づく。
「そこいや! いやだ!」
 なのにもっとと思ってしまう自分が怖い。もっとそこを嬲って欲しい。押して擦って欲しい。
 こんなに慣れさせられていたらさすがに、この後に何が起きるかはわかる。
 それが欲しい。香月が欲しい。
 それが怖い。こんなのは自分じゃない。
「怖くない、痛くしない。約束する。大丈夫だから」
 しがみついたままの睦月の腕を撫でて解いて、香月の体が離れた。あっつ、とつぶやきながら、服を上下とも脱ぐ。
 ゴムをくっとはめて、また上に乗ってきた。
 空っぽな状態で、それを見ていた。
 睦月の腰を上げるよう誘導する。枕を敷いて、足を曲げさせた。
 目が合った。心全てを鷲掴みにされるような、鋭く透き通った瞳の向こうに、愉悦に震える自分が映ったような気がした。
 三本入っていた時とはまったく違う質量の、熱いものが、睦月を大きく開く。
 ゆっくりと、でも止まる事なく指では届かない奥までずぐずぐと進んで、根本まで埋め込まれて、入り口に香月の下腹部がぴったりとくっついた。
「……!!!」
 ゆっくりと、香月の腰が動く。
 浅くなっていくと、つられて睦月の腰が追いかける。
 だからと言って深く来られると、怯えて逃げてしまう。
 香月の動きに合わせられないのがもどかしい。
 しばらくそんな風に動いていたら、香月の動きが止まった。
 上半身を睦月に近づける。
「肩に手を回して、しっかり掴まって」
「力…はいんない」
「じゃあ、回すだけでいい」
 手を、回すというよりはぺたんとくっつけたら、香月が腰を掴んだ。
 一気に持ち上げられて、香月の上に向かい合わせで座る体勢にされた。
「わっわあああああ!」
 何させるんだこの人! と心が絶叫する。
 自重がかかったからか、香月の形を一層感じさせる。
「わわわわわわ!」
「バグってるみたいだな」
 香月が吹き出した。
 笑う息が耳にかかって、それに悪い気がしなくて、また泣いてしまう。
 だからさっきから変なんだって、と恨み事のひとつも言いたくなる。
 香月の腰が突き上げた。
「…ッ!」
 浮いた体が、重力に従って落ちて、足で堪えられずに深く受け入れる。
 そうしたらまた、下から押し上げられた。
 特にたまらなくなるところを擦って、腰が落ちる。
 香月が深呼吸した。
 否応なく気付かされる存在が、それに引き摺り出される快感が、睦月をこれでもかと揺さぶりかけてくる。
 もう目が開けられなくて、ぜんぶ逃したくなくて、力も入らずにただ香月の動きのままに、跳ねながらしがみつくしかなかった。
 前のものは香月と自分の体で擦られて、達したくてたまらなくて、パンパンに腫れ上がっているみたいで、つらい。
 栓をされているような感じもあるけど、もう突き抜けてしまいそうで、
「もうダメかも」
 泣き言を言った刹那、ぱっと弾けた。
 水の中に突き落とされたような。抗えずに溺れていく。
 沈む意識の中で、体の中心に香月の熱をはっきりと感じた。
 肺が潰れそうなくらい、息が苦しい。
 なのに頭の中は不思議とクリアで、すごくスッキリとしている。
 これってセックス? これがセックス…?
「…そうだよ」
 香月がふふっと笑った気がした。
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