恋慕の行方ー転生したら相変わらずでした。

第2章.横暴な言動。

8.淫靡な感触

8.淫靡な感触


今回の人生初めて触れた、前世では知ってても、素性もまだよくわからない男の唇。

私は、切に感じ入り、呆気となった。

変わらない、変わらなすぎる。

それは、意外なほど柔らかい。

気持ち悪さとは違う。

思わず蕩けそうになる。

私がぼんやりしてしまいそうになった頃、歯列を舐めているレイカルド様の舌先が歯間を潜り抜けてきた。

ぞくりと、背筋に淫靡な感触が走る。

レイカルド様の舌先は、私の口腔の奥へ奥へと尖らせてくる。

全身の肌が、粟立つほどの畏怖を覚える。

このままでは、変になる。

絶対に、自分がおかしくなってしまう。
 
それは避けたい。

妙な気持ち良さも確かにあるけど。

このままではいけない。

離れて逃げなければ。

どうにかこうにか、我に返った。

口づけに流れそうになっている、己の理性を振り絞る。

先ほどの切羽詰まった衝撃とは違う。

ゆるゆると、レイカルド様は淫らに攻めてくる。

確かに、嫌悪より気持ち良さはあるけど。

このまま流されるのは嫌。

ハレット様に幼すぎて、自分の好みじゃないと言った人になんて。

きっと前世でも違っていた。

違っていて、あの日あの時再会しなければ、あそこまで執着されなかったはず。

たとえ彼に惹かれていたとしても。

このまま捕縛されるのは嫌。

私は、全身全霊の気力を振り絞った。

先ほどとは違う。

これは、彼の単なる好奇心が擽られ、今はひと時の戯れだと思う。

ゆえに私は、レイカルド様の肉厚で長い舌先を見事に噛み付くことが出来た。

 



※お読みいただき、ありがとうございます。