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第1章・好奇心はほどほどに。

2.気晴らしが欲しい。

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 2.気晴らしが欲しい。


 巫女養成施設は、キルディ帝国の王宮内にあった。

 帝王の住む宮殿から離れているのは、いいこと。

 直系の王族は、纏う穢れが濃すぎるってきくし。

 巫女養成施設なのに、その管理が杜撰なもので、一国の姫君に与えられたものとは思えないほど、王宮育ちではない私の普段着より酷い。

 巫女装束だけど地位は見習いだからというけど、着古しているためか所々綻びがみえ、身軽に動きやすいようにと膝丈、姫巫女としてではないそれは、生地が薄く簡素な刺繍すらない。

 白い薄衣に、見習い特有の白紫の細い腰紐を簡単に巻きつけているだけで飾りっ気のない衣装だった。

 足元の白いサンダルも薄汚れ、黄ばみが目立っているし。

 母譲りの白緑の髪や薄衣の中の白い肌は、毎日ゴシゴシ丁寧に洗っているから、綺麗だけども。

 過酷な労働で以前よりも、すっかりと痩せてしまった。

 確かにもともと細すぎるけども、過労で疲れた重々しい身体は気のせいではないはず。

 思わず黒真珠の瞳から滲む涙を拭ってしまうほど、身体が悲鳴をあげているのは切実に感じている。

 どうしても変わらない現況、帝国へ来て三年ほど続いている。

 衣食住は揃っているので、労働や他国に対して卑下する差別など、食事が少なくても生命に危険は今のところない。

 堪えることが出来れば、他に問題はないはずなのに、なぜこんなにも心が軋むのだろう?

 考え出すと鬱屈してしまう。

特に帝国へ来て、何やら違和感を覚え、それが何かわからず戸惑い、とても沈みがち。

 今日は比較的に楽な担当だから、いつもより元気な自分自身に何か気晴らしが欲しかった。

 たとえ身体が悲鳴あげてても邪心こもる巫女養成施設にいるよりまし。

 浄化の養成施設のくせに汚れが濃すぎ。

 身体の疲れより心を慰めたくて、過酷な現実を忘れる何かが欲しかった。








※お読みいただき、ありがとうございます。

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